朴さん

1960年 カン・デジン監督作品。
ビデオジャケットによると、主人公の朴さんを演じたキム・スンホは、「シュリ」や「八月のクリスマス」のハン・ソッキュが最も尊敬する俳優にあげているそうだ。

韓国の松竹映画ともいえるようなホームドラマ作品だけど、娘が結婚したい相手の親族に横やりを入れられるシーンの悔しさなどは階層社会のいやさがもっとはっきりくっきり描かれている。
小津安二郎監督の、こどもが育っていく時の感慨を描いたようなもの、今まではこどもの立場でみたりもして、妙に責められてる感を勝手に味わったりすることもあったのだけど、この映画では完全に親側、主人公朴さんと同じような心持ちでみていた。自分の年齢ゆえもあり、また朴さんの感情表現は、思っていることを押し隠すオトナな感じでなく、割合照れ隠しをしながらも結局はストレートみたいな、幼な子のようなところもあって向こうのオープンマインドにこっちも呼応しているような気もする。139分間ずっと楽しめた。

輝国山人の韓国映画というサイトにおまけとして書かれている

この映画の制作者であるイ・ファリョン(李華龍)は,暴力団から映画制作者に転向した人で,1961年の5.16軍事クーデター後の軍による全国一斉暴力団狩りにより摘発され,革命裁判所で死刑を宣告されたそうだ。

という言葉に驚きつつも、韓国の歴史を知るきっかけをもらったという思いにもなる。