2024-01-01から1年間の記事一覧

成瀬は天下を取りに行く

www.audible.co.jp 本屋大賞受賞の連作。 冒頭、主人公が奇妙に元気すぎてついていけないのではないかと危惧したが、聴き進むにつれ、心配したようなから元気なものでなく主人公たちと過ごすのが微笑ましくも楽しい時間となった。 勉強もスポーツもできて風…

人形の家

1974年 ジョゼフ・ロージー監督 夢のように美しい画面の中での主人公ノラ(ジェーン・フォンダ)の愛されっぷりの危うさそこをきっちり描くジョゼフ・ロージーの良さ。 ジョゼフ・ロージーの冷徹ゆえの面白さ、「召使」*1や「パリを遠く離れて」でも感じ…

Let’s 豪徳寺!

Let’s 豪徳寺 [VHS] 松竹ホームビデオ Amazon 87年 前田陽一監督 80年代的軽さの中に柳沢慎吾の真珠の涙が効いたり、前田陽一監督作品、いくつか観たけれど、なにか良い。表に出さないデリケートさ。 鈴木保奈美、羽賀研二、三田寛子のキャンパスライフ「東…

女帝 小池百合子

www.audible.co.jp 著者の石井妙子さんは「おそめ」*1や「原節子の真実」*2「満映と私」*3など今まで映画界に近い世界のあまり知られていない事柄を丹念に調べ上げる仕事をしてきた人。この本で現都知事などという生々しくもチャレンジングなテーマを素材に…

殺陣師段平

殺陣師段平 [DVD] 月形龍之介 Amazon 森繁が段平を演じる「人生とんぼ返り」(1955)は観たことがあった。 これはそのオリジナル。監督は同じくマキノ。脚本が黒澤明。1950年。 段平はこちらでは月形龍之介。ちょっとコミカルなシーンもありこういう…

エドワードⅡ

エドワード2(廉価版) [DVD] アップリンク Amazon 1991年 デレク・ジャーマン監督 シェークスピアと同時代の劇作家クリストファー・マーロウの戯曲が原作 台詞はほぼ忠実で時代の香りを保ちつつ、ポール・スミスなどの衣装 見目麗しく、いまの問題を描い…

吾輩は猫である(市川崑 75)

吾輩は猫である [東宝DVD名作セレクション] 仲代達矢 Amazon すごく市川崑風味が前面に出ている。原作はもっとのんびりしたイメージだったけど、画面にコントラストつけたり、得意の仄暗い日本家屋の廊下を映してみたり。現作を読んだとき何故か好きだった衒…

大いなる驀進

大いなる驀進 [DVD] 中村賀津雄 Amazon 東京から長崎までの長距離列車特急さくらに乗り合わせる人々の風景を「オリエント急行殺人事件」風に描写していくもの。 鉄道マン三國連太郎の生涯を大河的に描いた関川秀雄監督の前作「大いなる旅路」*1に比べるとグ…

眼には眼を

眼には眼を [DVD] クルト・ユルゲンス Amazon アンドレ・カイヤット 1957面白い! 「眼下の敵」と同年のクルト・ユルゲンス出演作品 ヒッチコック作品の登場人物みたいに面倒に巻き込まれ 疚しさ、偏執、拗れ。。中途半端にだけ話が通じるややこしさ、じんわ…

ゆとりですがなにか インタナショナル

宮藤官九郎のテレビドラマのスピンオフ作品。 いかにもテレビのスピンオフって感じの軽いタッチ。だけど変わってきている日本の状況が背景に描かれポイントに。宮藤官九郎ってその時代を描く脚本家だなと実感。 前作でも女性と関係を持ちたいのにからまわり…

私がやりました

フランソワ・オゾンの作品を観るのは久しぶり。しょうもないとか、オゾンも落ちたみたいな声もみかけたが私はオゾンの円熟がすごく嬉しく愉しめる作品だった。円熟と書いたけど初期のエッジが効きすぎて後味の悪い作品を思い起こしての話であり、「8人の女た…

コンビニ人間

www.audible.co.jp オーディブルで。 この作品が芥川賞を獲った時、想像してしまうようなコミカルなものではなくビターで驚いたというような感想をきいていたものでそのつもりで聴き始めた。確かにしょっぱな主人公の奇行ともいえる幼き日のエピソードが紹介…

祭りばやしが聞こえる

youtu.be 力の抜けすぎた寅次郎のシリーズをみてしまった直後九州のテキ屋さんたちに密着したこの番組を観て、なんたる差となってしまった。終始退屈させないし、その上詩情。木村栄文さんの名前は聞いたことがあったが、はじめての体験。 もちろん口調は渥…

寅次郎と殿様

男はつらいよ 寅次郎と殿様 HDリマスター版(第19作) 渥美清 Amazon 大好きなアラカンが殿様役で出演、その執事に三木のり平。ここまでは嬉しかった。ちょっと出て来る青戸の商店街もいい。しかし脚本が荒っぽい。いくらなんでもあんなんだとお話にのれ…

無法松の一生(1958)

無法松の一生 三船敏郎 Amazon バンツマ版(1943)*1ははるか昔にみたことがあったが三船版ははじめて。 バンツマ版の時の宮川一夫カメラマンの仕事が素晴らしかったもので、ちょっとそれが頭の中でがっちり伝説状態にもなって、少し懐かしんでしまうよ…

エイト・セカンズ

ジョン・G・アヴィルドセン 1994年 全く自分の生活とかけ離れているロデオの話 これが面白い先日やっと観た「ロッキー」に引き続き、監督いいな、となる。 家族とのこと 大事にしてること アメリカらしく直球で語ってもらえるの気持ち良い

かづゑ的

www.beingkazue.com 長島のハンセン病療養所で老境を迎えるかづゑさん夫妻 読書と書くことに支えられた知的でユーモアのあるかづゑさんの言葉で映画が支えられ、全く構えずに鑑賞できる。 なくなってしまった指先をことごとしく取り上げるのでなく、そこまで…

夜明けのすべて

www.audible.co.jp これもオーディブルで。 三宅唱監督による映画化がとても評判のいいこの作品、映画は未見だが、パニック障害になる登場人物が出てくるとのこと。自分も近しい大切な人が複数かかったものでどんなものか聴いてみたくなる。 もう一人出てく…

青べか物語

青べか物語 [DVD] 森繁久彌 Amazon 山本周五郎原作 新藤兼人脚色 川島雄三監督 1962年 山本周五郎、「樅の木は残った」*1や「いのちぼうにふろう」などの時代読み物のイメージをベースに持っていたのだけど、一方ではこの作品や「季節のない街」などの庶…

はめる

クロード・ソーテ監督 1971 成果主義もここに到れりの警察稼業。旧友もその女も利用し「はめ」るミシェル・ピコリ。。 やはりクロード・ソーテ監督、ロミー・シュナイダー、ピコリの「すぎ去りし日の…」*1も静かなる描写の中に心を強く動かすものがあったが…

「喜びも悲しみも幾歳月」「名もなく貧しく美しく」

高峰秀子✕苦労する夫婦もの、ということでタイトルの二つの映画を混同していた自分。はっきりさせるために両方を鑑賞。 まず「喜びも悲しみも幾歳月」 喜びも悲しみも幾歳月 高峰秀子 Amazon テーマソングが有名な作品 佐田啓二演じる灯台守のところに見合い…

八月の御所グラウンド

またまたオーディブルで www.audible.co.jp 「十二月の都大路上下ル」」 「八月の御所グラウンド」の二篇が収録されている。 注意散漫なものだから、二篇になっていることに気づかず、最初に出て来た「十二月〜」の駅伝ランナーは野球の話と最後どう繋がるの…

裸足の伯爵夫人

裸足の伯爵夫人 Humphrey Bogart Amazon ズボラ心から父の帰宅時上り框を履物も履かずに裸足で飛び降り応対したら「おっと〚裸足の伯爵夫人〛か。。」なんて呟かれたことがあった。 その呟きの元ネタを知りたい、ただその気持ちでこの映画を鑑賞。 俗物の金…

スープとイデオロギー

soupandideology.jp ヤン・ヨンヒ監督 2021年の作品 「ディア・ピョンヤン」*1「愛しきソナ」*2では北朝鮮に渡った兄の家族とそれを日本から支えるヤン監督のご両親のことが中心だったが、一作目「ディア・ピョンヤン」が問題になりヤン監督自身北朝鮮渡…

愛しきソナ

starsands.com 先日観た「ディア・ピョンヤン」*1(2005)から6年後、2011年のヤン・ヨンヒ監督作品 「ディア・ピョンヤン」、北朝鮮の暮らしが映し出され、北朝鮮の体制についていけない気持ちはにじんでいたものの、とりたて扇動的とはみえなかったのだが…

細雪 (市川崑 83)

細雪 佐久間良子 Amazon 市川崑バージョン「細雪」を40年ぶりに鑑賞。当時から着物の美しさを褒める声を時々きいていたが、提供の三松って街でやたらみかけるお店だよなと聞き流していた。。が、今見ると着物、美しいと思う。 市川崑らしい禍々しさが画面に…

サラバ!(audible)

オーディブルで西加奈子の直木賞受賞作「サラバ!」を。 www.audible.co.jp 全3巻だけどイラン、エジプト、日本と場所を変え紡がれる家族の物語は魅力があり描写力に優れ一気に聴かせる。男前に生まれつき、個性の強い姉や母の陰で大人しく生きる主人公は松…

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい 細田佳央太 Amazon 普段旧い映画中心に鑑賞しているが現代に作られたものも気持ちにさっと寄り添ってくれて良いなあ。 大学のぬいぐるみ好きのサークル「ぬいサー」。京都の大学に入学したばかりの新入生として主人公たち…

わたしは女優志願

1982年 ハーバート・ロス 監督 ニール・サイモン 脚本 バーホーベンの「ショー・ガール」的なギラギラした野心に満ちたお話かと思いきや、かわいくてまっすぐで小粋な青春ドラマ 親しみやすい冒頭から心を掴まれる

細雪(大映59,新東宝50)

大映版(1959)と新東宝版(1950)の「細雪」を原作を再読したばかりの家族と再見 新東宝の方が良かった印象なので大映版から 細雪 轟夕起子 Amazon 大映版、山本富士子演じる三女の雪子がとてもいい感じに描かれていて、原作とイメージが違う。山本富士子を良く…