大傑作。
昭和53年度作品。キネマ旬報ベストテン第8位。ロマンポルノのベストに挙げる方もいらっしゃるとのことだったが、よくわかる。
地元で再会した不良仲間三人。根はそんなに悪い奴らではなく、ごくごくどこにでもいそうな若者たちが、ただもう愚かしくまんも悪く「ファーゴ」のように重大事件をひきおこす。なにか文楽の題材になりそうな筋。
凄惨な感じは一切なく、青年たちの日常と、かかわりができてしまう室田日出男の姿、つきぬけたむなしさを描いた、大層心に残る作品。田中登監督の作品、今まで見た「(秘)色情めす市場」*1「(秘)女郎責め地獄」*2「蕾の眺め」*3そしてこちら、どれも素晴らしく、追っかけたい。
三人の男たちのリーダー格のようなのが、古尾谷康雅を名乗っておられる時代の古尾谷雅人。田舎の不良のリーダー的な振る舞いがさまになっている。
飲み屋のおかみ絵沢萠子を誘ってきて、若い男たちと室田日出男ががんがん飲ませるシーンのおもしろさ。ノリノリの絵沢さんがすごくて声を出して笑った。
「(秘)色情めす市場」とも共通する、鶏の羽根の出てくるシーン、無垢なるものの象徴か?黒沢のり子さんが絶妙の雰囲気。
室田さんの表現している男の生き方、愛情表現がまた素晴らしい。