ペパーミント・キャンディー

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ピクニックから始まりピクニックで終わる映画。はじめに映るピクニックは、成人して20年後の絶望のさなか、お気楽な周りと浮いている主人公。そこから主人公の男の時間がどんどんさかのぽり、最後に流れるのは70年代後半に成人しその先のことも知らずのんびり過ごしているピクニック。

間に光州事件や民主派の弾圧など国を挙げての苛烈な時間、望んでいないのに全体に従わなきゃいけない時間があるから「昔は良かった」式の自己憐憫で済まされず、生きていくために身を切り、正義をいためつける、ヤケを起こしたくなるような主人公のつらさが迫ってくる。説明過多でなく、これはあの出来事からの話だなあと主人公の傍にいる感じで気持ちが寄り添える話のすすめ方がすばらしい。あのときのあれがこうなる、という並びがさらっとしているのにドキッとさせられる迫力だし昏いおかしみも混ざっていて退屈させない。そして胸に迫る。

現在から時間がさかのぼっていく話法が効果的。