ジョニーは戦争に行った

戦争によって耳や目、そして手足まで失った若い兵士が主人公ということで、相当の覚悟がいる作品だと思っていたのだけど、町山智浩氏のポッドキャストをきいたことと、ふや町映画タウンのおすすめリストにあったことがきっかけとなってみてみた。こけおどし的なものはなく、ジョーというまっすぐにアメリカで育ってきたごくごく普通の青年の心の様子がちゃんと描かれ、誠実で、涙は流れるにしても泣かされたという感じがしなく、ガツンと来るがみてよかったと思える映画だ。
主人公の名前はタイトルにある「ジョニー」ではなく「ジョー」。タイトルのジョニーの方は、アメリカの兵を募るポスターからきているらしいとふや町映画タウンの大森さんに教わったが、なるほど、あるひとりの特殊な物語でなく、どこにでもいるアメリカの普通の青年の物語っていうことなんだな。
ジョーの心の中の風景がフェリーニを思わすような幻想的なタッチでもあり、そのこともあって、がちがちに強制的に迫ってくるのでなく、本当にごく身近な事柄として映画のはなしに耳を傾けられる。反戦という大きなテーマはもちろん迫ってくるが、人間を支えているのは日々の生活の中にある小さな思い出の集積、という感慨も起きるし、さらに反戦という枠を離れていろいろな事柄を「いたましくてみてられない」と思う気持ちは自分の気持ちの都合でしかないのでは?ということも考えた。

ジョニーは戦場へ行った [DVD]

ジョニーは戦場へ行った [DVD]

←みたのはVHS版