2000年のジョナス(ジョナスは2000年に25歳になる)

1976年 アラン・タネ―ル監督作品
1968年の5月革命を経た後の、そこからどうする?という頭文字Mの様々な人々のそれぞれの気持ちを描いた映画。一番好きだったのはスーパーのレジでのごまかしで老人たちをこっそり応援しているレジ係ミウミウとおじいさん(レイモン・ビュシェールという俳優さんらしい)の交流のシーン。

いつもお芝居ごっこみたいなのをしている二人が、刃物振り回すお芝居からダンスにつながるところなどもとてもチャーミングだし、ミウミウの歌声も幸せな気分になる。
おじいさんは赤いスカーフが印象的。二人で話している台所の後ろにもいつも赤いヤカン。ラストのジョナスの後姿もかわいい赤いズボン。まるで小津安二郎作品のように、赤い刺し色が印象的な映画だった。
そして、今の現実はこうだけど、それぞれの夢をつなげて力として統合したいと夢想している寒空の主人公の姿が、ちょうどいい頃合いで心に来る。作られたのは1976年だけど、今日的な映画でもあった。


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左、おじいさんとしゃべっている教師役の俳優さん(ジャック・ドゥニ)は三谷幸喜氏似。