無法一代

 

京都、伏見の中書島遊郭が舞台ということで観てみた。「戦国群盗伝」が面白くて「六人の暗殺者」「国定忠治」と観続けている*1滝沢英輔監督作品。メリハリがあって観やすいつくり。

三橋達也新珠三千代の二人が縁故(宇野重吉)を頼ってやってきた中書島で裸一貫から遊郭をはじめる。三橋達也はなかなかイカす。「愛のお荷物」*2の時みたいにデレデレした感じでなくキリッとしている。新珠三千代はもともと若狭から買われてやってきた身、それが若狭に娘たちを買い付けに行くような境遇になっている。若狭出身の水上勉の作品に出てくる「越前竹人形*3や「五番町夕霧楼」*4日誌))の登場人物たちと重なる。

原作者は父をモデルにこの原作小説「廓」を書いたという。最後に話の出てくる赤ん坊が著者か?

少し前に五社英雄監督の「鬼龍院花子の生涯」を観たが、土佐の花街を舞台にした原作小説は、置屋の紹介人だった宮尾登美子の父が残した記録を参考として取材し創作されているとのこと*5。この作品と似たスタンスのように思うのだが、ちと派手派手しいばかりだった。まずは夏目雅子が放つ「なめたらいかんぜよ」の有名なセリフは実際に観てみると状況からちと違和感があったのだが、原作と設定が違っていたらしい。どおりでな。「鬼龍院〜」の方が大ヒットだったと思うけど画面の華やかさばかりでかなり大味になっていたのに対し、こちらは最後はちと安易だったけれど手堅い描き方だった。救世軍が廓の障害物になるあたりや中書島の川での舟を使ったお祭りの風景など興味深い。