「ボニー&クライド」もの、というか、若い男女の先のない流れ旅もの。「夜の人々」*1にはじまって、アルトマンの「ボウイ&キーチ」*2と今いろいろ見比べている状態なんだけど、これはこれでまた別の風合いのあるものだった。マーティン・シーン演じる男はジェームス・ディーンにあこがれているだけの、守るべきものが抜けてしまっているがゆえに大胆なことも乾いた調子でやってのけるようなその場その場の人間だけど、それが、どこかいびつな育てられ方をしたお嬢様育ちのシシー・スペイセクの心をとらえてしまう感じ、ものすごくよくわかる。そして彼女の気持ちのその後も。凄惨さとはほど遠いのんびりした音楽と画面。シシー・スペイセクに語らせている物語であるから彼女の頭の中の風景であって・・という解説をどこかでみたがその通りだと思う。この音楽の感じ、どこかでききおぼえがあると思ったら、「トゥルー・ロマンス」*3の音楽はこの映画の音楽に影響をうけているらしい。またヴェス・アンダーソンの「ムーンライズ・キングダム」*4もこの映画の影響を受けていると思う。誰も知らないところでの二人きりの、文明人による原始時代ごっこみたいな生活。この作品では撮られた70年代の時代の空気も大変影響している感じがし、そこにぞくっともくる。