80'S

魂遊び ほうこう

ポレポレ東中野で公開時の紹介ページ movie walkerの紹介ページより 京都在住の人形師・奥井恵介の仕事ぶりを描くドキュメンタリー。奥井恵介は京都の銀閣寺に近い下宿に住み、顔師を生業としている。顔師とは芸妓や舞妓などにいわゆる白塗りの化粧を施す人…

アントニー・ガウディ、BABEL

勅使河原宏監督の「アントニー・ガウディ―」。武満徹の音楽が美しく、ビデオジャケットに記されているようにまさに映像詩的作品。宮口精二氏のナレーション(ごく最小限)。時代の潤沢さも感じる。サクラダ・ファミリア以外にもグエル氏のための仕事*1など紹…

ペレ

映画をみる楽しみをとても味わえる作品だった。19世紀末スウェ―デンからデンマークの島に移住し、お屋敷の農奴として働く親子の物語だけど、大好きだったベルトリッチ監督の「1900年」の空気、それをペレという少年を中心にもっと点描風に描いた北欧らし…

法医学教室の午後

wikipediaの「法医学教室の長い一日」の項によると、これは1985年6月12日に水曜ロードショー時代に放映されたものらしい。 今、BSで再放送中の「それぞれの秋」で、小倉一郎氏が大好きになってしまい、また大森一樹監督のものも「オレンジロード急行」*1をみ…

サイクリスト

イランのモフセン・マフマルバフ監督作品。アフガン難民の男が妻の入院費用を稼ぐために見世物として一週間自転車に乗ったら多額の賞金を出すという話を持ち掛けられチャレンジする話。裏には賭けなんかも設定されいて、妨害もはいったり・・ほんと、なんと…

子供たちの王様

同じチェン・カイコー監督の「大閲兵」*1をみたときも感じたが、まるで観察映画の趣きで、遠いところから状況をみるようなカメラづかい。あまり説明なしで観客がみていくことで話を理解するような流れ。ビデオジャケットに「映像の詩人」という言葉が書かれ…

ザ・バニシング −消失−

失踪した恋人を探している男と、犯人。失踪もの特有の焦燥感、どこに落ち着くのかという興味でもって見ているものを最後まで引っ張っていく。 巧みに練られた脚本で、後味はともあれ合点がいく。ひとつの回路にはいってしまうこわさは日々自分も体験している…

殺し屋たちの挽歌

これは拾い物だった。twitterで、ティム・ロス氏やテレンス・スタンプ氏の話をしていて、ふと追っかけたくなり・・予備知識がなかったのだけど、楽しめた。仲間を法廷で裏切ったテレンス・スタンプ。警察に守られているはずの彼が、ある日昔の仲間の手下、ジ…

豚鶏心中

負のエネルギーを源泉にファンタジーを紡ぐ男の物語。松井良彦監督は寺山修司との出会いがあり、この映画も天井桟敷館で長期上映をしていたよう。被差別がひとつのマグマになっているが、あくまでも徹底的に小さくて惨めな枠の中の主人公。背徳的なシーンが…

ビリィ★ザ★キッドの新しい夜明け

86年に公開ということだけど、アカデミズムをおしゃれに、あるいはおもしろおかしく扱ったりする流れ(栗本慎一郎の姿も懐かしい)やバブル崩壊以前のこわさ知らずな空気がとても漂っていて、香山リカの80年代の回想本*1を読んだときの、懐かしい、そして…

不思議の国のアリス

サミー・デイビス・Jrのイモ虫、リンゴ・スターの海ガメもどきなど豪華は豪華なナンセンスミュージカル。それぞれが歌ったり踊ったりは楽しいし、意表をつくような画面なども楽しいのだけど、どこかテレビ映画だなと思うような間があり、不思議の国、鏡の国…

ドイツの恋

「オリヴィエオリヴィエ」*1で好きになり何作か観たアニエスカ・ホランド監督の話をtwitterでしていた時、この映画の脚本も彼女だという事を教えていただき、みてみた。 ナチス時代の軍人の妻とポーランド捕虜が恋愛に陥ってというあらすじをみているとどう…

サマーストーリー

遠き日の思い出、個人の思いと社会というような構造は少し「野菊の如き君なりき」*1とも似ているのだけど、この映画はなんといってもイギリスの階級社会を実感させるものだった。「野菊の如き〜」は流された悲恋といえるけれど、これは人間の心の動きをくっ…

お家に帰りたい

1989年アラン・レネ監督作品。カートゥーンとの組み合わせが予告編で流れていて、おもしろそうと思って借りてみた。アメリカの漫画家とフランス好きのその娘の対立を通して両方の文化の違いをテーマにしているようなコメディ映画。映画好きな人にはセリフで…

主婦マリーがしたこと

1988年フランス映画。(1990年日本公開)。当時新聞評をみていて、関心があったけれど、ようやく鑑賞。問題作的なイメージを持っていたが、重くて硬い描き方ではなく、すぐ隣の主婦マリーの出来事としてすんなり入ってくる面白さ。監督クロード・シャブロルは…

白い町で

予告編 そして1988年、ミッドナイトアートシアターという番組で黒井千次さんという方が解説された映像がYou Tubeに出ている。しがらみといわれるようないろんなものとの縁(含む愛情)をそぎ落としていったら何が残るか・・というような話にみえたけれど、な…

大閲兵

天安門広場での閲兵式のため合宿所のようなところに集められ訓練している兵士たちの様子。一糸乱れぬ様子の行進から個を抹消したものを想像したりしてしまいがちなのだけど、本来は当たり前のことながら、その陰にはそれぞれの物語がある。チェン・カイコー…

フランチェスコ

「ブラザー・サン・シスター・ムーン」は確かカトリックの中学に通っている時にみたのだけど、同じアッシジのフランチェスコを描いたものでもずいぶん印象が違った。(みている自分の年齢の差も大きく、その影響も否めないが。。) 神の声をきいて、恵まれた…

カルメン

アントニオ・ガデスがフラメンコ版カルメンの相手女優を探すところからはじまり、舞台がつくられていく様子を描くこの映画、「カルメン」のストーリーに沿って本人役を本人がしているような構造。あるところはオペラの音楽にあわせて、あるところは、パコ・…

ポケットは80年代がいっぱい

1960年生まれの香山リカさんの80年初頭。高校生の時の投稿がもとで松岡正剛の工作舎に出入り、そこから見知っていく人脈は町田町蔵、祖父江慎、戸川純、浅田彰など名だたる面々なのだけど、書き方の基本姿勢に自慢げなところが全くなく、まっすぐ自分の気持…

ラジオ・デイズ

1987年作品。公開当時20代だった私は、いつものウディ・アレンの大人同士のドロドロがなくておとなしい映画だなと思ってしまっていたのだけど、今回もう一度見て、その時よりずっとずっと楽しめた。俳優陣や音楽の贅沢さ、フェリーニの「8 1/2」をウディ…

パラダイスビュー

「ウンタマギルー」*1がすごくよくて、先駆けて作られたこちらも見る。同じ空気で大満足。「ウンタマギルー」でかっこいいキジムナーを演じていた宮里榮弘が、またまたかっこいい。武士の恰好をして、ある女の人と復縁したくってたまらない男性。宮里さんも…

プロジェクトA

これを見ているとキメの姿とか歌舞伎的な楽しさがあるなあと思ったのだけど、出演者のジャッキー・チェン、サモ・ン・キンポー、ユン・ピョウの経歴をwkikipediaでみていると、皆京劇の素養のある人たちらしく納得。 名前は知っていたのだけど、作品ははじめ…

奇蹟

フランク・キャプラの「ポケット一杯の幸福」*1のジャッキー・チェン版。ジャッキー・チェン、「マイ・スタント」*2で、観客を喜ばせるためのプロ意識をみて感心していたのだけど、ほんとそれが体現されていて、その姿に感動してしまった。キャプラ版とは警…

ラルジャン

すごく衝撃を受けた。この人間界を支配しているものとは?というような気持ちになる物語。ポンと染みのように落ちた小さな事柄につき動かされさらに人を巻き込んでしまう人間の姿。静かに整った澄んだ空気の中淡々と進んでいく作品の中なので余計にこわい。…

グレイ・フォックス

ビデオパッケージより 西部史史上名高き紳士強盗“グレイフォックス”として“手を上げろ!”の名ゼリフと共にその名を馳せたビル・マイナーの実話に基づく映画化。 だいたい“手を上げろ!”という言葉が無用の殺生を避けるため、ということにこの映画をみてはじ…

キャッシュマン

はじまりと終わりのアニメーションの挿入の仕方からもうしゃれていて、すーっとこの作品の世界に誘われる。ファンタジーのような骨格を持ちながら、現実とのバランスのとり方がよくて、楽しめる。野球との絡ませ方もうまい。野球というスポーツは善きアメリ…

バスケットケース

「VIDEOまっしぐら」で中野翠さんが傑作と書いているものでずっと興味を持っていたのだけど、ふや町映画タウンにも気がついたら入荷していたので借りてみた。ホラーなんだけど、中野さんが、全編にちょっとした詩情が流れているところを指摘しておられるが、…

エルム街の悪夢

ふや町映画タウンおすすめのウェス・クレイヴン監督作品。同じ監督の「スクリーム」*1で語られていたホラームービーの基本がここに描かれていて、にんまりしながら見る。青春とホラーは相性がいい?倫理の時間に習ったように、子供時代の自分の殻を破ってマ…

アマデウス

有名すぎて後回しになってしまったこの映画、勝手にサリエリがモーツァルトを毒殺する話と思い込んでいたのだけど、描かれていたのはもっとお話として魅力のあるものだった。 時代衣装に身を包んだもの、割合敬遠しがちなのだけど、とてもきれいな包装紙か砂…