TATAMI

 

TATAMI

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  • アリエンヌ・マンディ
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国家の権力者の意向で国際試合での途中棄権を迫られる女子柔道選手と監督の物語。

実際にあったイランの男子選手の出来事をベースにしているらしい。

スマホ越しの家族の観戦、プレイヤー仲間との会話など、大上段に構えないカジュアルな筆致で描かれているからこそ、笑顔で近寄ってくるスマホ越しの国家の恫喝など身近に感じられ恐ろしい。

一途にこの試合に賭けていて、政府の意見なんか跳ね返そうとする選手の若さとみんなのこれからを考えて思いとどまらせようとする監督。監督には苦い経験の末、選手の力を引き出すことに渾身、尽力をしてきたゆえの葛藤があり、かなり監督に入れ込みながら鑑賞。厳しくも真摯な感じが素晴らしく。

スポーツや芸術の才能ある人が大会で国外に出たのを機に亡命などということも時々耳にするが、この作品を観たあとはそれを一つのニュースとして片付けることはもうできない。

パナヒ監督の「熊は、いない」*1でも国家の締めつけの厳しさを肌で感じたがこの映画も親しみやすいカジュアルな表現と白黒画面のタイトさ、窮地に陥った監督の眼の表情などで観ているものを惹きつけ続け、他人事と片付けては絶対ダメな国家の統制、そしてそこから生まれる難民ということを身近に考える大いなるきっかけになった。

目の力が印象的だった女子チームの監督役ザーラ・アミールという人が共同監督も務めている。彼女の出演作「聖地には蜘蛛が巣を張る」も素晴らしいという評判。「聖地~」のアリ・アッバシ監督の名前もよく耳にする。。と、思ったら「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」*2の監督らしい。。そうかそうか。。

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