70'S

白い指の戯れ

all cinema 1972年 村川透監督作品。脚本神代辰巳。主人公伊佐山ひろ子の最初の相手が口ずさんだり、中盤の泡だらけになってのバカ騒ぎの時のサイケな空気も漂う場面に流れる俗謡風の音楽に、時代や思想はどんどん西洋の影響を受けつつもなにか姿かたちや性…

旅の重さ

昭和47年斎藤耕一監督作品。 若き高橋洋子と秋吉久美子。(秋吉久美子の出てくるところは少ないがとても印象的。)オーディションの1位と2位だったというようなことを読んだが、いずれも瑞々しい。(はじめ高橋洋子さんのことを関根恵子とごっちゃにしていた…

ポルノ時代劇 忘八武士道

忘八者とは、「八犬伝」のテーマでもあった「仁義礼智忠信孝悌」の八つの徳目をすべて捨てた連中という意味とのこと。 小島一夫の原作劇画を石井輝男が映画化。劇画を映画化したテンポ、ほんと裸だらけでナンセンスだけど70年代の空気が横溢しており、力が…

団地妻 昼下がりの情事

日活ロマンポルノ第一作。白川さんのほんわかした雰囲気が好きで、「ロマンポルノの女王」という異名と、近年のおばさんに徹しきったような演技、その落差がまたいいなと思ったりしていたのだけど、71年の白川和子さん、こんなに初々しく、今良いなと思って…

牝猫たちの夜

田中登監督の、エロスとタナトスの隣り合わせ感、この映画でも濃厚。「屋根裏の散歩者」*1ではタナトスがあるからこそのエロスを感じたけれど、この映画では、エロスに内在するタナトスを感じる。グレゴリオ聖歌のくだりのいたいたしさの良さ。 72年頃の新宿…

破壊!

エリオット・グールド、いい!赤いニット帽とスタジャンを飄々と着こなして。(日本でたとえれば「俺たちの旅」の中村雅俊風味か?「俺たちの旅」は75年、この作品は74年。「セルピコ」(73年)のテーマとも重なるけれど、「セルピコ」より、親しみやすく…

...you...GETTING STRAIGHT

こちらもtwitterで評判をきいてみてみたが、とてもよかった。 学生運動盛んなころの物語。エリオット・グールド演じる主人公ハリーの、一時は革命闘士でもあったけれど、今は将来学校の先生になって若い芽を伸ばしたいという気持ちを持っており、そのために…

麻酔なし

1978年 アンジェイ・ワイダ監督作品。 海外を飛び回っているデキるレポーターがいきなり妻から離婚を切り出され、陰謀めいた感じで仕事も減らされ、裁判で偽りの証言をされ・・というお話なんだけど、ビデオジャケットの解説によるとワイダ監督の政治的メッ…

流れ雲旅

NHK「美の壺」の東北の温泉特集の時北井一夫さんの湯治場を撮った写真が紹介されていて、北井さんのことを調べてみたら70年代につげ義春さんと一緒に温泉を巡られたそうで、この写真集にたどり着いた。この本が発行されたのは2016年5月で70年代に撮られ…

オレンジロード急行

とても愛すべき作品だった。嵐寛寿郎と岡田嘉子の老カップルがカージャックで南紀を目指す。電波ジャックの若者たちと世界がクロスして・・という物語だけど、78年のこの作品、アメリカンニューシネマをうまく咀嚼して陽性に描き、80年代前夜の気楽な雰…

愛の奴隷

同名タイトルの1994年の愛の奴隷 [DVD]出版社/メーカー: クリエイティブアクザ発売日: 2001/04/25メディア: DVD クリック: 8回この商品を含むブログ (4件) を見るこちらが、「サンチャゴに雨が降る」*1以来ちょっと追っかけているチリ・クーデターに関する映…

早春

1970年 イエジー・スコリモフスキー監督作品。60年代から70年代のイギリス映画が好きな私にぴったりはまる映画。(西ドイツ、英国合作映画。)学校を辞め、公衆浴場で働く小鹿のような少年。みうらじゅんの名作「色即ぜねれいしょん」*1のような性へのあ…

2000年のジョナス(ジョナスは2000年に25歳になる)

1976年 アラン・タネ―ル監督作品 1968年の5月革命を経た後の、そこからどうする?という頭文字Mの様々な人々のそれぞれの気持ちを描いた映画。一番好きだったのはスーパーのレジでのごまかしで老人たちをこっそり応援しているレジ係ミウ=ミウとおじいさん(…

新選組

1970年沢島忠監督の新選組。 三國連太郎の芹沢鴨が出色。 大河ドラマの「新選組!」で、栗塚旭さんが土方歳三のお兄さん役をしたり、沖田役で有名だった 島田順司さんが沖田の療養先の植木屋さんの役をして、刀を渡すシーンが、バトンのようで感動したり・・…

ビリー・ザ・キッド 21才の生涯

ボブ・ディランのドキュメンタリー「ドント・ルック・バック」*1をみた続きに、ボブ・ディランが音楽を担当している映画を。ディランは、エイリアスというビリーに惹かれている感じの若者役として出演もしている。 原題は「PAT GARRETT AND BILLY THE KID」…

特別な一日

「ル・バル」*1や「ラ・ファミリア」*2で好きになっていくつか作品をみていたエットーレ・スコラ監督が1月に亡くなられ、GYAOで追悼のため期間限定で「特別な一日」が無料配信されていた。ヒットラーがイタリア入りした日の、あるイタリアの高層アパートでの…

マル秘女郎責め地獄

twitterで、美術なども大層凝った作品と書かれていてみてみた。 もうタイトルロールがはじまるところからすばらしい。田中登監督はこちらと、「マル秘色情めす市場」*1の二本しか観ていないが、シャープさに打ちのめされた。なんというか二本とも街の撮り方…

リトアニアへの旅の追憶

ジョナス・メカスはふや町映画タウンの大森さんによると、アメリカンインディペンデント映画のリビングレジェンドのような方らしいのだけど、無知にして当方まるで知らず。。年末twitterで、その年に観たベストムービーにされている方が複数いらっしゃったり…

バクスター!

これも珠玉の作品の多いワイントローブ・ブリティッシュ・ライブラリーシリーズ。 ふや町映画タウンのおすすめ☆☆ (実は、けっこう・・おすすめ)作品。とてもよかった。心がつぶれてしまいそうな時、どうにかしたいのにどうにもならない感じ、それをはたで…

モンティ・パイソン・アンド・ナウ

シティボーイズの雰囲気のもとはここだな。スーツ着て澄ました顔して不条理なことする・・この夏にwowowで放映していた「シティボーイズのテツガク」とか確かタイトル絵もとってもモンティ・パイソンだった。 あと「ゲバゲバ90分」も影響与えていそう・・…

カラスの飼育

「ミツバチのささやき」の黒目がちのかわいい女の子アナ・トレント主演。まっすぐな姿勢でみつめてくるあの目が孤独な魂を静かに雄弁に演じていた。 服装やたたずまいがとてもすばらしく、どのシーンも絵になる美しさ。(この映画、杉浦さやかさんも「おしゃ…

夢野久作の少女地獄

「昼下がりの情事 古都曼陀羅」*1で出てきた白いピンポン玉、そして、この映画で出てくる白い風船・・今まで一般映画も含め三本みた小沼監督の作品の共通するテーマとして少女性への思いというものも感じる。 そしてその転位など、扱いがとてもいい。楽しめ…

昼下がりの情事 古都曼陀羅

清潔感あふれる若き音楽家Iさんが、かねがね日活ロマンポルノの小沼勝監督の映画をほめておられて、記憶にとどめていたのだけど、先日NHK「あさイチ」に出演されていた柄本佑氏が、小沼氏を絶賛。(朝の番組だけに監督の一般映画「NAGISA」*1をおすすめとし…

ザ・フロント

先日「ラジオ・デイズ」*1を再見し、ウディ・アレン関連のもので見たか見てないかはっきりしないものとかしっかり見ておさらいをしていこうという気になる。これは監督も脚本もウディ・アレンではなく、ウディ・アレンは役者としてだけ出ているだけというこ…

ロング・グッドバイ

82年に出た和田誠さんの対談集「映画に乾杯」で、和田さんが羽仁未央さんとこの映画について話をしておられ、和田さんにとってのフィリップ・マーロウはハンフリー・ボガードだとおっしゃって、羽仁未央さんはこの映画で演じたエリオット・グールドが飄々と…

フレンジー

ビデオジャケットより、 「もうヒッチコックも限界だ」と囁かれだしたヒッチが、久方ぶりに母国ロンドンに帰り、「ヒッチコック復活」を世界中にアピールした、晩年の傑作 文句なしにおもしろい。ぱっと音を消したり、見せるところを区切る効果、はさみこま…

悲愁 ―フェドラ―

79年ビリー・ワイルダー監督作品。脚本はワイルダーと「サボテンの花」*1で名前を覚えたところのI.A.L.ダイアモンド。「サンセット大通り」*2みたいな、女優のその後もの。グレタ・ガルボがモデルで、彼女で撮ろうとしてかなわなかったとか・・タイトルの…

続・激突!/カージャック

「激突」があたったからって、スピルバーグだからってこのタイトルはないだろう・・原題は「The Sugarland Express」。 なにか動物の母親みたいな感じで自分たちの子供をSugaraland(地名)に取り戻しに行こうとするゴールディ・ホーン演じるルー・ジーンと…

地獄の逃避行

「ボニー&クライド」もの、というか、若い男女の先のない流れ旅もの。「夜の人々」*1にはじまって、アルトマンの「ボウイ&キーチ」*2と今いろいろ見比べている状態なんだけど、これはこれでまた別の風合いのあるものだった。マーティン・シーン演じる男は…

ボウイ&キーチ

以前観た「夜の人々」*1と同じ素材をアルトマンが監督したもの。「夜の人々」もよかったけれど、これもすばらしい。「夜の人々」では巻き込まれている感もありそこが哀しかったけれど、こちらは、もう後戻りはできないからあえて進む、という意思が感じられ…