すべての些細な事柄

ビデオパッケージより抜粋

フランスのブロワの「ラ・ボルト」は、フェリックス・ガタリ精神科医ジャン・ウーリーが1953年に設立した開放病棟のクリニック。そこで、毎年患者、看護人、医師たちが力をあわせて演劇の上演を行う。今回の出し物はゴンブローヴィッチの戯曲「オペレッタ」。

撮影にあたってフィベール監督は、病理学や患者の病歴にはいっさい尋ねなかったという。
声高な主張もなければ押しつけがましい結論めいたものもいっさい用意しない。ジャン=リュック・ゴダールに"最近観た映画の中で最も好きな作品"と言わしめ、フランスでは半年に及ぶロングランを記録した貴重な一作

ニコラ・フィリベール監督、ろうの人の世界を扱った「音のない世界で」*1も本当に押しつけがましくなく、自分とは違う状態である世界をリスペクトして紹介しているのがちゃんと伝わっていてよかったが、この映画ではさらに、自分とは違うかどうかも離れて、とにかくそこにいる人々がひとつの目的で努力していく姿の美しさ、気持ちのよさを描いている。そして患者さんの絵や、看護人の伴奏、衣装など準備されるもののクオリティが高くて、紹介に値するものであり、福祉なんだから割り引いてみてね、というようなところが全然ないところがとてもよい。こうでなくっちゃ。


みたのはVHS版