11月文楽公演

第一部が双蝶々曲輪日記、第二部が奥州安達原

桐竹勘十郎さんも関わっておられる「文楽へようこそ」*1という本に載っていた勘十郎さんの好きな役というのが、結構アクの強いような役だった印象があるので、今回演じられたこの安達原の鬼婆、かなり楽しんで演じておられたのではなかろうか。。ホラー作品に接しているときのこわいんだけどおかしくなってしまうような感じもよかった。なんといっても凶悪なことしながら糸まきのような日常的な作業の手は止めないところがいい。
それにしても、その老婆の名前が「岩手」だとか、もともとは、戦の残党側みたいなところから、こういうお話が作られた背景に、気持ちがいく。「中央対地方」「勝った側から書かれた歴史」みたいなこと。でも当たり前だが、それをそのまま演じるところに意味があると思う。

住大夫師匠が文字久大夫さんに熱血指導しているテレビで、「僕よりええ声してるのに」という注意のされ方をみたことがあるが、今回そのことを意識してみると、確かに文字久大夫さんの声はとてもききやすいと思う。つらつらネットをみていたら文字久大夫さんのHP発見。「たゆう」と読む人、「だゆう」と読む人、「大夫」と「太夫」の違いは?など日ごろから気になっていたことがちゃんと説明してあった。(こちら

双蝶々も廓と相撲界という私の好きな素材が出てきて楽しめた。歌舞伎の衣裳の本*2をちょっと前に読んでいたもので、意識して衣裳を仔細に眺めより楽しめた。男の人の縞柄の着物の裏地の花柄とかとてもきれい。

また展示室では文楽の舞台というテーマの展示がされていたが、「立版古」という立体的に組み立てる版画模型みたいなものがとてもすばらしかった。(こちら参照)