アメリカの影

この映画、「続・死ぬまでにこれは観ろ!」というシリーズに入っているのか・・・確かにその通り!すばらしい作品だった。ジョン・カサヴェテスの特徴として顔のアップがあるという話をきいたことがあるが、本当に顔顔顔・・言語化されはしない感情が映し出され、見事。黒人と白人のハーフの三兄弟(見た目は黒人寄りだったり、白人寄りだったり・・)を軸に、とても細やかな感情の機微がチャールズ・ミンガスの音楽にのせてさらっと描かれている。でもずしんとくるし、共感する。一番下の妹のこわいもの知らずな勢いと、現実に向き合った時の弱さ、真ん中の兄の、享楽的な日々の中にあって、そこを抜け出したい感じ・・ある日美術館でみつけた彫刻に惹かれている表情など・・これらの表現がすべてシナリオなしの即興という。なんともすごい。シャープな映画だ。