70'S

ボウイ&キーチ

以前観た「夜の人々」*1と同じ素材をアルトマンが監督したもの。「夜の人々」もよかったけれど、これもすばらしい。「夜の人々」では巻き込まれている感もありそこが哀しかったけれど、こちらは、もう後戻りはできないからあえて進む、という意思が感じられ…

グッバイガール

先日見てなかなかよかった「ニール・サイモンのキャッシュマン」*1のビデオパッケージに「グッバイガール」と同じスタッフが贈る、という風に表現してあったので、こちらをみてみることにした。ビデオにはさまれた田沼雄一氏の解説では「往年のハリウッド映画…

大空港

昨年末、wowowで三谷幸喜氏の作ったドラマ「大空港2013」*1を見た。あの作品はきっとこの作品を踏まえたものだろうなと思っていたら、ふや町映画タウンのおすすめ印もついていたので、借りてみた。 70年代らしいサウンドエフェクト、画面、ストーリーがなん…

狼たちの午後

子供の頃テレビで見て、えらく共感しアル・パチーノが大好きになったのだけど、何十年もの時を経てしっかりと観ると、やはりものすごく胸にせまる映画だ。脚本がしっかりしていて、細やかな描写の積み重ねがリアルで丁寧で、すばらしい。格差社会な背景で追…

聖パンプキンの呪文

中ほどには寺山修司の終わりには宇野亜喜良氏の文章が載っていて豪華なつくり。70年代文化人のつながりっていつも何か魅力を感じる。背表紙のデザインなども70年代の香り。見返しも異国の印刷のように凝っている。宇野さんの文章の中に 内田さんの世界の…

懲役太郎 まむしの兄弟

「893愚連隊」*1がとてもよかったので、中島貞夫監督の同系列のものを・・と借りてみた。評判がよくてシリーズ化された「まむしの兄弟」ものの第一作目。 軽いタッチっていうところは同じだけど、最終的には組に属してないインディーズな二人が結局組の争い…

 ヤコペッティの残酷大陸

二階堂卓也さんという方の解説書によると 今までの記録映画の多くに見られた覗き見的な、あるいは野次馬的な精神、下品な炉悪趣味は少しも見られません。あるのは、たあひたすらに虐待され、人間として扱われなかった黒人奴隷たちのみじめな姿であり、彼らを…

ジョニーは戦争に行った

戦争によって耳や目、そして手足まで失った若い兵士が主人公ということで、相当の覚悟がいる作品だと思っていたのだけど、町山智浩氏のポッドキャストをきいたことと、ふや町映画タウンのおすすめリストにあったことがきっかけとなってみてみた。こけおどし…

スローターハウス5

「シネマ・ミーツ・クラシック」(西村雄一郎著 音楽之友社)という本に、グレン・グールドが映画音楽を担当した唯一の作品として紹介されており、興味を持ってみてみた。グールドの音楽が、主人公ビリーの品の良くて明晰なイメージにぴったり合っていて、愛…

赤いブーツの女

ホアン=ルイス・ブニュエルといういわゆる有名なブニュエル監督の息子さんの作品。大ブニュエルのものみたいなちょっとおかしなテイストが味わえるとのことで借りてみた。んーー確かに「昼顔」っぽい感じもあるし、幻想シーンがまざるところはすごくおもし…

文楽

本自体のつくりや巻頭の文字などとてもスタイリッシュな出来上がりと思ったら田中一光氏が構成を担当されているのだった。だからといってデザイン中心なのでなく、昭和16年から19年にかけて若き土門氏が精根込めて文楽の写真を撮ったことが巻頭の土門氏…

ジュニア・ボナー

「大脱走」でスティーブ・マックィーンをみたとき、なんか「男!」って感じで会話なさそう・・みたいな風に感じてしまい、どっちかいえばチャールズ・ブロンソンの方が味があっていいや、なんて思っていたのだけど、この作品では素直に映画の文脈にのってい…

砂漠の流れ者

サム・ペキンパーの映画を一度みてみなきゃと思ってふや町映画タウンの一押しを借りてみた。西部劇って男の映画って感じで縁が薄い気がしていたのだけど、ユーモアあり哀愁あり、シンプルに日々を生きる美しさありでよい映画だった。「善人でも悪人でもない…

ミスター・グッドバーを探して

すごく70年代っぽい。ざらついた感じ。77年の作品で、最後のあたりの映像の感じはもうすぐ80年代という感じがした。 この映画は当時、なんか興味本位っぽい感じでもとりあげられていたような・・でも、なかなかまじめに撮ってあると思う。日本でも同じ…

チャイニーズ・ブッキーを殺した男

ジョン・カサヴェテスの映画をはじめてみた時は、抑揚をつけない語り口に少し戸惑いも感じたのだけど、ミルクマン斉藤さんがカサヴェテスを解説してくれたトークショーに参加して以来、おめでたくないような物事が起こっている時の、それに遭遇した人々の顔…

新仁義なき戦い 組長最後の日

前作「組長の首」よりこっちの方が好き。前作では菅原文太が「仁義なき〜」よりはちょっと現実主義者で、人との結びつきで自分をなくしてしまうほどではないところが、らしくないような気がしていたのだけど、こっちは執念の人。恩ある人のために自分が果た…

新仁義なき戦い 組長の首

何か今までみてきたもとの「仁義なき」シリーズとテイストが違うと思ったら脚本家が違うんだ。。もとの「仁義なき」シリーズの方が硬派な感じ。これは、菅原文太の演じているキャラクターが昔気質な感じでなくて、ちょっと「ん?」って感じ。山崎努が出てく…

仁義なき戦い 完結編

完全に小林旭扮する武田を応援しつつみてしまう。頭いい感じで。いろいろな人の変遷をみていると菅原文太さんは今もあまりかわっていないなー。仁義なき戦い 完結篇 [DVD]出版社/メーカー: 東映ビデオ発売日: 2001/08/10メディア: DVD購入: 1人 クリック: 15…

仁義なき戦い 頂上作戦

小林旭かっこよすぎ!こういう感じだったのか!クールな補佐役だった成田三樹夫が、前作でおいやられてしまって出てこなくなったのが寂しい。さしはさまれる昭和の風景も楽しいシリーズ。そしてつくづくセリフのかっこよさに感心。(親分が子分を叱りつける…

仁義なき戦い 代理戦争

仁義なきシリーズの中で特に評判のいいこの作品、政治的なかけひきのような話でおもしろく、呼び声通りどんどん引っ張られる。菅原文太扮する広能は、この作品ではすっかりこわい兄さんになっている。(といってもみているものが入れ込める範囲で)渡瀬恒彦…

仁義なき戦い 広島死闘編

「仁義なき戦い」についてそれまでのやくざ映画とまるで違う、といわれているが、墓を使ったラストなどストイックな語り口がいい。笑えるところもちゃんとあってみやすいつくり。この作品では、「ゴッドファーザー」のトム的な成田三樹夫がかっこいい。千葉…

仁義なき戦い

やっとのことで極常識として語られたりする「『仁義なき〜』の金子信雄みたいな奴」的なたとえ話がわかるようになった。菅原文太演じる広能を取り巻くどうしようもない状態がもう笑うしかない部分もあり、群像劇としておもしろい。スリムな松方弘樹はなかな…

こわれゆく女

邦題がすごくて見る時を選んだりしていたけれど、先日大阪のブックカフェ ワイルドパンチで映画評論家ミルクマン斎藤さんのジョン・カサヴェテス講義をきいてみてる気に・・ ミルクマンさんがおっしゃってたんだけど『こわれゆく女』ってあるけれど原題は「A…

インテリア

ウディ・アレンの映画をかなりみてきたけれど、シリアス系ときいたこの作品は後回しになっていたが、表現の仕方が違うだけで、普段馴染んでいる軽妙なウディ・アレン作品と同じ核を持った人々が出てきているように思った。自分の生き方に焦り、悩んだ挙句考…

ダウンタウン物語

今更・・なんだけど、この映画見ずにここまできていて、ふや町映画タウンのおすすめリストに挙がっているからこの際みておこうとみてみた。ジョディ・フォスターがギャングの情婦役でこどもが演じるギャングものっていう話は知っていて、どこか本格的な映画…

赤い鳥逃げた?

日本映画チャンネルの原田芳雄自薦集より。監督とかチェックせずにみたけれど、なんか頼まれてもいないのにどんどん破れかぶれになっていく感じとか「八月の濡れた砂」や「野良猫ロック」、「太陽を盗んだ男」あたりを思い出すなと思ったらやはり藤田敏八監…

あらかじめ失われた恋人たちよ

時代色豊かなATG作品。観念的。村の祭など当時考えらえていた古い日本社会と、そこには異物として存在してしまう三人の姿に「イージーライダー」のような空気を感じる。若き石橋蓮司さんのリアリティもあり愛嬌もある情けなさっぷり。大したもんだ。桃井かお…

竜馬暗殺

なんともかっこいい映画だった。企画のところには黒田征太郎氏の名前もあったし、題字は野坂昭如氏。音楽も映像も渋い。黒木和雄監督と原田芳雄氏の仕事で、私が一番最初に見たのは「父と暮らせば」*1だったのだけど、若いころはこういうのとか「祭りの準備…

クレールの膝

80年代にロメールの映画いくつかみたのだけど、久々に。先日読んだ「悪人」*1で、映画好きの登場人物によって語られていたから。最近ずっと戦前日本のかわいらしい時代物ばかりみていたので、恋愛や欲望についてぐだぐだいってる登場人物に滑稽なものを感…

ある愛の詩

有名すぎるテーマ音楽、タイトルゆえに敬遠していたが、町山智浩の映画塾というものでwowowで特集されていたのでみてみた。勝手に想像していた周りの大人の無理解に突っ走る悲劇的な孤高のカップルの話でなく、父親へのコンプレックスをいつまでもひきずって…