ザ・フロント

先日「ラジオ・デイズ*1を再見し、ウディ・アレン関連のもので見たか見てないかはっきりしないものとかしっかり見ておさらいをしていこうという気になる。これは監督も脚本もウディ・アレンではなく、ウディ・アレンは役者としてだけ出ているだけということもあり、見てなかったと思う。

ウディ・アレンは、赤狩りで仕事を干された脚本家に名前を貸して10%の報酬をもらう契約をする男の役。監督はじめ多くのスタッフや
キャストがブラック・リストに載った人たちで、社会派「コメディ」として作ってあるが、赤狩りの表現はリアルで苦しくなる。コメディではなく正攻法で作った「真実の瞬間」*2でみてきたものともとても重なる。あちらはあちらの正統派の良さがあったが、こちらはこちらで、ウディ・アレンの主演のコメディということで間口が広くとれ、笑い泣きのような風合いで心に残ると思う。
ラスト、「ヤング・アット・ハート」*3

が流れる部分とか、また臆病で女性が好きなキャラクターとか、隋所ウディ・アレンの持ち味がとても活かしてある映画だと思ったが、ウディ・アレン本人が同じテーマで映画を撮ったら全く違うものになったであろうなと感じた。

余談だけど、ウディ・アレンの演じた男が俳優と同行した地方のパーティで脚本家って肩書ではそこにいた女性に全くウケなく、歯科医のハーマン・ミラーと名乗るとき、家具の会社かいなと目くばせに気が付けてうれしくなった。確かにちょっと頼りになる雰囲気の名前ではあるなあ。

ウッディ・アレンのザ・フロント [VHS]

ウッディ・アレンのザ・フロント [VHS]

*1:http://d.hatena.ne.jp/ponyman/20150922/1442907985

*2:http://d.hatena.ne.jp/ponyman/20150517/1431815254

*3:wikipediaによるとフランク・シナトラの曲らしい wikipedeiaを読んでいると、「ヤング・アット・ハート」はファースト・シーンにも出てくるのだけど、このとき一緒に流れる映像はとても皮肉に作られていたことを知り、はじめと終わりにかかるこの曲が最初は表面に見えている良きアメリカ、終わりはアレンの演じた主人公への言葉かけみたいになっていることに気が付く