FAKE

日本映画専門チャンネルで今月は森達也監督が佐村河内守氏を撮った「FAKE」のディレクターズカット版が放映されている。(こちら
去年劇場公開されていた時「衝撃の12分」とか「最後は誰にも話さないでください」などといろいろ聞いていたけれど、そういったスクープ性みたいなものの対極にある映画。森達也氏と軽部真一氏(事件以前佐村河内氏とよく連絡をとっていたという)の対談も、私、軽部氏っていかにもフジのアナウンサーって感じだな・・と勝手に距離を置いていたけれど、なかなか真摯なものだったと思う。
佐村河内氏に2014年の総まとめみたいな感じで、フジのバラエティー番組から声がかかり、その交渉なども映っていたが、その時のスタッフ一人一人の比較的真面目な言葉とは裏腹に、結局佐村河内氏が出演しないことになったら新垣氏を時の人として消費する感じで出している姿・・誰が悪いとはいわないけれど何だか情けないものだった。新垣氏のサイン会に森氏が行って直に話した感じとその後事務所からの返事の隔たりなどに、最近よく考えている組織と個人の問題を感じた。
ディレクターズカット版には視覚障碍者の女の子のシーンが入っている。これはとてもよい(森達也氏によると「強い」)シーンで、ある意味ここをみるとかなり片方に気持ちが振れてしまうことと、女の子が劇場公開当時は未成年だったことも考え併せて劇場公開版ではこの部分をカットしたらしい。
何かに誘導するのでなく、ゆっくり考え続けようという森達也氏の姿勢、これからも見守っていきたい。

FAKE ディレクターズ・カット版 [DVD]

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