ドキュメンタリー

ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男

オフィシャルサイト アルトマンの生涯を追うにはわかりやすいし、関係者のインタビューも楽しいものだと思う。ただ、タイトルから自分は以前ブログで拝見して心にとめていた、アルトマンの内面の分析みたいなものも描かれるかと期待していたもので、直接的に…

アントニー・ガウディ、BABEL

勅使河原宏監督の「アントニー・ガウディ―」。武満徹の音楽が美しく、ビデオジャケットに記されているようにまさに映像詩的作品。宮口精二氏のナレーション(ごく最小限)。時代の潤沢さも感じる。サクラダ・ファミリア以外にもグエル氏のための仕事*1など紹…

満鉄記録映画集 第8巻

ちょうど満映のドキュメンタリー番組*1をみた直後、ふや町映画タウンに満鉄記録映画集があることを知る。(こちら)第8集に収録されていたのは「娘々廟會」(1940)と「満洲大豆」(1938)。監修は財団法人満鐵会。 戦中からの「日本ニュース」をまとめたDVD「…

FAKE

日本映画専門チャンネルで今月は森達也監督が佐村河内守氏を撮った「FAKE」のディレクターズカット版が放映されている。(こちら) 去年劇場公開されていた時「衝撃の12分」とか「最後は誰にも話さないでください」などといろいろ聞いていたけれど、そうい…

ニュールンベルグ裁判、スペシャリスト

このあいだからの第二次世界大戦もの探求の流れで、戦争裁判ものを二つみてみた。 「ニュールンベルグ裁判」の方は劇映画、「スペシャリスト」の方はアイヒマンの裁判のドキュメンタリー。「ニュールンベルグ〜」の方がもちろん見やすく構成されているが、「…

人生フルーツ

津端修一さんのことは以前NHKでみて*1、工夫してできるだけ自給自足生活をされているところ、それが歯を食いしばっている感じでなくて、なんだかしゃれて飄々とした雰囲気で生活のデザインをされているのがとても心に触れた。 その津端さんご夫婦のドキュメ…

俳優 笠智衆 わたしと松竹大船撮影所

松竹の大船撮影所を建て替え工事するときに、笠さんがまだお若い時代に蒲田から大船に移動した撮影所の思い出、お仕事のことを語られるドキュメンタリー。笠さんの自伝*1を映像で確認できるような側面もある。古きよき建物が取り壊される、そのこと笠さんの…

ニッポンの嘘 報道写真家福島菊次郎 90歳

オフィシャルサイト国会前のデモを撮ったりされていた福島菊次郎さんのことを少しは知っていて、CSで放映された時このドキュメンタリー映画を録画していたのだけど、おいたままになっていた。先日NHKの「NEXT未来のために」という番組での「闘う写真の裏…

にっぽん戦後史 マダムおんぼろの生活

横須賀の米国人相手のバーおんぼろのママへのインタビュー まとめ方としてママの生きてきた時代のニュース報道映像をまぜてママのコメントも載せていっている。 差別の問題、そして、たとえばご成婚ニュースなどでもあっけらかんとママのおしゃべりが語られ…

菊之助挑む!「歌舞伎を受け継ぐ男の試練」

まずはこちら のHPにも載っている、お正月国立劇場の「通し狂言 小春穏沖津白浪―小狐礼三―」。伏見稲荷のようなたくさんの鳥居のシーンなどみていてとてもあでやかで楽しそう。どういう話なのか調べてみたらきちっと書いてくださっている方がいらっしゃるの…

ザ・パーソナルズ

NYのコミュニティーシアターで演劇の勉強をしているお年寄りの姿を描いているのだけど、ものすごく面白くまとまっている。素人さんのお芝居や日常を描くというと鑑賞に堪えうるかどうかというのがまず問題になってくるだろうけれど、「自分がパートナー募集…

もののけ姫はこうして生まれた。 

連休はどっぷり「もののけ姫」*1のメーキングドキュメンタリーを見ていた。 まずは分業をしながらも宮崎駿が色合いからバックからすべてに関わっているアニメーション映画の作られる現場、そして、鈴木プロデューサーによる興行の現場、そして、音入れ。特に…

牡蠣工場

第七藝術劇場にて鑑賞。 オフィシャルサイトまずは、牡蠣工場のある牛窓の港にわけもわからないまま連れてこられたような気分になる。だんだんに慣れてきて、人間関係や仕事の内容などがわかってきたところで、中国からの住み込みの人たちが登場。さあこれか…

人間蒸発

一応ドキュメンタリーの分類になっているようなのだけど、驚くべき映画だった。身元不明者を探す婚約者を撮ったものなのだけど、「ここまで踏み込んでいいのか?」というような内容で(素人を使った暴露系のテレビ番組のようなところもあり)、途中で、セッ…

アニメ師 杉井ギサブローの世界

公式サイト杉井さんは、「どろろ」どろろ Complete BOX [DVD]出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント発売日: 2005/09/21メディア: DVD クリック: 15回この商品を含むブログ (21件) を見るの総監督、 「千夜一夜物語」*1 千夜一夜物語 [D…

天のしずく 辰巳芳子いのちのスープ

辰巳さんや辰巳さんに共鳴を受けた人の丁寧な仕事をみていると、なぜだかお墓参りをして手を合わせた時のような、心の平安が訪れた。(そんなに行けているわけではないので尚更、いつも気になっていることができたような心持ちになるあの感じ。) 自分はいつ…

演劇1・2

ドキュメンタリーを観る側が堪能できるかどうかって作り手がいかにおもしろい素材を揃えてきてどうつなぐかというセンスにかかっていると思う。1年半の撮影期間、300時間を超す映像素材からこの映画が作られたようだけど、素材の取捨選択の仕方、みせかた…

ドント・ルック・バック/ボブ・ディラン

24歳のボブ・ディランの65年イギリスツアーの記録。彼がフォークからロックへ転向するまさに前夜ということらしい。 ボブ・ディランのことは有名な曲しか知らないような状態での鑑賞だったが、初心者でも十分楽しめるつくり。 この映画のボブ・ディランをみ…

ノンフィクションW 人形アニメーションの父・持永只仁の約束〜未完のシナリオが繋ぐ日本と中国〜

ゆっくりになってしまったけれど、夏にwowowでやっていたタイトルの番組をやっとみた。(番組紹介はこちら) 持永只仁という人は先日みた「桃太郎 海の神兵」*1の姉妹作である「桃太郎の海鷲」の撮影と技術・構成を担当した人であり、「アリチャン」 の背景…

リトアニアへの旅の追憶

ジョナス・メカスはふや町映画タウンの大森さんによると、アメリカンインディペンデント映画のリビングレジェンドのような方らしいのだけど、無知にして当方まるで知らず。。年末twitterで、その年に観たベストムービーにされている方が複数いらっしゃったり…

動物園日記

羽仁進監督。岩波映画名作選。 まず驚いたのが、アフリカでキリンがとらえられるところからこの映画がはじまるところ。動物園でずいぶん長い時間かけて取材し映画にまとめているのだけど、動物は基本無理やり連れてこられ、ここでの献身的な飼育はとりあえず…

カレル・ゼマンと子供たち

以前おはるさんにすすめてもらっていてずっと気になっていた作品をやっとみることができた。カレル・ゼマンの映画の作り方。ゼマンの、おもしろいことが好きな雰囲気を漂わせているあのたたずまいがまたいい。カレル・ゼマンと子供たち [DVD]出版社/メーカー…

映画と恋とウディ・アレン

ウディ・アレンの人生をまとめた映画。彼の映画を見ているときのような、その時間ずっといろいろなことを忘れて映画の世界にはいれるような心地の良さがあった。音楽なんかもウディ・アレンの映画のようで。 「ブロードウェイのダニー・ローズ」みたいなかわ…

すべての些細な事柄

ビデオパッケージより抜粋 フランスのブロワの「ラ・ボルト」は、フェリックス・ガタリと精神科医ジャン・ウーリーが1953年に設立した開放病棟のクリニック。そこで、毎年患者、看護人、医師たちが力をあわせて演劇の上演を行う。今回の出し物はゴンブローヴ…

アンリ・カルティエ=ブレッソン ―疑問符

その場面にいきあわせた幸せ それを写真として記録する というブレッソンの姿勢。 サラ・ムーン監督作品らしい構成の美しさ。 映画.com

コメディ・フランセーズ 〜演じられた愛〜

ドキュメンタリー映画についてふや町映画タウンで雑談していてこの映画の監督、ドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマンの話題が出、みてみることにした。(もうひとつふや町映画タウンにある「バレエ〜アメリカン・バレエ・シアターの世界」の…

ルー・リード:ロックンロール・ハート

80年代の映画「ゲット・クレイジー」*1でのさらっとしたかっこよさ、「ニコ・イコン」*2でみた若き日の姿などをみて詳しく知りたくなったルー・リード。ルー・リードのたどってきた道、周りの人が語る彼のよさは伝わった。プロモーションビデオのような感…

音のない世界で

パリに住むろう者たちの生活を追った物語。ハンディキャップが題材のもののとき、みる人が敬して遠ざけてしまうような作りのものがあるけれど、この作品はそういったものの対極にある。ごくナチュラルで、生活を丹念に描いているところからみえるうつくしさ…

フラメンコ

さまざまなフラメンコのパターンを、さまざまな演者(ビデオパッケージの説明によるとたとえばフラメンコ・ギター1本で世界を制覇したと称されるパコ・デ・ルシア、若き天才男性舞踊家=バイラオール ホアキン・コルテス、スペインで最も栄誉ある舞踊家メル…

フランク・ロイド・ライトの落水荘

ビデオパッケージから ペンシルヴァニア州の渓流の中」、流れる滝の岩棚の上に建てられた、アメリカ建築史上最も美しい建造物といわれるフランク・ロイド・ライトの落水荘。1934年、別荘としてこの家を発注したピッツバーグのデパート王の息子、カウフマンJ…