私の美男子論

「私の」とタイトルについている通り森茉莉さんが雑誌「ミセス」の取材で各界の男性と会った時、森さんの心の世界の中にどんなものが去来したか、が主眼の本で、とりあげている男性をできるだけ客観的に描写しようとかそういう感じはしない。相手を紹介するというより相手を触媒にして、できた森さんの作品という感じがする本。でも、客観的に書いているつもりでも人は自分のフィルターを通してしか相手と対峙できないのだからいっそこの方がいさぎよいかも。森さんの戸惑いなんかも正直に書かれていて、会った時の空気がとても伝わる。立川談志小沢征爾などの今とはかなり違う若き日の姿などもおさめられていて楽しい読み物になっている。

私の美男子論

私の美男子論