激動の記録、幻の響写真館

「激動の記録」は昭和15年から26年までの日本ニュース。同封の元NHKエグゼクティブ・ディレクター山崎俊一氏の解説によると、日米交渉破局のあとの開戦の時代の日本と戦争を記録した映像は世界でこの日本ニュースだけだそう。国策に協力したとか、好戦的なニュースばかりと戦後評価されたらしいが、ほんとにその実態の映像がみられることも尊い。山崎氏が書かれている、一人一人の兵士の表情や、緊張し笑顔の乏しい銃後の人々、その背後に散見するゆとりのない時間・・意図か無意識か、その時代のリアルが映っていて力強く胸に迫る。また、庶民だけでなく、政治の中枢にいた人々の姿もいろいろ考えさせられる。劇映画ではみていても、それとはまた全く違う迫力。

ちょうど、最近昭和2年生まれの母の伯父が経営していた長崎の響写真館というところの記録に恵文社で開催されている展覧会でふれたところ。偶然知った展覧会で母や仲の良かった従妹の戦時中の青春に触れ、成長途上母にかなり反抗的だった自分も、とても素直に心が動かされた。「この世界の片隅に*1のすずさんとも年齢の近い世代。母は現在言語障害があり、彼女側からはうまく意思の疎通はできないけれど、ぐっと胸に来たそのことをとりあえず伝えられた、その状況に自分がなれたこと、これらの作品にすごく感謝。
そして、恵文社の講演会でも話の出ていた、二つの世界大戦の間に文化的に豊かな時代があり、その国が最終的にあのような方向に進んでいったことも、本当に今と重ね合わせてしまうし、悪い方向にならないためにできることはしていきたいと強く思う。

NHK特集 激動の記録 DVD BOX

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『長崎 幻の響写真館 井手傳次郎と八人兄妹物語』

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