90年代後追い

90年代、個人的に子育て介護等がいっときに押し寄せ、観ていない映画も多い。現在活躍している監督の初期の作品*1も輩出していて90年代に積み残し感を持っているので、ちょこちょこと後追いで観るようにしている。

今週観たのはロシアのパーヴェル・ルンギン監督の1990年カンヌ国際映画祭監督賞受賞の「タクシー・ブルース」と、「ロシアン・ゴッドファーザー<ラヴィアン・ローズ>」(1996)そして、日本の「20世紀ノスタルジア」(1997)。

ルンギン監督の作品は、初めて観たけれど、二つともペレストロイカ時代のロシアを身近に感じられ、新鮮。

 

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「タクシー・ブルース」は、マッチョなタクシー・ドライバーが、タクシー料金を踏み倒したミュージシャンに労働でタクシー代金を払わせようとしているうちに芽生える心情がテーマだが、速水螺旋人さんというまんが家の方が↓のようにtweetされていて、頷く。

ただただ身体を鍛えていたら鬱なんかも吹っ飛ぶというような乱暴な理屈で悲惨な状況に耐え、他人にもそれを強要するタフで即物的なタクシー・ドライバーの心にミュージシャンが与える影響・・住む世界に違うもの同士が相手のことをちゃんと理解することは可能かどうか、そして愛情ってなんだろうという問いが、独自の社会体制を超え普遍的な力を持ってこちらに投げかけられる。でも何よりかによりペレストロイカの頃のモスクワ市民の生活の感じがわかるのが楽しい。

「ロシアン・ゴッドファーザー<ラヴィアン・ローズ>」は、実話を基にしたストーリーということで、どこまでが実話の通りだか知らないけれど、大胆さに驚く。白石和彌監督作品のような容赦のなさとおかしさの同居を楽しむ。ロシアン・ゴッドファーザーらしいアジア大陸舞台の仕事っぷりも新鮮。

もう一本観た日本の「20世紀ノスタルジア」、

 

 

こちらは広末涼子氏のデビュー作ということで、とにかく彼女が瑞々しく輝いている。チュンセとポウセという、宮沢賢治の「双子の星」という作品に出てくるキャラクターと絡ませて話が進む。原將人監督、少し前に1969年の新宿の様子が映っていると知り、「自己表出史『早川義夫』編」(1970)という作品を観たのだけど、↓のインタビューでも語られているその序章に入っている「理絵の巻」という高校生の女の子が出てくるストーリーがざらざらしていて好みだった。二作品を観て永遠の青春を生きる人生きたい人というイメージを持った。

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