昭和

893愚連隊

おもしろかった!なんだかすごくドライで。天知茂の戦中派対近藤正臣のクールな戦後派みたいな対比、若き松方弘樹のアニキ的魅力、そろばん勘定の荒木一郎、とか役割分担も明確で。なんか全体にコミカルなものが流れていて楽しめるし、京都の街中での隠し撮…

五番町夕霧楼

朝日新聞の「映画の旅人」というコーナーにこの映画のことが取り上げられていて監督の田坂具隆氏が三高出身ということで1963年、佐久間良子主演だった方のこの作品に興味を持ち見てみた。 最近つくられる遊郭ものみたいにただ遊郭の華やかさ、そこにちらっと…

伊藤大輔監督と伊丹監督をたずねて

ふと出かけたくなり、前から行きたかった松山の伊丹十三記念館に行くことを思いつく。行き先を父に伝えると、松山からは遠いけれど宇和島に伊藤大輔監督生誕の地の碑があり、自分も大学の映画部の人と一緒にその建立に少しだけかかわったとのことだったので…

空の色ににている

昭和56年5月に出たこのコミック。同世代の複数の知人がかけがえのない本としてこの作品および内田善美さんのことを挙げている。細密な絵と昭和の終わり頃の背伸びした高校生の観念的な世界の描写。独特の存在感がうっとりさせるものを持っている。空の色にに…

集金旅行

「神様のくれた赤ん坊」*1の元になっている映画ということでみてみた。 昭和32年の作品で、西日本への鉄道の旅の情景は楽しいし、岡田茉莉子がちょっと軽い感じなのがなんだか意外な感じもあり(「秋津温泉」の印象が強すぎる?)また衣装の着こなしもとて…

神様のくれた赤ん坊

「山田洋次監督の選んだ日本の名作100本」喜劇編で放映していたのをやっとみる。1979年の作品。時代やらタイトルやらで泥臭いのでは?という心配を吹き飛ばす作品のパワー。でも時代を感じさせるものがとても懐かしくもある。(赤尾敏氏のポスターが…

私の映画人生60年 キャメラマン一代

仙台 火星の庭*1で購入。昭和元年から映画の世界にいる宮川一夫さんが、幼い時のことからはじまって、この本が作られた1985年までのご自分の仕事の流儀、そこで出会った監督、俳優さんのことなどを語った本。建前で全然語られてなくて読んでいて楽しいし、映…

裸の大将

movie.walkerplus.com小林桂樹さんの演じた裸の大将がよいという評判はきいていたのだけど、予想をはるかに上回る良さだった。人情話に持っていかなくて、以前読んだ山下清の旅行記に流れている空気と同じものが流れている。思ったままをいう、それが本質に…

銀座カンカン娘

映画としては軽いものだけど、うわさの古今亭志ん生さんの姿をはじめて見た。しかも落語家役で落語をしているところがいい感じで出てくる。今まできいてきた志ん生さんの伝説的なおはなしがリアルに感じられ志ん生さんに大変興味を持った。 高峰秀子も歌上手…

にあんちゃん

NHKでしていた山田洋次監督が選んだ名作100選から。文句なく名作。力強くすごくおもしろかった。長門裕之がにあんちゃんなのかと思ったら長門氏の弟役の小学生が二番目の兄ちゃん、にあんちゃんなんだな。たくましくていじらしい。長門氏は若くして父に先…

昭和枯れすすき

主題歌としてはさくらと一郎の大ヒット「昭和枯れすすき」がかかる。あの曲からは自分はくたびれた中年男性のイメージがわいてしまうのだけど、これは男手ひとつで妹を育ててきたまじめすぎる警察官原田を演じる高橋英樹とその妹を演じる秋吉久美子の物語で…

一条さゆり 濡れた欲情

おもしろかった!阪神野田駅の近くの吉野ミュージックで行われた関西ストリッパーの女王一条さゆりの引退興行。一条さゆりにライバル心を燃やす伊佐山ひろ子。伊佐山ひろ子の同僚白川和子。このあいだみた「百合祭」でも白川和子のほわーんとした魅力がとて…

わたしの渡世日記 下

戦後から昭和51年ごろまでの話題。70年代以降になると、自分が生まれていたもので、上の世代の人の意見という風にみえてしまう部分もあったけれどこの本を読んでがらっと先入観が変わったのが木下恵介。まじめな話を撮っている人というイメージを勝手にも…

昔のミセス

60年代〜80年代の雑誌「ミセス」を再読しながら、とりあげた記事にまつわることを書かれたものだけど、ちょうどここ何年か私が興味を持ってみてきた小津安二郎や川島雄三の映画からの話、先日から読んでいる高峰秀子の書きもの、および演技、単行本になって…

わたしの渡世日記 上

すごく人を惹きつける文章。言葉の使い方も構成も内容も魅力がある。上巻には複雑な生い立ちから終戦までの高峰秀子さんの半生が綴られているが、何事にもずばっと思いきっていて、しょうもない気を遣って奥歯にもののはさまったような物言いになってつまら…

色即ぜねれいしょん

すごくうまい!なんだかとても身近な感じのする青春もの。それは、息子や娘や自分の出身校が出てくる、っていうだけではない、普遍のものが表現されているからと思う。でも、名前は変えてあったが、ラジオで人気だった諸口あきら氏とか、あの時代を知ってい…

億万長者

市川崑らしいドライさで突き進むパンクな映画。正気を疑うような悪夢っぽいブラックユーモアが連発。安部公房も脚本に協力していたらしいからその辺の色彩の影響もありなのかな・・ビキニ島の被爆とか、不勉強ゆえに社会の教科書で読んだだけの知識しかない…

無法松の一生

どんな暴れん坊の話かと思いきや、さわやかですてきなおはなしだった。運動会のシーン胸がいっぱいに。wikipediaによると内務省の検閲でカットされたシーンがあったそうだが、そこがカットされているためなんとさっぱりした話なんだとただただ感服。 宮川一…

RURIKO

昔林真理子の自伝的な小説を読んだとき、ここまで書くかというところまで書ききるプロ根性に驚愕もし、でもそこまでやるからこそ、どんどん人をひきるけるうまい構成に感心したりしていたが、その時のことを思い出した。現存のスターを使った実名入りフィク…

竹山ひとり旅

東北の奥深さが好きで、うろうろしたものにはとても楽しめる作品。渋谷ジァン・ジァンでの高橋竹山の姿も映っていて、映画をとった当時は「そして現在」というシーンなんだけど、今ではそこの部分も昭和歴史的な資料になっていることに、特別のものを感じた。…

東京アンダーナイト

昭和の空気が充満。まだまだ知らない世界がこの本の奥にあるのだろうなぁ。。京都にもそういえば昭和時代にはナイトクラブとか多く、そこで事件が起きたりもしていたなぁ。。ホテルニュージャパンとの位置関係も興味深かった。東京アンダーナイト―“夜の昭和…

妻として女として

タイトルだけきいていたらなんか女性の道を説く古い映画みたいだけど、そんなんじゃなく、三角関係の中での本音トーク、銀座のたたずまい、家のたたずまいなどがとてもとてもよかった。たぶん後楽園遊園地じゃないかな?と思われるようなシーンもとっても興…

田宮二郎、壮絶!

著者は松竹のプロデューサーで、もともと大映スターだった田宮二郎を使わせてもらうまでの経緯が書かれているところも割合長く、そこは読むのに少し時間がかかったのだけど、田宮二郎と仕事をはじめてからはすらすらと読めた。しかし、時間のかかったあの部…

クレージー作戦 くたばれ!無責任

無責任シリーズがあまねく知れ渡ってセルフパロディ的に成熟した作品といえるのかな?いつもとちょっと趣向の違う始まり方がおもしろかった。車の場面が何回か出てくるけれどまだ舗装してない道路もでてきたり、時代を感じて楽しい。先日見た「日本一の色男」…

日本一の色男

「クレイジーの・・」というタイトルがついたものにくらべて、植木等以外のメンバーの出番がすくないように思う。とにかく調子のいい和製ミュージカル。「色男」ってタイトルだけど、家でみてもじもじするような場面がほんとんど皆無なのはありがたい。ちょ…

社長洋行記・続社長洋行記

これは続編までみないと話がしりきれとんぼであり、二個一のおはなしだ。みはじめは、なんか一昔前のサラリーマン雑誌のつやっぽい笑い話を読んでいるようなノリもあり、ちょいとなじめなかったのだけど、途中フランキー堺があやしい香港ガイドとして出てき…

内藤ルネ自伝 すべてを失くして

この本を読んでいると、映画「メゾン・ド・ヒミコ」のことをすごく思いだした。終生きれいなものをずっと愛し続け夢を見続けておられる感じが。本当にご自分のたどってこられた道をよくここまで語られたなぁと思うような本だった。若い時のお仲間四谷婦人会…

日本のいちばん長い日

玉音放送の出てくる映画だとかドラマだとかは今まで何度かみたけれど、想像力の欠如と勉強不足からそれが粛々と行われたような錯覚に陥っていた。放送が執り行われるまでの内閣、宮中、軍、放送局などの動きが克明に描かれていて*1このようなドラマがちりば…

くるみ割り人形

NHK-BSでやっていて、確か以前にいい評判をきいた気がするので気楽にみはじめたらもう夢中に。チェコアニメみたいなきれいな映像とサンリオ製ゆえのいきなりのキティちゃんやキキララの登場、またその当時はやっていたと思われるような言葉(手品師の伊藤一…

私の美男子論

「私の」とタイトルについている通り森茉莉さんが雑誌「ミセス」の取材で各界の男性と会った時、森さんの心の世界の中にどんなものが去来したか、が主眼の本で、とりあげている男性をできるだけ客観的に描写しようとかそういう感じはしない。相手を紹介するとい…