白い町で

予告編

そして1988年、ミッドナイトアートシアターという番組で黒井千次さんという方が解説された映像がYou Tubeに出ている。

しがらみといわれるようないろんなものとの縁(含む愛情)をそぎ落としていったら何が残るか・・というような話にみえたけれど、なにか根無し草のようにその場その場で生きていこうかという風に見える主人公をみていると空虚な落ち着きのない気持ちになっていく。農耕民族的な考え方の弊害かな・・

<余談>
コメント欄でwindshipさんが書いて下さった黒井さんの事・・windshipさんに見せてもらった1970年代に出ていた「GRAPHICATION」という富士ゼロックスから出ていた雑誌の中に寄稿を後程発見。
70年代の香りのするエッジのきいた、思想×芸術のような、写真と文章によるおもしろい雑誌だった。その中で今江祥智さんのご紹介の大阪放出の「夕鶴」という子供の本専門店気になる・・長新太和田誠田島征三の原画展などもされていたらしい。(1978年7月号掲載)

さらにさらに、windshipさん所有のすばる書房から出ている昭和49年から52年の「月刊絵本」
にも黒井千次氏の寄稿あり。(昭和51年6月号 特集゛子供が良くなる講談社の絵本″(「絵」の字は旧かなづかい)
この特集、矢崎泰久さんの「絵本に戦争責任はないか」という記事などおもしろい。国策映画の話はよく耳にするが、この講談社の絵本もだんだんとそういう色彩が強くなっていったような・・黒井さんはそういう風になる前の、それこそ講談的世界、岩見重太郎のお話に出てくる狒々の非合理的で暗くておそろしいもの、の思い出のお話を書かれていて、ちょうど、このyoutubeの語り口と重なるものがあった。この本の中にあった発見では、瀬名恵子さんが落語家の柳亭燕路さんという方と結婚しておられたこと。あと、聖母短大で教えておられたらしい今江祥智さんの司会の聖母での座談会での今江さんの絵本をみる目の鋭さ。
昭和49年12月号「特集ちびくろさんぼ」では、田島征三さんの文章で田島さんが絵をつけた今江さんの小説「ひげのあるおやじたち」の絶版のゆきさつなどが載っている。(うちなる良心に突き動かされての。)「ちびくろさんぼ」の論争がされているときは、「おもしろい話なのにな」という感想を持っていたが、田島さんや今江さんの考え方というのも誠実に世の中に向き合っている方たちだなという印象を持った。