カルメン

アントニオ・ガデスがフラメンコ版カルメンの相手女優を探すところからはじまり、舞台がつくられていく様子を描くこの映画、「カルメン」のストーリーに沿って本人役を本人がしているような構造。

あるところはオペラの音楽にあわせて、あるところは、パコ・デ・ルシアのギターやフラメンコの手拍子にあわせての表現。オペラの旋律をフラメンコギターに置き換えているところの魅力。もともとのカルメンのストーリーを思えばフラメンコとの相性はよいに決まっている。(もっともVHSに添えられた高場将美さんという方の解説書によると、日本で「マダム・バタフライ」がどこか違和感を感じる様にスペインのアーティストたちはもうひとつ触れたくないものになっていたらしい。)

アントニオ・ガデスの表現力!実力を伴った自信のオーラをまとったガデスの変容。
カルメンの周りの男同士のいさかいは、縄張り争いをして自分を大きく見せようとしている鶏のよう・・
ガデス舞踊団のスター、クリスティーナ・オヨスの踊りの豊かなこと。解説書に「(カルメン役の)主役を若い未熟なラウラにゆずることは、現実にもかなり抵抗があったようだ。画面に見える彼女の怒りは、ただの演技ではない」とあるけれど、よくわかる。

カルメン【字幕版】 [VHS]

カルメン【字幕版】 [VHS]

  • 発売日: 1998/03/27
  • メディア: VHS