祝祭

1996年 イム・グォンテク監督作品
すごいひろいもの。韓国版「お葬式」ともいえるような、ソウルで作家として成功している主人公が母の死に際して故郷に帰り・・という話だが、作家がいつも家族の物語を書いていた設定にしてあり、また亡くなった母を主人公にした絵本もぎりぎり母の葬儀のあたりで刷り上がったことにしてあるので、「お葬式」のように儀式を追い、さらっと故人を偲ぶというよりは、老いや死を落ち着いて考えられるようになっている。もちろん「お葬式」と同じような儀式の説明や、お葬式当日のごたごたもあり、メリハリをつけながらも絵本の再現という形式で魂の部分を表現していて、騒乱のかたわらで静かな水の湧いているところのような切り替えを感じ、みていて落ち着く。
その絵本で描かれていた考え方というのが先日読んだ柳美里さんの「春の消息、魂の秘境から」*1ともつながるような、老いていくものや死者と残されたものをつなぐものでわたしは本当に心が洗われる思いがした。
同じ監督の「風の丘を越えて 西便制*2でパンソリの名人を静かに演じていたオ・ジョンヘが、場をかき回す派手な美人役で、かわればかわるものだなあと。少し沢尻エリカを思い出したり。。ほかにも日本の俳優と似ている俳優さんもでてきたり、また葬儀のありかたも日本と似ているところもあり違いもありそこも楽しめた。