2021-01-01から1年間の記事一覧

四つの恋の物語(1947)

eiga.com 四人の監督のオムニバス作品 第1話:初恋(豊田四郎)第2話:別れも愉し(成瀬巳喜男)第3話:恋はやさしく(山本嘉次郎)第4話:恋のサーカス(衣笠貞之助) 一番好きだったのは、山本嘉次郎監督の第三話。浅草オペラのような場所が舞台のこの…

悪童日記

悪童日記 作者:アゴタ クリストフ 早川書房 Amazon 映画*1がとても良かったこの作品、信頼できる方が原作も是非とおっしゃてたので読んでみた。海外文学から遠ざかって久しく東欧圏の話ともなれば読みにくいのではないかと手に取るのが遅れたが、まるっきり…

90年代後追い

90年代、個人的に子育て介護等がいっときに押し寄せ、観ていない映画も多い。現在活躍している監督の初期の作品*1も輩出していて90年代に積み残し感を持っているので、ちょこちょこと後追いで観るようにしている。 今週観たのはロシアのパーヴェル・ルン…

蔵の中

蔵の中 [DVD] 山中康仁 Amazon 横溝正史原作、高林陽一監督作品。高林監督、「西陣心中」*1や「魂あそび ほうこう」*2でも京都の湿度のある昏さの表現に長けておられるなと感じている。こちらもまさしくそういう映画。戦前が舞台で中尾彬演じる編集者が、三…

ジュリーの世界

ジュリーの世界 作者:増山 実 ポプラ社 Amazon 70年代後半から80年代前半にかけて京都で学生時代を過ごした著者が当時の京都を四条河原町付近の有名なホームレス「河原町のジュリー」をキーに描いたもの。著者のあとがきによると、はじめ、「河原町のジ…

松坂慶子氏つながりの「女ざかり」と「死の棘」

大林宣彦監督の「女ざかり」を鑑賞。 あの頃映画 「女ざかり」 [DVD] 吉永小百合 Amazon 原作丸谷才一氏。大林監督らしい古い家や町並みをノスタルジックに撮っているシーンが冒頭にあり、ひきつけられ軽い気持ちで観始めたら集中することに。新聞社で家庭欄…

「世にも奇妙な物語」風の・・

フジテレビで放映する「世にも奇妙な物語」風のドラマが割合好きで、 そういうテイストのものをすすんで借りてしまう。 本家本元のTVシリーズの「新トワイライト・ゾーン」も、ふや町映画タウンでは、 W・クレイヴンやW・フリードキンなどめぼしい監督のものが…

山崎ナオコーラさん

「人のセックスを笑うな」*1原作者の山崎ナオコーラさん、「人のセックス~」は映画だけ観たことがあったけれど、松山ケンイチが自由すぎる永作博美に振り回されるお話、という印象で終わっていた。 多分共同通信からの全国の地方紙への配信かなと思うのだけ…

ミシマ社の本 

前から ミシマ社という会社のことを仄聞し mishimasha.com 魂のこもったおもしろそうな出版社だなと好感を持っていた。 今年はミシマ社の本を二冊読む機会があった。 最近読んだのがいとうせいこう氏の「ど忘れ書道」 ど忘れ書道 作者:いとうせいこう ミシマ…

大阪

大阪 作者:岸 政彦,柴崎 友香 河出書房新社 Amazon 社会学者の岸政彦さんと作家の柴崎友香さんが交互に大阪テーマでエッセイを書かれているもの。刊行された時朝日新聞に対談が載っていてそこでも語られているのだが、大阪の通天閣だとかこてこてだとかのイ…

香華

木下惠介生誕100年「香華〈前篇/後篇〉」 [DVD] 岡田茉莉子 Amazon 80年代有吉佐和子さんの急死とその直前のTV番組「笑っていいとも!」出演について世間で珍奇のような視線で語られていることに対して橋本治さんが抗議を書いておられる*1のに触発されて何…

90年代の阪本順治監督作品

90年代の阪本監督の映画を続けて二本。 「王手」(1991) 王手 赤井英和 Amazon 「トカレフ」(1994) トカレフ ニューマスター・デラックス版 [DVD] 大和武士 Amazon 「王手」は将棋の真剣士という耳慣れない言葉が出てくる。つまり賭け将棋で生…

7月に読んだコミック

コミックの感想もたまりにたまっている・・忘れないうちにメモ。 大奥 19 大奥【通常版】 19 (ヤングアニマルコミックス) 作者:よしながふみ 白泉社 Amazon 大奥19巻で完結。良作大河ドラマをみていても思うのだけど、時代劇の神々しさっていいな。ファ…

きっかけを失いつつ

映画や本、鑑賞し終わってすぐ感想を書かないもので書くきっかけを失ってしまっている。。とりあえず本日読んだものから。 ぴんぽんぱん ふたり話 (集英社文庫) 作者:瀬戸内 寂聴,美輪 明宏 集英社 Amazon 2020年3月に集英社文庫になったようだけど、も…

京都新聞連載 生田耕作ダンディズムより

京都新聞月曜朝刊に「生田耕作ダンディズム」という連載が掲載され、生田さんのプライベート出版社「奢霸都館」の後を引き継ぐ「アトリエ・サバト館」のページにその連載が載っている。7月19日に掲載されたこちら↓の内容は、メモを取っておきたくなるものだ…

継ぐもの

春に父が亡くなったことと絡んで、何をみても「継ぐもの」という観点が頭をちらつく昨今。 まずは競技 かるた長編コミック「ちはやふる」46巻。 ちはやふる(46) (BE・LOVEコミックス) 作者:末次由紀 講談社 Amazon 表紙は祖父が永久名人である新くん。…

カリフォルニア

カリフォルニア [DVD] ブラッド・ピット Amazon fiorentinaxさんのブログでのご紹介を読んでVHSにて鑑賞。 殺人事件の現場を取材旅行しつつカリフォルニアを目指す都会派の若いカップルが、交通費を浮かすために同乗者を募ったところ、ブラッド・ピット扮す…

イタリア映画祭 2021

www.asahi.com イタリア映画祭2021というのが開催されている。 こういう時いつも良さそうだけどそこまで手が回らないというような気持ちでいたのだけど、今年は「ル・バル」*1や「ラ・ファミリア」で大好きになったエットーレ・スコラ監督の未見の映画が…

ロマンポルノ三篇

根岸吉太郎祭りの続きで吉太郎監督のロマンポルノ二篇と武田一成監督の一篇を鑑賞。 1.「狂った果実」(1981) 狂った果実 [DVD] 本間優二 Amazon ↑不敵な表情でこちらを向いている女性は蜷川有紀氏。蜷川幸雄氏の姪っ子で、猪瀬直樹氏の妻らしい。 彼…

根岸吉太郎監督

根岸吉太郎監督作品を三本連続で観た。 1.「ウホッホ探検隊」(1986) ウホッホ探険隊 [DVD] 十朱幸代 Amazon 先日 田中邦衛さんご逝去のニュースの時、twitterでこの映画のことが話題になっていた。私はつい小悪人役の仕事をまず頭に浮かべてしまう邦…

I'm So-So...、偶然(1981) クシシュトフ・キェシロフスキ監督を巡って

先日「デカローグ」*1で関心を持ったキェシロフスキ監督を撮ったドキュメンタリー「I'm So-So...」(1995)と、キェシロフスキ監督作品「偶然」(1981)を鑑賞。 www.imdb.com 「I'm So-So...」とは、キェシロフスキ監督がインタビューの中で、「苦…

真昼の暗黒

真昼の暗黒 [DVD] 草薙幸二郎 Amazon 橋本忍脚本の話題でtwitterに出ていたのだったか、あまり予備知識のないままに借りて観てみたら、娯楽性も兼ね合わせたがっちりした社会派映画で、しかも、実際に起きた「八海事件」の裁判に大きく影響を与えたという驚…

諏訪敦彦監督

諏訪敦彦監督の作品を二本観た。 ひとつは「2/デュオ」 2/デュオ 柳愛里 Amazon ↑ビデオジャケットの写真があまりにも打ち沈んでいるもので怯みそうになるが、すごい吸引力のある作品。西島秀俊が壁にぶち当たっている役者役で、同居の彼女への八つ当たりっ…

天知茂さんを追って

60年代前半生まれの自分にとってはじめてみた天知茂さんは、2時間ドラマの明智探偵役という感じで、なんだか決まりすぎている・・という印象だった。 旧作邦画を観るにつけ、「東海道四谷怪談」*1の伊右衛門や「憲兵銃殺」*2でクールガイのイメージをまず…

デカローグ、愛に関する短いフィルム

www.ivc-tokyo.co.jp クシシュトフ・キェシロフスキ監督が1988年に発表した全10篇の連作集「デカローグ」、デジタルリマスターされ、今全国で公開されているけれど、観に行った方の感想をtwitterで拝見しているうちにとても興味を持ち私も観始め*1、最後ま…

アラン・アルダ

90年前後のウディ・アレンの作品(「重罪と軽罪」(89)や「マンハッタン殺人ミステリー」(93)や)でよく見かけていた俳優アラン・アルダ。 www.imdb.com 脚本と主演を担った「ある上院議員の情事」*1が知的で面白い感じだったので監督作品を二作品を…

クシシュトフ・キェシロフスキ監督作品

クシシュトフ・キェシロフスキ監督、名前は存じ上げているけれど敷居を勝手に上げ、観る機会を逸してきた。 先日twitterで、#映像美がお勧めな映画10選 というハッシュタグで複数の方がキェシロフスキ監督の「ふたりのベロニカ」を挙げておられ観てみるこ…

雪之丞変化

雪之丞変化 [DVD] 長谷川一夫 Amazon 名前だけは以前から知っていたこの作品、長谷川一夫は林長二郎時代にも撮っているし、大川橋蔵や美空ひばりも演じている。今回観たのは市川崑監督作品。長谷川一夫300本記念映画。 主人公が二役の舞台をからめた仇討ちも…

行司千絵さん

京都新聞で気になる記事を見つけると「行司千絵」さんという方の署名記事であることが多い。このお名前、どこかで見た・・と思っていたら、ブックマークして巡回している神戸山さんのブログ「2ペンスの希望」で行司さんの本のことを取り上げておられていたの…

二十世紀少年読本、夢みるように眠りたい

京都、左京区に三茶という心惹かれるレトロ喫茶があったのだけど、そちらを林海象監督が2008年にリニューアルされ、「BAR探偵・喫茶探偵」となった。 kyoto.bartantei.com 地元なので友人*1と会うのに何度か使っていたのだけど*2レトロ喫茶として楽しみはし…