静かなる男

 

最近ジョン・フォード祭のようになっているのだが、面白いし感心してしまうのでどんどん。

「静かなる男」は、アメリカから幼き頃に住んでいたアイルランドの片田舎に移り住む元ボクサーの話。観ている内に事情がわかるように作られている話法の良さ。「太陽は光り輝く」*1でも核になる事件の経緯は観ているうちにさらっとわかるようになっていたり、「長い灰色の線」*2でも時間の経過が早かったりジョン・フォードは省略の仕方が上手いなと思う。

オールドハリウッドのダンス映画など観ていると自分の頭の堅さゆえ、主人公の幸せのためにダシに使われるだけの人の行く末が気になったりするのだけど、この映画はそこへの目線もしっかりしていて嬉しい。

文化的な衝突、宗教の壁の乗り越えをまたまた高邁な感じでなく、ごくごくありふれた人間くさい日常を送ってる人々の生活の地続きで描いているところが気持ちのよい作品。