昭和39年 田坂具隆監督作品。眞継伸彦原作。

主人公は中村錦之助演じるところの越前の漁村(三国付近?)で生まれた「鮫」と呼ばれる青年。流民とかいうことで、漁村の他の連中から差別されている。支配者が漁村の他の連中に祭で気持ちを発散させている時に、流民の部落の方は焼き討ちにあう。大義名分が全くなしではあったが、まあ、どうせ理由なんかあってもこじつけだし、こういうことが往々にして起こるのだよということは充分わかるので、そのまま話を追う。(加藤嘉の、流民を恐れているからという言葉は映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」でのマイケル・ムーアの主張にも通じるところがある)
ただこの時の祭が、「面かぶりの神遊び」を許可するとか支配者がやってきて宣言し、神の島から使いの者が面を届けてくれ、魚介類の面をかぶって浜辺で踊るというようなもので、これはどういうお祭りなのだろうかと、とても興味を持った。

鮫が、加藤嘉扮する祖父に自分の父親についてたずねたところ、「ひじほうもん」という言葉が出てくる。秘事法門ということだろうか・・wikipedia秘事法門の項はこちら
焼き討ちで母を喪った後、鮫と祖父は京の六角堂で願阿弥という僧が飢えているものに施しをしているという話をききつけ、京を目指す。(願阿弥についてのwikipediaの説明はこちら。)
足軽からゆくゆくは、武士にということを目指している鮫だが・・・鮫がいろんな人と出会ってなにかを学んで年をとっていくストーリーになっていて、その出会う相手とのことがなかなか鮮烈に描かれている。
特に足軽隊で出会う元人買いの加東大介。現実主義者で、その世界で生きていくコツを教えてくれるのだが、太刀捌きも美しくなんと頼もしいという風にみえる。
そのあと鮫にとっての一番大きな出会いが、三田佳子扮する見玉尼との出会いである。若き三田佳子の清らかで美しいこと。役にぴったり。三田さん、こういう感じだったんだとつくづく思った。

鮫 [VHS]

鮫 [VHS]

  • 発売日: 2000/01/21
  • メディア: VHS