昭和

女校生 天使のはらわた

all cinema 公開時「女高生 天使のはらわた」だったのを「女校生」にかえたとのこと。ビデオ以外にみる機会が少ない作品のようだが、確かに主人公の孤独で追いつめられた気持ちは表現されているがレイプシーンが容赦なく、抵抗感大いにあり。どんづまりの男…

博多っ子純情

1978年曽根中生監督。 「嗚呼!!花の応援団」*1で曽根監督の別のものもみたくなり、こちらも。楽しかったー。 光石研ら公募博多っ子三人組演じる中学生のかわいらしかこと!中学生だけに性にも興味を持っているけれどそれがもうほどよく、「色即ぜねれいしょ…

甦る昭和脇役名画館

鹿島茂さんの映画鑑賞史をたどりながらの、鹿島さん一押しの脇役案内。ニュートラルに経歴を辿るものでなく、まず鹿島さんがその俳優のどの演技に惚れたか、そこからの話で熱さが楽しい。そのあと経歴がはさまれ、その演技の魅力の秘密が書かれている。岸田…

仁義の墓場

仁義という言葉が通用しないような、計算もなしに自分の組織に歯向かったりする実在の人物石川力夫を描いたもの。大阪の芹明香との場面は、「マル秘色情めす市場」*1ととてもつながっている感じがする。樋口尚文氏の「ロマンポルノと実録やくざ映画」による…

怪談 昇り龍

おもしろかった。すごくよくできている。怪談話と任侠をうまく組み合わせテンポよく笑いの要素も取り入れまとめあげてある。 梶芽衣子の女親分をつけ狙う盲目の女役のホキ・徳田の迫力のあること。それを影でささえる見世物小屋の土方巽!加藤嘉さん演じる梶…

嗚呼!花の応援団

やんちゃでついていけない世界の話と思い込んでいたが、「けんかえれじい」風味との評を読んでみてみたら、ほんとその通り。なんかかわいらしくてよい感じ。昭和後期のバンカラ。主人公の三年生青田のあこがれの女、青田の父の愛人、宮下順子も私が今までみ…

荒野のダッチワイフ

リリー・フランキー氏の日本映画コラム「日本のみなさんさようなら」によると監督の大和屋竺氏は「日活の鈴木清順一派の『具流八郎』の一員として『殺しの烙印』を書き、旧『ルパン三世』の最高傑作『魔術師と呼ばれた男』の脚本でも知られ、60年代末なら…

実録 阿部定

田中登監督が画面にこだわる人であることはきいていて、ちょっと町にでるところや室内の雰囲気は素晴らしいと思ったが、話としては女中だった阿部定が主人筋である男と遁走して、部屋にこもって性愛三昧という部分が、いかにも先のないやけくそ感に満ちてい…

エノケンの孫悟空

昭和15年度作品。ディズニーのヒットメロディー(「ハイホー」や「狼なんかこわくない」等々)の旋律が大胆に使われているという話をきいていて気になってはいたのだけど、windshipさんの日記を拝見し、借りてみることに。日記で書いておられた高勢実乗さん…

屋根裏の散歩者

これまたtwitterでの石橋蓮司さんのベスト5に挙げてられた(こちら)意見から、さらにまた最近追っかけている田中登監督でもあるので鑑賞。 石橋さん、対象への特殊なアプローチぶりが和製テレンス・スタンプ(「コレクター」*1時)みたいな雰囲気。 田中登…

女組長

映画comの紹介 江波杏子扮する女組長とは鳶、ゐ組の組長の跡取りという事。時代は明治末期。新橋駅近くの運輸に関する利権を巡ってのきなくさい騒動。(←火消しだけでなく、運輸業に手をのばしたりしていたらしい。) 江波杏子は、火消しの跡取り娘ではある…

人妻集団暴行致死事件

大傑作。 昭和53年度作品。キネマ旬報ベストテン第8位。ロマンポルノのベストに挙げる方もいらっしゃるとのことだったが、よくわかる。 地元で再会した不良仲間三人。根はそんなに悪い奴らではなく、ごくごくどこにでもいそうな若者たちが、ただもう愚かし…

この世界の片隅に 前編・後編

映画*1の方がわかりやすく作ってあるような気もした。 原作の方が色々な方向からその時代を描いているのだけど・・特におもしろかったのは前編の悩み相談の形式を使って描いているところ。後編の愛国かるた、衣料切符を女の子の入学にいる一式として描いてい…

おんなの細道 濡れた海峡

twitterで、石橋蓮司さんのベスト5作品という感じでこの映画を挙げておられる方がいらっしゃって(こちら)、調べてみたら陸中海岸が舞台のようで、みてみた。すごい拾い物!みてよかった。 ストリップ劇場のある町は盛岡では?上之橋の風景におぼえあり。途…

日本の悲劇

ビデオジャケットより この作品は終戦の翌年制作されたが、公開後一週間で上映禁止、そのフィルムを占領軍に没収された。編集に当たった亀井文夫は戦時中から反戦色を漂わせる映画作家として日本軍部の批難の的であった。この作品で亀井は、支那事変から太平…

惜春鳥

会津若松や東山温泉を舞台にした、同級生たちの「リアリティ・バイツ」のような話。津川雅彦の洗練されたかっこよさに目を瞠った。ちょっとした着こなし、身のこなしなど。そんなに好きではなかったのに、役柄もよい役だったので素直に感心した。でもライバ…

隣りの八重ちゃん

昭和9年作品。大正生まれの父の幼き日のアルバムでちょうどこの頃の風景をみたことがあるが、そこから漂っていたものがこの映画からも感じられ驚いた。前年には国際連盟を脱退していたりしているのだから、どんどんとそう時代になりつつあるのだろうけれど…

美わしき歳月

1955年小林正樹監督作品。最近やっとポツリポツリと小林正樹監督のものをみているけれど、かなり好きかも。これは戦後10年後の若者たちと、親世代、祖父母世代の物語。その葛藤やら相手を思う心やらは今でも変わらない。また中学時代の友人が社会に出てそ…

妻の心

「サンデー毎日」7/2号の「『名画座女子』が選ぶ日本映画知られざる名作極私的ベスト10」という記事があり、DVD化されているもの中心の記事だったので、ベスト10には入れておられないけれど、筆者ののむみちさんがこの「妻の心」のことを大好きと書か…

この広い空のどこかに

サンデー毎日7/2号に南池袋の古書往来座ののむみちさんおすすめの「日本映画知られれざる名作極私的ベスト10」という記事が出て、そこにのむみちさんの生涯ベストに入る映画として紹介されていてレンタル。多世代家族で暮らす私にはわかりすぎるストーリー…

激動の記録、幻の響写真館

「激動の記録」は昭和15年から26年までの日本ニュース。同封の元NHKエグゼクティブ・ディレクター山崎俊一氏の解説によると、日米交渉破局のあとの開戦の時代の日本と戦争を記録した映像は世界でこの日本ニュースだけだそう。国策に協力したとか、好戦的なニ…

初恋 地獄篇

寺山修司と羽仁進の脚本、監督は羽仁進。昭和43年。東宝のATGビデオ文庫というもので視聴。 お茶の間からの悲劇、町の暗部のSMショーめいた仕立ての撮影会、むなしき笑う会、新宿西口で孤独な人の為に売っている相槌テープなど、寺山修司の香りがすごくし…

叛乱

宮部みゆきの「蒲生邸事件」や、鈴木清順の映画「けんかえれじい」で触れたことのある二・二六事件。いまひとつわかっていなかったのだけど、ドキュメンタリータッチで撮られているので(ビデオに添付されていた山根貞男氏の解説によると、立野信之氏の原作…

赤線最後の日 -昭和33年3月31日ー

昭和49年のにっかつロマンポルノで、その当時の若者がこの辺は赤線で、とロケで訪ねるドキュメンタリー的な、割合親切な説明のシーンからはじまる。「マル秘色情めす市場」*1での乾ききった様子がアナーキーな感じでかっこよかった芹明香さんが、またまた…

にっぽん泥棒物語

素晴らしかった。骨太でおもしろい。人間が個人の都合を乗り越えて社会のための行動を起こすことができるか、それを高邁すぎる形でなく、三國さん演じる職人肌の泥棒が主人公という設定で描いていて、楽しい。(戦後すぐの設定でもあるし、結構泥棒に対して…

激動の記録 第1部

映画館で本編上映前に流される日本ニュース。この巻は昭和15年〜20年まで。 学徒出陣の姿、国の定めたように行動しなければならない有様。。一番やるせない。再現フィルムではない映像の力。 最近、太平洋戦争前後のものをまとめてみていて、例えば去年…

1970年代NIPPON

あとがきより 1970年代の日本は、工業化と高度経済成長の時代で、日本人の生活が豊かで便利になったとよく言われた時期だった。 (中略) この写真を撮影している間も、農村の人口は労働力として大都市に吸収されつづけ、農村の過疎化が進行していた。 70…

太平洋奇跡の作戦 キスカ

最近太平洋戦争ものを続けざまにみているのだけど、珍しく成功した作戦もの、ということでこの映画もみてみた。三船敏郎の陽性な感じがうまく生きている。 無線を傍受されるかもとの危惧から時々刻々の変化への対応を相談できないつらさ・・「聯合艦隊司令長…

激動の昭和史 軍閥

「日本のいちばん長い日」、「激動の昭和史 沖縄決戦」*1と東宝の8.15シリーズをみてきて描き方に好感を持ち、この作品も借りてみた。(まんだらけのサイトに8.15シリーズの紹介あり。) 2.26事件からの軍部台頭、太平洋戦争が起きるに至る政府関係者の言動…

武蔵野夫人

息子が今、東京の武蔵小金井に住んでいて、その案内でよく出てくる崖地形「はけ」という土地。大岡昌平原作の「武蔵野夫人」はそのはけの土地が舞台だと知ってみてみることにした。 田中絹代が芯の強い女主人公で、観る前からしんどいものだろうなと思ってい…