たそがれの女心、忘れじの面影

あるとき、クライテイリオン・フィルムの中でのウェス・アンダーソンのお気に入り映画というtop10記事にたどりついて、その一位に、「たそがれの女心」が載っており、マックス・オフュルスという監督作品に関心をもつ。ふや町映画タウンのおすすめで同じ監督の「忘れじの面影」というのが掲載されていたので両方みてみる。

たそがれの女心」は仮面夫婦のさまに色気を感じる。恋愛に夢中になっているところより、冷めかけた関係への強い思いというのはなんだかぞくぞくするものがある。結婚記念日のダイヤの耳飾りと一緒に話が巡り巡って・・とてもおもしろい。将軍役のシャルル・ボワイエ、外交官役のデ・シーカ監督・・その姿をみているだけで楽しい。ことにシャルル・ボワイエの冷え切った感じ、良い!

忘れじの面影」は、白い花束が物語のキーになっていて、ビル・マーレイが確かピンク色の花をもって呆然とたたずむ姿がポスターになっていたジャームッシュの「ブロークン・フラワーズ*1を少し思い出した。(もちろん「忘れじ〜」の方がずっと古いのだけど、「忘れじ〜」をそこそこハッピーに現代におきかえたのが「ブロークン・・」のようにもみえて・・)

「忘れじ〜」も「たそがれの〜」も話の骨格、見せ方がとてもしっかりしていて退屈せずにみさせてくれる。
共通項として感じたのは、二つの物語とも、語りはじめと終わりで物語がちゃんと円環になっている感じがあること。そして、恋におちた二人がいつまでも踊り続けているシーンの楽団のリアクションの客観的な視点。また女主人公の性格は違うようにみえながら、経済と恋愛の天秤などストーリーの根幹が似ているところもある。

「忘れじ〜」の方は、主人公の女性が好きになる相手がウィーンのピアニストという物語で、音楽とのとりあわせ、タイミングも楽しいし絶妙だ。リンツという町の「ラデツキー行進曲」とかオペラをみにいくシーンの「魔笛」とか・・ピアニストの弾いている音楽だって、もっと自分が詳しければ列挙できるのに・・マックス・オフュルス監督のものもう少しみてみようかな・・

☆「忘れじの面影」については、とても詳しく調べてあるサイトがあり。すばらしいので他の作品のところもみてみよう。

忘れじの面影 [DVD]

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みたのはVHS版