ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

 

普段旧い映画中心に鑑賞しているが現代に作られたものも気持ちにさっと寄り添ってくれて良いなあ。

大学のぬいぐるみ好きのサークル「ぬいサー」。京都の大学に入学したばかりの新入生として主人公たちが訪れた時は作る方というより、人がぬいぐるみに話しかけるのがメインの、わかりやすさを求める外部の人に説明するのが難しいようなサークル。最初は、なんだか凄いな、と思っていた主人公たちもそこに落ち着き。。ちょっとほんとに心配になっちゃうような部員もいたけれど、自分の問題を解決する手段と割り切っていて外の社会に繋がるのが困難ではなさそうな部員もいる。冒頭から主人公はごくニュートラルで寄り添える。

ぬいぐるみとしゃべる人は人に打ち明け話をして、聞かされた相手が背負い込むのを申し訳なく思う優しさから?(時間的にはそうだろうな)、話しても理解してもらえないのが虚しいし傷つくから?(自分はこっちだなあ)。

傷つきやすくて他人の痛みが自分の痛みになりきってしまう優しい登場人物。そこまでなりきれない自分の不純を責められているような気持ちにさえなる。大学という特別の時間らしさもあり胸が詰まる。

一人ぬいぐるみに話しかけない、さめた感じの、でも敵対しているわけではない語り手を配置しているのがうまいし、自分にとっても救いになる。優しすぎる主人公たちが心配になりそこまで至れない自分を責めそうになるから。