多桑

映画com

日本統治下で日本教育を受け、金鉱で働く日本贔屓の台湾の男セガ。その息子が語り手になり父の人生を描いたもの。鉱山労働者が多く住む集落での暮らしがゆっくりと描かれ、大きな事件も多々起きるが、時という川の流れに身を任せているような風合い。
台湾の複雑な歴史ゆえに多桑(父さんと発音する)は日本びいきなんだろうな。中国政府よりはマシみたいな感覚ではないかというレビューを読んだりしたが、わたしもそう感じる。日本人としてみていると、「君の名は」の映画に集まるたくさんの人や、NHKの国際放送をききたがったり、スポーツの試合でも、日本がオリンピックまでするすごい国だという多桑の言葉に調子に乗りそうになるけれど。
ちょうど自分も母を喪ったところなのだけど、正しいとか正しくないとか関係なしに生きたいように生きている人の姿がつい母と重なって(年齢も近い 母は昭和2年生まれで、多桑は昭和4年生まれと名乗っているから)胸を突かれたりもした。
アジアの映画をみると、欧米のように割り切っていない親と子の関係の描写に親近感をおぼえる。
侯孝賢製作。