昭和

眼の壁

松本清張もの。大庭秀雄監督のものを最近追っかけているものでみてみた。佐田啓二演じる萩崎が、会社の上司が巻き込まれた事件を必死で追う、しかし、そこには途中で出会った女性への関心もあって・・という、みていて、危なげを感じたり(といってもきっと…

激動の昭和史 沖縄決戦

少し前みたメル・ギブソンの「Hacksaw Ridge」*1の町山智浩氏の解説*2で、その舞台を日本側から描いたのがこの「沖縄決戦」だと知り、またこの映画に庵野監督もとても影響をうけておられるようなこともきき、みてみることにした。 「シンゴジラ」をみてない…

恋や恋なすな恋

内田吐夢監督が歌舞伎のストーリーをもとに作った「花の吉原百人斬り」がよかったので、引き続き人形浄瑠璃の「芦屋道満大内鑑」及び清元の古典「保名狂乱」を素材に作ったこの作品をみてみた。(脚本も「花の吉原〜」と同じく依田義賢。) かねてからちゃん…

薔薇合戦

ドラマ「男たちの旅路」を立て続けにみて、鶴田浩二氏が気になり、若き日の作品を。夫と化粧品会社の乗っ取りをもくろんでいた妻が夫の死亡により女手ひとつでそれを成し遂げるが、その家族(三姉妹)に群がる困った男性どもという昼メロのような展開。成瀬…

キネマ洋装店のたかぎさんのイベント*1にて過去にたかぎさん企画で神保町シアターで上映された「女優とモード 美の競演」のちらしをいただき、そこにこの映画が紹介されていたので興味をもってみてみた。 タイトルがあまりに昔のメロドラマみたいで警戒して…

妖刀物語 花の吉原百人斬り

文楽の好きな友人から文楽と日本映画がお好きな方のブログを教えて頂き、拝見していたらこの映画をほめてらっしゃって。。ふや町で借りてきた。古典歌舞伎の名作「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえひさめ)」の話をもとに依田義賢脚本、内田吐夢監督で作…

十六歳の戦争

8/7豊川大空襲の慰霊祭を中心にあの世とこの世をつなぐものが描かれている。エディプスコンプレックス的な空気も下敷きに持ちつつ。旅先でみたかぶきもののように踊る異形の人々の姿や、白い被り物をして火を持って練り歩く姿、精霊流しなどが印象的。 戦争…

シブいビル

今までどちらかというと明治や戦前の近代建築にばかり目がいっていたが、高度成長期生まれのビルも不思議な魅力があるものだなあ。写真の撮り方もうまい。(白川青史氏)文章は「東京人」副編集長の鈴木伸子さん。みてみたくなった場所 有楽町ビル 喫茶スト…

トットチャンネル

これまた「オレンジロード急行」の影響で、大森一樹監督作品を。この作品も「オレンジ〜」同様、のんびりした間合いでゆっくりした気持ちになる。 去年NHKでやっていた「トットてれび」と同じくベースは黒柳徹子さんの著書。「トットてれび」の方が華やかに…

俺は田舎のプレスリー

訪れたことのある五所川原が舞台というのと、先日観た「オレンジロード急行」*1でみた往年のアラカンさんの姿がよかったので、アラカンさんつながりでこれも借りてみた。山田洋二原案で、あの流行った吉幾三の曲のタイトルで・・とまあ気楽な気持ちで借りた…

原節子の真実

原節子や小津監督の話は伝説のようにそれなりに流布されていると思うけれど、この本はそこにあえてものすごい取材力でもって挑んだ渾身の作品だった。同じ著者による映画「夜の蝶」のモデル上羽秀さんの伝記「おそめ」*1も、対象への近づき方が読者を満足さ…

故郷 

日本映画チャンネル山田太一劇場ですっかり老年期の笠智衆さんづけになって昔録画していたこちらもみてみる。 瀬戸内海で小舟で生計をたてている家族が、たちゆかなくなり、都市の労働者になろうという映画。一部ドキュメンタリータッチもとりいれてある。実…

にっぽん戦後史 マダムおんぼろの生活

横須賀の米国人相手のバーおんぼろのママへのインタビュー まとめ方としてママの生きてきた時代のニュース報道映像をまぜてママのコメントも載せていっている。 差別の問題、そして、たとえばご成婚ニュースなどでもあっけらかんとママのおしゃべりが語られ…

蕾の眺め

平田満の役回りに、日活ロマンポルノ版「蒲田行進曲」の趣きあり。 ものすごい豪華スタッフとキャストの日活ロマンポルノ。(田中登監督、早坂暁脚本、「蒲田行進曲」でいうところの「銀ちゃん」的存在としての佐藤浩市。ストリップの振付師に加藤嘉←ものす…

軍旗はためく下に

昭和47年のこの作品、今これだけのものが作れるだろうか?遠慮もなにもなくシャープに、そして、夫の死の真実をただ知りたい戦争未亡人の左幸子をうまく使って、ごく身近に、戦場ひいては人間同士の集まりの現実を共有できるようになっている。ずしんとき…

指導物語

movies.yahoo.co.jp昭和16年作品。冒頭「往かぬ身はいくぞ援護へまっしぐら」だとか「陸軍省鉄道省検閲済」という文字がものものしく、時代の空気をいきなり浴びる。原節子の義理の兄でもある熊谷久虎監督はビデオに封入された解説にもこの映画を撮ったあと…

妻は告白する

若尾文子が女優として飛躍を遂げた映画という話を読んで、みてみた。 一番おもしろかったのは、公判後の川口浩演じる思われ人の気持ちのありよう。 影の差し具合とか、人の悪い家政婦さんの動作動作の投げ出し具合、公判の野次馬記者のアップから始めるよう…

沓掛時次郎 遊侠一匹

先日NHKで放映してた柄本佑が寅さん誕生前の渥美清を演じたドキュメンタリードラマがとても良くて・・内に秘めた炎を持ちながらの冷めたまなざしが渥美さんに相通じる気がした。柄本さん、すごく映画好きで、折にふれて語られる映画に関する話が面白くて。ド…

原子力戦争

昭和53年度 黒木和雄監督作品。舞台は福島の原発。無許可で撮影して制止されている映像まで入っている。田原総一朗原作だけど、wikipediaによると原作とストーリーは違っているらしい。事故隠しを巡るストーリーは、昨今耳にする話のようでとにかく驚く。 文…

大いなる旅路

三國連太郎が一鉄道員の19才から55歳までを演じ切るが、まずはじめのやる気のない時代の色気のあること。前をはだけたような制服の着こなしが魅力的。結婚して家族を持って。。という変遷もとても自然でまた主人公の年齢が近いものでもう他人事ではない感じ…

野菊の如き君なりき

有名な「野菊の墓」のおはなし。それだけに、だいたいの流れは知っていたが、とにかく人のうわさ、集団圧力に潰されるほのかな想いが気の毒でならない。民さんの祖母を演じる浦辺粂子さん、とても心に残る。このとき50代前半だと思われ、共演の杉村春子さ…

白蛇伝

東映アニメーションの創立60週年を記念ということで、いま「創立60周年公式YouTube公式チャンネル」で、期間限定で「白蛇伝」や「長靴をはいた猫」を無料配信している。こちらの記事参照。リンクをたどって動画配信をみることができる。まず導入部の切り絵を…

喜劇 団体列車

「喜劇 急行列車」に続く第二弾。昭和42年 瀬川昌治監督作品。渥美清が国鉄職員というところは同じだが、今度は独身。四国が舞台。松山、宇和島、高知、徳島が出てくる。大まかな構造は寅さんのような映画。軽い恋心がからまって・・ラクに楽しめる。渥美…

喜劇 急行列車

昭和42年 瀬川昌治監督。盛りだくさんで楽しい映画。なんといっても自分が子供のころ長崎に行くとき乗っていた寝台特急さくらが舞台なのがうれしいし、昭和を彩る出演陣、電車の風景が楽しい。あの直角っぽい座席。鉄道の好きな家族によるととても貴重な映…

その場所に女ありて

みることになったきっかけのキネマ洋装店さんのページにいちいちうなずいてる。冒頭、男言葉の「幹事長」なる女史に圧倒されたが、ずっとみているうちに違和感はなくなってくる。キネマ洋装店さんの書かれているとおり、きりっとした司葉子の女を武器にしな…

裸の十九才

永山則夫をモデルにした男を演じるのは原田大二郎氏。これがなかなかハマっていて、集団就職で東京に出てきた素朴そうな、でもどっちに向かうのかわからない青年という感じが出ていた。 なんといっても強い光を放つのが太地喜和子の出演シーン。 すごい眼力…

ひげとちょんまげ 生きている映画史

昭和3年から映画を撮ってこられた稲垣浩監督が映画界や撮影所、スターのこぼれ話を書いておられるコラム集。読みやすく、元気で臨機応変な撮影現場の空気がこちらに伝わる。 戦前戦後を生き抜いてこられた監督、戦前の映画事情など初めて知ることも多い。ふ…

はだかっ子

田坂具隆監督。昭和36年作品。小学校6年生の物語。映画自体もカラーになっているし、日本もだいぶ豊かになった感じはあるけれど、主人公の男の子は生まれる前に父親が戦死、木暮実千代演じる母親が、工事現場とチンドン屋の仕事のかけもちをしてなんとか生…

坂本九 7時にあいまショー

NHKの「トットてれび」で、錦戸亮氏演じる坂本九の雰囲気が本当にみなに愛されている感じで、その最期を知っている自分はあたたかな歌声でなにか一杯になったりしたのだけど、ほんものの坂本九氏のテレビ歌謡ショーがふや町映画タウン在庫にあったので、借り…

略称連続射殺魔

足立正生監督(1969)なんともシャープでがつんと来る。永山則夫が転々としてきた土地の風景。北海道、青森、東京、横須賀、京都、梅田等々・・最小限のナレーションで風景を追うだけでなく、その画の構成がぐんと胸に迫る。 映画の中でも出てくるけれど…