麻酔なし

1978年 アンジェイ・ワイダ監督作品。
海外を飛び回っているデキるレポーターがいきなり妻から離婚を切り出され、陰謀めいた感じで仕事も減らされ、裁判で偽りの証言をされ・・というお話なんだけど、ビデオジャケットの解説によるとワイダ監督の政治的メッセージが込められているとのこと。
いつも話法に惹きつけられるアニエスカ・ホランドが共同脚本を担当している。ホランド監督の映画のちょっとした毒、厳しい視点と見やすさが常々好きなんだけど、この映画もそういう特長を備えている。
はじめは主人公がテレビで絶好調ぶりを放映されているところからはじまり、また堂々としているので、妻からの不意打ちの申し出や、仕事の不遇も「ま、いろいろあるさ」という感じでみはじめたのだけど、度重なる不可解な出来事を追っていくと、なにかカフカの作品世界に迷い込んだような気持になる。でも、難解でみるのが嫌になることは決してなく、俳優陣の演技にとてもひきよせられ、あっという間の終幕。
表面的なドラマの部分を享受したものの、これがポーランドの政治状況だったのだろうから本当は暢気なばかりではいられない。

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