わたしの渡世日記 上

すごく人を惹きつける文章。言葉の使い方も構成も内容も魅力がある。上巻には複雑な生い立ちから終戦までの高峰秀子さんの半生が綴られているが、何事にもずばっと思いきっていて、しょうもない気を遣って奥歯にもののはさまったような物言いになってつまらなくしてしまうようなことが全然なく、爽快。描かれた周りの人物にもとても興味を持った。(山本嘉次郎監督、女優入江たか子など。新村出さんとの話もチャーミング。杉村春子の「小島の春」の背中の演技への称賛もパンチがきいていてすごくおもしろい。田中絹代に関しても私が自分で勝手に作っていたイメージがちょっと改変された。)

わたしの渡世日記〈上〉 (文春文庫)

わたしの渡世日記〈上〉 (文春文庫)