ペレ

映画をみる楽しみをとても味わえる作品だった。19世紀末スウェ―デンからデンマークの島に移住し、お屋敷の農奴として働く親子の物語だけど、大好きだったベルトリッチ監督の「1900年」の空気、それをペレという少年を中心にもっと点描風に描いた北欧らしい仕立てにしている風味で、本当によい時間を過ごせた。これは原作の第一部で、原作ではペレはアメリカに渡りコミュニストになって・・という話らしく、尚一層もう一つの「1900年」という感じで味わえる。
とても美しいデンマークの風景の中で起きる人間の業ともいえるような出来事の数々。でも、こういうこともああいうこともあるけれど、自分の人生をつかんでいけというような力強さがあって観た人の人生の伴走者のようなにもなり得る物語。

淀川さんとおすぎさんの「おしゃべりな映画館2」でもこの映画について取り上げられていて、ペレの近くに住む少し発育に問題があるかもという男の子とのエピソードについても触れてあるけれど、あの子とのやりとりのシーン、心に残っているな。優等生的でなく、苦みもあるのだけどごく自然なペレの心の動きがみえて。
ペレ少年が成長する過程で起きた様々な出来事がつらいことであっても美しい絵となって映画の中におさまっていてアルバムを手繰っているよう。

「おしゃべりな映画館」、今、3と4しかアマゾンでヒットしない。講談社α文庫からでた「淀川長治とおすぎの名作映画コレクション」という名で4冊の「おしゃべりな映画館」から抜粋したものが出ているらしい・・

ペレ【字幕ワイド版】 [VHS]

ペレ【字幕ワイド版】 [VHS]

  • 発売日: 1998/05/29
  • メディア: VHS