60'S

出発

「早春」*1が心に迫ったイェジー・スコリモフスキー監督作品。 主人公マルクを演じるジャン=ピエール・レオ―が黒いタートルネックを着るファーストシーンで、これはスコリモフスキー監督による「大人は判ってくれない」*2の続編風というようにみえた。美容師…

甘い罠

若松孝二監督生誕80年祭ということで、若松プロダクションのページで初監督作品の「甘い罠」が公開されている。盟友足立正生監督や宮台真司氏等々のコメントも一緒に公開されているが、若松監督らしくない基礎の映画の文法に則って作られた作品とのことで…

夜空に星のあるように

テレンス・スタンプ出演の「イギリスから来た男」*1に、若き彼が出演のこの映画の一場面が出てくるとのことで、みてみた。原題は「Poor Cow」。若年失業率の高そうな60年代後半のイギリス。泥棒でもするしかないかのような男と結婚し、男が投獄され、子供を…

女鹿

金持ち女が、町で絵を描いている若い女をひろってきて、シリアスなのかふざけているのかわからないタッチで話は展開。「虎は新鮮な肉を好む」*1と似た話法とずっと思わせておいて、そのタッチだから余計にシリアスに深淵が顔をのぞかせる。ジャクリーヌ・サ…

銀河系 

足立正生監督(1967)。足立監督作品を観たのははじめてだったけれど、足立正生氏の脚本作品は、「帰って来たヨッパライ」「新宿泥棒日記」*1「新宿マッド」*2などで接している。この映画は、自分の内部で自分をコントロールしているものが、人物の形になっ…

人間蒸発

一応ドキュメンタリーの分類になっているようなのだけど、驚くべき映画だった。身元不明者を探す婚約者を撮ったものなのだけど、「ここまで踏み込んでいいのか?」というような内容で(素人を使った暴露系のテレビ番組のようなところもあり)、途中で、セッ…

ドント・ルック・バック/ボブ・ディラン

24歳のボブ・ディランの65年イギリスツアーの記録。彼がフォークからロックへ転向するまさに前夜ということらしい。 ボブ・ディランのことは有名な曲しか知らないような状態での鑑賞だったが、初心者でも十分楽しめるつくり。 この映画のボブ・ディランをみ…

ラブド・ワン

イギリス人青年がアメリカの葬儀ビジネスに関わって・・という話。「博士の異常な愛情」を思い出すようなテイスト(イッちゃってる風)をほんのりと感じたが、調べたら脚本のテリー・サザーンが共通していた。「バーバレラ」*1の脚本家、「キャンディ」*2の…

テオレマ

テレンス・スタンプ演じる青年が家にやってくることでかき乱される家族の物語だけど、この青年というのは、それぞれの内にあるものが形になったものかな?という感じがする。60年代の映画らしいレトロモダンな画面、象徴的な語り口は消化しきれたかどうかわ…

虎は新鮮な肉を好む

映画comビデオジャケットの解説によると、トリュフォー、ゴダールと共にヌーヴェル・ヴァーグの三銃士と呼ばれたシャブロル監督が「観客を作るため」に引き受けたと言われる異色作とのことで、独特のエスプリとヌーヴェル・ヴァーグが混在するまさに異色な娯…

王女メディア

同じ監督の「奇跡の丘」*1のように、また、劇空間っぽくなく、砂漠のような地でドキュメンタリータッチで撮ったもの。言葉はほとんどなく、違う部族同士がコミュニケーションをはかっている世界に迷い込んだようである。「奇跡の丘」の時は、キリストの生涯…

アメリカの影

この映画、「続・死ぬまでにこれは観ろ!」というシリーズに入っているのか・・・確かにその通り!すばらしい作品だった。ジョン・カサヴェテスの特徴として顔のアップがあるという話をきいたことがあるが、本当に顔顔顔・・言語化されはしない感情が映し出…

ケス

こちらの記事を拝見していて、「ザ・ロイヤル・テネンバウム」にも影響を与えている「ケス」とはどういう映画なのだろう?と思いみてみた。 イギリス映画らしい苦味。イラン映画の「友だちのうちはどこ?」級の先生の厳しさ。こちらの方はその振る舞いが尊敬…

ワン・ツー・スリー

すごいテンポ。出世欲まみれの男を演じるジェームズ・ギャグニーはギャング映画のスターだそうだ。はじめから終わりまですごいセリフ量。まくしたて続ける。ビリー・ワイルダー監督ってとにかく腰が据わっている。踏み込んだジョーク。 女性秘書がえらくかわ…

ブラック・サバス 恐怖!三つの顔

wikipedeiaによるとロックバンドのブラック・サバスは、この映画に行列している人々をみて、人間は恐怖を求める、という着想よりその名前をつけたとか・・「毒薬と老嬢」*1に、顔の整形に失敗し、コワい顔になってしまったお兄さんに「ボリス・カーロフ似」…

謎の要人悠々逃亡

和田誠と三谷幸喜の「それはまた別の話」の「絶壁の彼方に」*1の章で話題になっていて借りてみたのだけど、ものすごいひろいもの!顔色一つ変えずまじめにやっていてそれがもうまたたまらないおかしさを出す、という、イギリスのいい味の作品。脇役もすごく…

サボテンの花

イングリッド・バーグマン、サボテンの花にたとえられるような、こんな役もやっているんだ・・・バーグマンもロマンチックコメディも好物でもなんでもなかったし、ウォルター・マッソー演じている歯科医とか最低なのに最後にはなんだかうっとりしてしまう魔…

七人の愚連隊

三谷幸喜氏が朝日新聞のコラムで、ミュージカルの話を書いておられたとき、「とぼけた味」としてこの映画を紹介されていて興味を持った。 今リリースされているDVDやブルーレイの表紙はシナトラ、ディーン・マーティン、サミー・デーヴィス、ビング・クロス…

ひとりぼっちの青春

nosさんのtweetに影響され観てみた。 大不況下のアメリカ、支給される食事と高額の賞金を求めて失業者たちがこぞって参加したマラソンダンスをモチーフに、まっすぐに問題提起する社会派ドラマ。見せ方がうまいので全く退屈しないし、ひとの悲劇を消費する観…

ポケット一杯の幸福

フランク・キャプラって「よい話をつくる監督(それだけ)」みたいに斜めから語られることもあると思うけれど、やっぱりすごくうまいと思う。伏線がきちんと活かされてすみずみまで気持ちが配られ小粋な感じ。俳優陣も皆よい仕事をしていて色々なシーンが楽…

オーソン・ウェルズのフォルスタッフ

とてもぜいたくな作品。 詩情あふれるシェークスピアの台詞(小田島雄志 字幕訳)をシャープなカメラとテンポのいい演出で味わえる。カメラの撮り方、音楽の使い方など本当にうまい。フォルスタッフを演じたオーソン・ウェルズはもとより、ハルを演じた若者…

長距離ランナーの孤独

この物語を確か高校生の時に読んだと思う。その時より、今、もっとこの物語の主人公の気持ちがわかるようになっている。主人公は感化院に入れられるのだけど、わけのわからない暴力とか違法行為の物語でなく、ごく理解できる平面にいる。 友人と遊びに行った…

土曜の夜と日曜の朝

プロデューサーのトニー・リチャードソンはイギリス映画界のニュー・ウェイブの一員と呼ばれている。アラン・シリトーの原作でアルバート・フィニーが主人公の怒れる若者系の話*1だけど、ひとつにはアルバート・フィニーの持つ雰囲気、また、社会に怒ったり…

キャット・バルー

ふや町映画タウンのおすすめ度☆☆☆(かなりおすすめ)コミカルでとても楽しい作品。とにかくテンポがよい。ピンチが訪れこれではいかんと決意するシーンのあっけなさなども小気味いい。悪役の造形もおもしろいし。ジェーン・フォンダも軽々と演じていてみてい…

わんぱく王子の大蛇退治

とてもすばらしかった!図柄がまず素晴らしい! ビデオパッケージより。70年代以降によくみたアニメの感じでなくて素朴でかわいらしく、またアートアニメーションっぽい雰囲気も。作画監督の森康二氏、美術の小山礼司氏の作品ほかのもみてみたい。スサノオ…

フィニアンの虹

1968年製作。コッポラ監督、フレッド・アステア出演。 「プロデューサーズ」(1968年)*1とか「夢のチョコレート工場」(71年)のようなテイストのミュージカル。なんか、ちょっと濃い色のキャンディーみたいな。wikipediaによると、68歳のフレッド・…

動く標的

ハードボイルド作品ってどうも入り込みにくくて遠ざけてきたのだけど、小林信彦氏のコラムにポール・ニューマンの演技の光る作品としてこの映画が紹介されていてみてみた。中年過ぎてから見ると、ハードボイルドな環境に甘んじている主人公の自嘲のようなも…

パルチザン前史

映画「マイ・バック・ページ」*1で、マツケン演じる学生の事件に巻き込まれた京大の闘士滝田修という人がこの作品に出て来るときいてみてみた。60年代の京大闘争のさなかの姿だけど学園紛争ものでよくみる(そして現実でも幼い自分もきいたことのある)アジ…

さらばアフリカ

「世界残酷物語」*1「さらばアフリカ」「残酷大陸」と、すすむにつれ、どんどん技量があがっている、というようなことをきき、借りてみた。「世界残酷物語」も再現フィルムというか、映像に勝手な解説をつけているという感じのところもあり、実在するであろ…

ヤコペッティの世界残酷物語

タイトルは知っていたが、ずいぶん悪趣味なものでは?と思っていたのだけど、ふや町映画タウンのおすすめビデオということでみてみた。 自分がこどもだった60年代から70年代にかけて、興味本位に煽り立てられていたものを大人になってから「あれはなんだった…