イッセー尾形のひとり芝居 妄ソー劇場 その7

京都府立文化芸術会館ホールというこじんまりしたホールがイッセーさんはお好きとおっしゃっていて、ちらしをみると1995年からずっと公演されている。

何人かの人を主人公にオムニバス形式で演じられるのだけど(今回は7話)毎年恒例になっているのが「立体紙芝居」というシリーズ

紙芝居のおじさんが自転車に乗ってやってきて雪子ちゃんという薄幸風味の女の子の冒険譚を語るのだが、紙芝居の中の人物描写もおじさんが仮面をつけながら演じる。暗いもので誰の仮面かわからなくなる危うさもあって、会場がいつも共犯的な笑いに包まれる。毎回唐突に「つづく」となるのだけど、会場もこのシリーズを期待していて、はじまるやいなや「待ってました」の掛け声。良い空気。

七人の人物を演じられた中で今回私が好きだったのはムルナウ無声映画「最後の人」風味の老いた「ベルボーイ」(ちらしには載っていなかった演目。ちらしの「自衛隊」から変更。)と、「女性上司」、「税金ばあさん」の三作。

「女性上司」と「税金ばあさん」は身近にいるいる、こういうファッションでこういう話し方をする人という面白み。

骨格はイッセーさんのあの顔ひとつなのに、ある時なんかは動物にまでみえる妙技。舞台の上で衣装を替え、ちょっとメイクをかえるだけ(それもごく短い時間で)なのに・・つくりがシンプルゆえ「演じるとは」ということを考えさせられる。

 

2023年11月23日追記

先日丸尾末広さんのtwitterに展覧会のお知らせが載っていて・・このムードがイッセーさん演じる立体紙芝居の雰囲気にそっくりで誰かに伝えたくてしょうがない。