82年に出た和田誠さんの対談集「映画に乾杯」で、和田さんが羽仁未央さんとこの映画について話をしておられ、和田さんにとってのフィリップ・マーロウはハンフリー・ボガードだとおっしゃって、羽仁未央さんはこの映画で演じたエリオット・グールドが飄々としていい、と語っておられたが、私は断然羽仁さん派。(渋さがなくて飄然としているもので和田さんにとってのマーロウのイメージではないだけで、和田さんもエリオット・グールドのことは嫌いじゃないらしいが。)
声高に何かをいったりしないし、軽い調子なんだけど、自分のやり方がくっきりとみえて、またその意を通そうとすれば世間的にははずれものとしてやっいくことになる、そこからくる哀愁がよく出ていてアルトマンらしい映画だと思った。
またこの映画のテーマとなる音楽が、渋いボーカル、クラブの練習、乾いてアコースティックな感じ、さらにはメキシコのお葬式のシーンなどいろいろな形で出てきてその使い方のセンスがとてもいい。
先日見た「コンバット」*1でもだったのだけど猫や犬との描写が、そのときの暮らしぶりを巧みに表現している。特にこの映画でのフィリップ・マーロウと猫とのやりとりはDVDの表紙にも使われているくらいマーロウの人となりをとても表現していてとても印象的だ。(ただし、出てくるのは表紙のような白黒のネコでなく、茶トラみたいな猫だけど・・)
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2014/04/17
- メディア: DVD