コメディ・フランセーズ 〜演じられた愛〜

ドキュメンタリー映画についてふや町映画タウンで雑談していてこの映画の監督、ドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマンの話題が出、みてみることにした。(もうひとつふや町映画タウンにある「バレエ〜アメリカン・バレエ・シアターの世界」のほうを確かwowowで見て楽しめたような記憶もあったから)
とにかく語り口、まとめ方が上手で、ナレーションとかなく、稽古、運営会議(俳優さんがそれに参加している)、議論、本舞台、裏方および俳優の準備、団員の引退およびその後の生活などいろいろな角度からコメディ・フランセーズをのぞき見しているような*1構成になっているけれど、とてもわかりやすい。ざっくりいうと、市川崑監督の「東京オリンピック」みたいな作品にナレーションがついていなくさらにさらっとした作り方をしているというか・・・フィルムの集積からストーリーがちゃんと浮かび上がってくるのがおもしろい。

座長*2のカトリーヌ・サミーの姿がとても印象に残った。
ワイズマンとのインタビューで、水原文人氏は彼女のことを「いつも演技しているように見える」と問いかけ、

ワイズマンは、

彼女は(中略)コメディ・フランセーズの俳優たちのリーダーであるという自分の役割を非常に額面どおり、大まじめに考えている、もっと別の“演じ方”もあるのだが、しかしそれが彼女のやり方なのだ…でも『ラ・デバイッド』にでているときは、運営委員会に出ているときとは、まったく違うだろう。それが彼女の俳優としての技術なのだ。

と答えている。
私には彼女の日常が演技的という風にはじめみえなかったけれど、組織の中で自分をきっちりやっていこうと心がけたらそれは少なからず演技の要素があり、でも、本当に信じて役割を生きている場合当人は演技のつもりなどさらさらなかったりもするだろうな。

出てきている俳優さんのことをちゃんと知っていればもっと深い鑑賞もできるだろうけれど、知らなくても十分楽しめた。俳優や女優が化粧をして、舞台にそなえているところの緊張感が好きで、楽屋をどういう風にしているかというのも興味があるのだけど、ウディ・アレンのポートレイトを貼っている俳優さん、印象的だった。ウディ・アレンのヨーロッパでの人気の一端を見た気分。

*1:のぞき見、といっても撮られるほうは意識するのであって・・という話はおいておいて

*2:解説本のワイズマンの言葉では ドワイヤン(長老)