京都

八月の御所グラウンド

またまたオーディブルで www.audible.co.jp 「十二月の都大路上下ル」」 「八月の御所グラウンド」の二篇が収録されている。 注意散漫なものだから、二篇になっていることに気づかず、最初に出て来た「十二月〜」の駅伝ランナーは野球の話と最後どう繋がるの…

細雪 (市川崑 83)

細雪 佐久間良子 Amazon 市川崑バージョン「細雪」を40年ぶりに鑑賞。当時から着物の美しさを褒める声を時々きいていたが、提供の三松って街でやたらみかけるお店だよなと聞き流していた。。が、今見ると着物、美しいと思う。 市川崑らしい禍々しさが画面に…

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい 細田佳央太 Amazon 普段旧い映画中心に鑑賞しているが現代に作られたものも気持ちにさっと寄り添ってくれて良いなあ。 大学のぬいぐるみ好きのサークル「ぬいサー」。京都の大学に入学したばかりの新入生として主人公たち…

賢女気質

京都府立芸術会館にて人間座公演 去年の12月に公演予定だったのだが出演者に健康不良が相次ぎ前日だか当日だか本当にぎりぎりに涙をのんで公演中止になったものの振替公演 12月公演時チラシ 傘寿を迎えられる菱井喜美子さんがほぼ出ずっぱりの公演。観客席か…

京都不案内

京都不案内 作者:森 まゆみ 世界思想社 Amazon 谷根千ネットの森まゆみさん、以前仏教大学の文化講座で四条のフランソア喫茶室がテーマになった時講師の一人として招かれておられ*1、京都とも関わりを持っておられるのだなと思ったのだが、京都の気功の先生…

イッセー尾形のひとり芝居 妄ソー劇場 その7

京都府立文化芸術会館ホールというこじんまりしたホールがイッセーさんはお好きとおっしゃっていて、ちらしをみると1995年からずっと公演されている。 何人かの人を主人公にオムニバス形式で演じられるのだけど(今回は7話)毎年恒例になっているのが「…

曼陀羅

曼陀羅 清水紘治 Amazon 1971年実相寺昭雄監督。学生運動の果て、空虚に陥っているような二組のカップル。片方は宗教集団的なものに救済を求めそこで共同生活を始めるが、エロスと犯罪と集団ヒステリーが混ざりあったような空気はヒッピー的で「ワンス・アポ…

ウルトラQ ザ・ムービー

ウルトラQザ・ムービー 星の伝説 [DVD] 柴俊夫 Amazon 実相寺昭雄監督、佐々木守脚本。(2000年) こどもの頃接したTVの「ウルトラQ」の、まだ「ウルトラマン」的に定型化する前の禍々しいインパクトのある雰囲気が忘れられなく、大学生の頃もビデオを借りて…

「狂った野獣」、「さらば、わが友 実録大物死刑囚」

先日亡くなられた中島貞夫監督の作品を二本。 まず、京都の路線バスが舞台ときいて観た中島貞夫監督の「狂った野獣」(76)、こちらびっくりするほど面白かった。 狂った野獣 渡瀬恒彦 Amazon 70年代の京都駅八条口付近や京都市バスの停留所看板も懐かしい…

哥(うた)

哥(うた) [Blu-ray] キングレコード Amazon 「無常」「曼陀羅」に続く実相寺昭雄監督の三部作とのこと。以前「無常」を観た時、観念的で破壊的な田村亮氏の行動や前衛的な音響についていけなくちょっとした苦行的鑑賞になってしまったのだけどこちらは自分…

時代劇が前衛だった

時代劇が前衛だった-牧野省三、衣笠貞之助、伊藤大輔、伊丹万作、山中貞雄 作者:古賀重樹 淡交社 Amazon 国立映画アーカイブや京都府立文化博物館の所蔵している画像資料多し。わかりやすい。 日本映画の青春記。それぞれに面白いけれど、一番興味深かったの…

下鴨映画祭

「下鴨映画祭」というものが今年の3月に開催され、4/23までその様子が公開されている。日本映画の黎明期を偲ぶ集まりだ。 尾上松之助資料保存会の松野吉孝代表が中心になって事業が進められたそうだが、専門家の解説あり、活弁士と生演奏つきの上映ありで大…

甲斐荘楠音の全貌展

国立京都近代美術館で「甲斐荘楠音の全貌」展が開催されている。 www.momak.go.jp 甲斐荘楠音の作品にはじめて触れたのは岩井志麻子の怪談小説「ぼっけいきょうてい」の表紙。 ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫) 作者:岩井 志麻子 KADOKAWA Amazon なん…

時代劇は死なず!京都太秦の職人たち

時代劇は死なず! ―京都太秦の「職人」たち (集英社新書) 作者:春日 太一 集英社 Amazon 春日太一さんの時代劇研究本、テレビ時代劇のウェイトが高いので映画時代劇のことを主に知りたい自分は躊躇もしたのだけど、手にとってみたら東映の明朗時代劇→集団時代…

無法一代

無法一代 三橋達也 Amazon 京都、伏見の中書島遊郭が舞台ということで観てみた。「戦国群盗伝」が面白くて「六人の暗殺者」「国定忠治」と観続けている*1滝沢英輔監督作品。メリハリがあって観やすいつくり。 三橋達也と新珠三千代の二人が縁故(宇野重吉)…

リコリス・ピザと祇園祭 曳き初め

「リコリス・ピザ」を観に行った。 www.licorice-pizza.jp 評判通り楽しい作品。観に行ってよかった。フィリップ・シーモア・ホフマンの息子、クーパー・ホフマンがもう父にそっくりで可愛くて可愛くて父の死を悲しんでいた自分には一粒の種が地に落ちて花を…

京都 近現代建築ものがたり

最近オンライン講座にちょこちょこアクセスしている。先日参加したフランソア喫茶室の話*1も聞き手の京都市京セラ美術館ディレクターの前田尚武さんの聞き方もとても良くて、前田さんから「まいまい京都『あつまれモダン建築部』」 www.maimai-kyoto.jp に引…

京都の文化サロン フランソア喫茶室

先日佛教大学のオンラインセミナー「建築から読み解く歴史」という講座の「京都の文化サロン フランソア喫茶店」を聴講した。四条の老舗喫茶フランソアの創業者の娘さん 今井香子さんのお話を京都市京セラ美術館ディレクターで学芸員の前田尚武さんが聴かれ…

「才女気質」と「愛妻物語」からの「ある映画監督の生涯 溝口健二の記録」

京都が舞台になる50年代の邦画を二本観た。 中平康監督の「才女気質」(1959)才女気質長門裕之Amazonと「愛妻物語」(1951)愛妻物語宇野重吉Amazon「才女気質」の方は、京都の老舗珈琲店、イノダコーヒが登場するので、以前京都みなみ会館の「映画の中の素…

物語を売る小さな本屋の物語

「藤森照信のクラシック映画館」という本の発売記念イベントが京都の徳正寺というお寺で行われたことがある。 藤森照信のクラシック映画館 作者:藤森 照信 青幻舎 Amazon 矩庵という藤森さん設計のツリーハウスのようなお茶室も見せていただいたりしてとても…

文豪ものふたつ

気が付けば文豪原作の映画を続けて観ていた。 豊田四郎監督の「暗夜行路」と森田芳光監督の「それから」。 「暗夜行路」はふや町映画タウン所蔵の日本映画傑作全集VHSで鑑賞。 movies.yahoo.co.jp タイトル通り池部良演じる主人公がふさいだり、自分の気持ち…

蔵の中

蔵の中 [DVD] 山中康仁 Amazon 横溝正史原作、高林陽一監督作品。高林監督、「西陣心中」*1や「魂あそび ほうこう」*2でも京都の湿度のある昏さの表現に長けておられるなと感じている。こちらもまさしくそういう映画。戦前が舞台で中尾彬演じる編集者が、三…

ジュリーの世界

ジュリーの世界 作者:増山 実 ポプラ社 Amazon 70年代後半から80年代前半にかけて京都で学生時代を過ごした著者が当時の京都を四条河原町付近の有名なホームレス「河原町のジュリー」をキーに描いたもの。著者のあとがきによると、はじめ、「河原町のジ…

京都新聞連載 生田耕作ダンディズムより

京都新聞月曜朝刊に「生田耕作ダンディズム」という連載が掲載され、生田さんのプライベート出版社「奢霸都館」の後を引き継ぐ「アトリエ・サバト館」のページにその連載が載っている。7月19日に掲載されたこちら↓の内容は、メモを取っておきたくなるものだ…

行司千絵さん

京都新聞で気になる記事を見つけると「行司千絵」さんという方の署名記事であることが多い。このお名前、どこかで見た・・と思っていたら、ブックマークして巡回している神戸山さんのブログ「2ペンスの希望」で行司さんの本のことを取り上げておられていたの…

二十世紀少年読本、夢みるように眠りたい

京都、左京区に三茶という心惹かれるレトロ喫茶があったのだけど、そちらを林海象監督が2008年にリニューアルされ、「BAR探偵・喫茶探偵」となった。 kyoto.bartantei.com 地元なので友人*1と会うのに何度か使っていたのだけど*2レトロ喫茶として楽しみはし…

ある殺し屋の鍵

ある殺し屋の鍵 メディア: Prime Video 「ある殺し屋」*1シリーズの第二弾だけど、わたしはこちらの方がより好きかも。とても簡潔にまとまっていてニヤっとさせられる。雷蔵さんの物静かでストイックな仕事人という風情に惹きつけられるし応援したくなる。普…

晩春

晩春 メディア: Prime Video 原節子の縁談もので「晩春」派と「麦秋」*1派がいる、というはなしを先日目にしたが、わたしは「麦秋」派かな。。「晩春」は、強いセリフがたくさん出てきたり、思いをしっかり口や顔に出したりが多く、みていて気恥ずかしくなっ…

時代劇ざんまい

四連休中もふや町映画タウンから時代劇を色々借りてきて観ている。少し前の記事にも載せた橋本治氏の「完本チャンバラ時代劇講座」や春日太一氏の「時代劇入門」を読むことによって以前とは違うところにも目がいくようになった。 まずみたのは「鞍馬の火祭」…

風船

風船 メディア: Prime Video 1956年川島雄三監督作品。 森雅之が演じているのが実業家として成功しているけれど、ふとその生活の継続に疑問を感じている人物。リタイア目前みたいな風情だが、私、今までいろいろみてきた森雅之の姿の中で一番といってい…