未DVD化ビデオ

新佐渡情話

www.nikkatsu.com ビデオジャケットには 「寿々木米松の名調子に乗って描く最もポピュラーな浪曲映画の決定版」とある。 昭和10年の映画でとてもクラシックなんだけど、寿々木米松の浪曲が本当にかっこよくすんなりくる。(新のついてない「佐渡情話」の方…

小判鮫 お役者仁義

先日衣笠貞之助監督版で「小判鮫」*1をみたが、そのときは、長谷川一夫が女形と義賊の二役だったが、こちらは美空ひばりが舞台女優(娘道成寺っぽいものも踊っているところが出てくる)と軽業師(くずれ?の)女賊役。この軽業師の役は衣笠版の山田五十鈴が…

鳥人

先日から大注目の丸根賛太郎監督作品。 またまた愛すべき作品であった。 大空を鳥のように飛びたいと研究に研究を重ね、狂人呼ばわりされ実在の人物、鳥人 浮田幸吉をアラカンさんが演じている。丸根監督ははじめはあいつなんだ?ってところからはじまる男の…

お染久松 そよ風日傘

美空ひばりがお嬢様お染と久松と一緒に育って許嫁となっているおみつの二人を演じる。ひばりの姿は庶民的なおみつのほうがしっくりくる感じ。 舞台の豪華さと実写をうまくとりまぜた映画。最初、華やかに舞台で幕開けそして、最後、別れ別れで帰っていくとこ…

エンタツ・アチャコの新婚お化け屋敷

宮沢章夫さんのカルチャー論を録画していたものをみていたら、「書を捨てよ、町に出よう」から糸井重里の「本読む馬鹿が、私は好きよ」へ移行する、肉体中心から頭脳への時代の流れという中で、チャップリンなどが源流のからだの動きによる笑いとは違うタモ…

小判鮫

映画comwikipediaの衣笠監督のところにはこの作品についてこのように載っているが、*1 1946年(昭和21年)、明治開化期の鉄道建設を巡る利権争いを、東宝オールスターで描いた喜劇映画『或る夜の殿様』が戦後第1作となり、翌1947年(昭和22年)に島村抱月と…

博多どんたく

博多八丁兵衛という九州博多の奇人を阪東妻三郎が演じている。昭和23年丸根賛太郎監督作品。 総じて笑いのテンポなどは今と少し違っていたけれど、それがのんびりした空気を出してはいる。 八丁兵衛については八丁兵衛の営んでいた西濱屋のサイトに詳しく載…

江戸の春 遠山桜

若き日の遠山の金さんを描いたもの。 以下、ビデオに同梱の山根貞男さんの文章を読んでのまとめ。 北川冬彦という詩人で映画評論家が、「キネマ旬報」でこの映画のことを「『百萬両の壺』*1その他で、この作の面白いところは用いつくされている」と断じ「(…

昭和39年 田坂具隆監督作品。眞継伸彦原作。主人公は中村錦之助演じるところの越前の漁村(三国付近?)で生まれた「鮫」と呼ばれる青年。流民とかいうことで、漁村の他の連中から差別されている。支配者が漁村の他の連中に祭で気持ちを発散させている時に…

アメリカン・ハート

ふや町映画タウンの☆☆(実は、けっこう・・おすすめ)刑務所を仮釈放となったジェフ・ブリジッズ演じるジャック。それを迎えに来た、親戚のところにいるはずだったエドワード・ファーロング演じる息子のニック。 「自分のことしか考えない」とビデオジャケッ…

人生は六十一から

1941年斎藤寅次郎監督作品 ビデオ同梱の山根貞男さんの解説によると、当時の映画評はあまり評判がよくないらしい。山根さんもテンポはそんなによくないし、ギャグも弱いとしながらも、「が、妙なおかしさがある。話がどんどんズレていく迫力というか、画面展…

牢獄

ベルイマンの初期作品の中で最も重要な作品とされている、という朝日新聞社のベルイマン初期作品集のジャケットに書かれた言葉に従って借りてみた。メタ映画みたいな部分もあり、そこまではよかったけれど、その後のストーリーも少しわかりづらい。 みたあと…

金語楼の大番頭

昭和14年岡田敬監督作品。 湖のそばの古風な旅館の大番頭の金語楼。金語楼のしゃべりを味わう映画。 画家の偽物が現れ・・というシークエンスがあるが、横山大観をもじった横川小観という名前。大衆文化評論家 指田文夫さんのブログにこの偽物嵯峨善平さんと…

愛と哀しみのエリザベス

マイケル・ケイン演じる作家にグレンダ・ジャクソン演じる妻 以前はどこへ行くのも一緒の二人で、妻は子どもや家族を大切に思っているが、息抜きの必要も感じ、温泉地バーデンバーデンへ。 そこにいたのがヘルムート・バーガー演じる自称詩人。 マイケル・ケ…

風と女と旅鴉

1958年加藤泰監督作品。前科者三國連太郎が旅の途中で出会ったやくざもの中村錦之助に息子の姿を重ねて面倒をみる姿がハマっていて本当にそれなりの年齢(40〜50代)にみえるのだけど(松尾スズキさんみたいな雰囲気)、当時三國さん35歳らしい。(二人は…

遥か群衆を離れて

movie walker 1967年 ジョン・シュレシンジャー監督、トーマス・ハーディ原作。ジュリー・クリスティ演じる英国の農場経営者(なかなか魅力的)を巡る三人の男性の話。トーマス・ハーディ、「テス」をずいぶん前にみたが、同じ作家という感じがとてもする。 …

をり鶴七変化

お家騒動に二役をからませてあって、先日観た「桃太郎侍」*1の系譜を思い浮かべたが、ビデオにはさまれた「山根貞男のお楽しみゼミナール」という冊子によると、 お家騒動、女形の役者、二役と見てゆくと、「雪之丞変化」(三五)から「小判鮫」(四八)「蛇…

多桑

映画com日本統治下で日本教育を受け、金鉱で働く日本贔屓の台湾の男セガ。その息子が語り手になり父の人生を描いたもの。鉱山労働者が多く住む集落での暮らしがゆっくりと描かれ、大きな事件も多々起きるが、時という川の流れに身を任せているような風合い。…

日曜日は別れの時

twitterでdvd化を待っている方の書き込みを読んで借りてみた。ビデオジャケットより 40歳になるユダヤ人の開業医、ダニエルは若い芸術家ボブと同性愛の生活を送っている。が、ボブには年上の女性アレックスという恋人もいた。アレックスもダニエルもお…

メイク・アップ

昭和58年度文芸賞受賞作である若一光司氏の小説「夜に夜を重ねて」の映画化。テレビのコメンテーターとして認識している若一氏、こういう作品を書いておられたのだという感慨あり。 「櫻の園」や「十二人の優しい日本人」の中原俊監督。 烏丸せつ子演じる…

櫛の火

昭和50年(1975)神代辰巳監督作品。古井由吉原作。以前「杳子」を読んでこちらが若かったのもあって、水性なんだけど澱むような作品だなと思っていたのだけど、映画の「櫛の火」も、なるほど、あの古井氏の作品、という気持ちを持った。桃井かおりが病で死…

真実の瞬間

ストイックなドキュメンタリータッチと乾いた詩情、美しい情景と現実がうまく溶け合ってよい作品を観たなあという充実感。お金のために闘牛士になる、アンダルシア地方出身の青年ミゲルを描いているのだけど、闘牛士の美しい衣裳は相撲の化粧まわしのようで…

故郷

これも「権左と助十」*1と同じく伊丹万作作品。夏川静江演じる喜多子は、信州の実家の大いなる犠牲のもとに東京の女子大を卒業、実家に戻るが、身についてしまった都会風が邪魔をし、実家の生活になじめない・・実家は実家で釈然としない思いになる・・この…

権左と助十

こちらも「修善寺物語」*1と同じ岡本綺堂原作。大岡政談を下敷きにした駕籠かき二人がタイトルになった物語。歌舞伎になったり*2、何度も映画化されている*3らしい。まずは店賃回収に苦労する大家さんの話から店子の面々の様子が知れる。ユーモラスでテンポ…

修善寺物語

歌舞伎の演目になっているなあということで、みてみた。なんとなくテイストが「恋や恋なすな恋」*1に似ている。(人間の情念とかも交えつつの見やすい歴史素材もの。カラーの雰囲気も少し似通ったものを感じた。) 二代将軍源頼家の悲劇の物語。それを六代目…

愛のさすらい

原題 「THE TOUCH」。1971年 イングマール・ベルイマン監督作品。 先日NHKの玉三郎さんの「伝心」という番組で「阿古屋」の解説をされながら、ケレン味と文学性の話をされていたが、最近よく言えばケレン重視のような映画を観続けていたので、久しぶりに、描…

女優

松井須磨子を山田五十鈴が演じたもの。衣笠貞之助監督。ビデオに同梱された「山根貞男のお楽しみゼミナール」の文章によると、溝口監督の「女優須磨子の恋」も同じ1947年の少し前に公開されていて競作として話題になったらしい。山田五十鈴演じる松井須磨子…

秀子の応援団長

昭和15年度作品。近所のこどものお父さんが兵隊に行っているというセリフがある一方、ジャズがかかり、自由な感じで野球をしている様子に、この頃はまだこういう感じだったのか・・と思う。沢村貞子さんがざあます夫人をすっかりなりきって演じておられる…

白鷺(昭和16年)

こちらのブログに詳しく書いてあるのだけど、本来上映時間126分の作品を島津監督の弟子、豊田四郎監督が99分に縮めた再編集版を製作したようで、演出島津保次郎と並んで、再集豊田四郎との書かれている。 小村雪岱の美術考証が楽しみでこの映画をみてみた。…

修羅城秘聞(双龍の巻)、続・修羅城秘聞

1952 衣笠貞之助監督。「桃太郎侍」の源流。大河内伝次郎氏演じる敵役のみどころのある存在感が作品を引き締め盛り立てている・・桃太郎巡る女性二人の描き分けもgood! 仇っぽい轟夕起子さん、私には珍しく、そしていい感じ。双龍の巻Movie Walker 続編 Movie…