日本映画傑作全集

金語楼の大番頭

昭和14年岡田敬監督作品。 湖のそばの古風な旅館の大番頭の金語楼。金語楼のしゃべりを味わう映画。 画家の偽物が現れ・・というシークエンスがあるが、横山大観をもじった横川小観という名前。大衆文化評論家 指田文夫さんのブログにこの偽物嵯峨善平さんと…

水戸黄門漫遊記

エンタツ、アチャコが旅の宿で隣に寝てた柳家金語楼演じる講釈師を巻き込んで、一緒に行動しているうちに水戸黄門ご一行と間違えられる筋だが、柳家金語楼の巻き込まれ方、いやいややらされているのにノリはじめる感がとても愉快。同梱の解説(会社で作った…

をり鶴七変化

お家騒動に二役をからませてあって、先日観た「桃太郎侍」*1の系譜を思い浮かべたが、ビデオにはさまれた「山根貞男のお楽しみゼミナール」という冊子によると、 お家騒動、女形の役者、二役と見てゆくと、「雪之丞変化」(三五)から「小判鮫」(四八)「蛇…

故郷

これも「権左と助十」*1と同じく伊丹万作作品。夏川静江演じる喜多子は、信州の実家の大いなる犠牲のもとに東京の女子大を卒業、実家に戻るが、身についてしまった都会風が邪魔をし、実家の生活になじめない・・実家は実家で釈然としない思いになる・・この…

権左と助十

こちらも「修善寺物語」*1と同じ岡本綺堂原作。大岡政談を下敷きにした駕籠かき二人がタイトルになった物語。歌舞伎になったり*2、何度も映画化されている*3らしい。まずは店賃回収に苦労する大家さんの話から店子の面々の様子が知れる。ユーモラスでテンポ…

女優

松井須磨子を山田五十鈴が演じたもの。衣笠貞之助監督。ビデオに同梱された「山根貞男のお楽しみゼミナール」の文章によると、溝口監督の「女優須磨子の恋」も同じ1947年の少し前に公開されていて競作として話題になったらしい。山田五十鈴演じる松井須磨子…

秀子の応援団長

昭和15年度作品。近所のこどものお父さんが兵隊に行っているというセリフがある一方、ジャズがかかり、自由な感じで野球をしている様子に、この頃はまだこういう感じだったのか・・と思う。沢村貞子さんがざあます夫人をすっかりなりきって演じておられる…

白鷺(昭和16年)

こちらのブログに詳しく書いてあるのだけど、本来上映時間126分の作品を島津監督の弟子、豊田四郎監督が99分に縮めた再編集版を製作したようで、演出島津保次郎と並んで、再集豊田四郎との書かれている。 小村雪岱の美術考証が楽しみでこの映画をみてみた。…

ひき逃げ

高峰秀子の演技力。どこから見ても子供を喪って思い詰めている母。 有閑マダム風の司葉子との対比もおもしろい。 高峰秀子の弟役の黒沢年男氏、こういう活躍をしていたんだ。 ドロドロしたサスペンス風でどうなるんだとひきつけられる。突拍子もない連想だが…

獅子の座

昭和28年伊藤大輔監督作品。ビデオパッケージより 宝生流十五代宗家宝生弥五郎に江戸開府以来第六回目という勧進能が聴許され、その日は将軍家慶も上覧することとなった。演目の“石橋”では太夫の弥五郎が長男石之助と一緒に親子連獅子を舞わねばならず、その…

檜舞台

昭和21年作品。戦争が終わって間もない頃の劇団。その描写がリアル。 「瞼の母」を父親に置き換えたような・・と思ってみていたら、「瞼の父」と書いておられる方がいらっしゃった。(こちら) 長谷川一夫の鏡獅子が見事。日ごろ、ふや町映画タウンの大森さ…

お国と五平

yahoo 映画 昭和27年成瀬巳喜男監督作品。成瀬巳喜男監督の全作品が載っている「映畫読本 成瀬巳喜男」での扱いはあまりよくないが、わたしにはみるなり、さすが成瀬監督、端々まで神経の通ったなんと素晴らしい作品、という気持ちになった。 森雅之が、尺…

鏡山競艶録

all cinema 1938年寿々喜多呂九平監督 しょっぱな日の丸と「国民精神総動員」の文字にものすごく時代を感じる。「この世界の片隅に」*1の時代だなあ。「鏡山旧錦絵」という歌舞伎作品(通称「鏡山」)を映画化したものということ。 そして「鏡山旧錦絵」は、…

エノケンの誉れの土俵入 

エノケンが相撲取り・・体格的に?という感じだけど、相撲取りっぽい体格にも感じられない千恵蔵さんが相撲取りをしている映画「土俵祭」*1もあったし、小兵的な相撲取りもいるしな・・と頭の中で納得させる私。 とにかくエノケンが飛んだり跳ねたりの動作を…

お伊勢参り(旅籠屋騒動)

この映画に関する映画ナタリーの記事はこちら。 昭和14年作品。ビデオに同梱されている山根貞男のお楽しみゼミナールによると、新興キネマ*1演芸部が吉本からごっそり芸人を引きぬき大騒動になった渦中の映画だそう。(仕掛けたのは永田雅一、その命を受けて…

昨日消えた男

長谷川一夫が遠山金四郎を演じる捕物時代劇。浪人みたいな感じで長屋に潜伏している長谷川一夫と仲の良い芸者に小富に山田五十鈴。ペロッと舌出したり軽快な雰囲気。ロッパ劇団の人たちが出ていて調子よく展開していく。「なるほどねー」「まったくだー」と…

番場の忠太郎

「瞼の母」のおはなし。サイレント版*1、錦之助版*2とみてきて、今度のは中川信夫監督、忠太郎は若山富三郎。「日本映画隠れた名作」*3でほめてあっての鑑賞。母親役の山田五十鈴が大層いい。たずねてきた忠太郎と対峙する時の三味線の伴奏が後ろで響いてい…

三十三間堂・通し矢物語

ずいぶん前に一度観たのだけど、再見してその時の印象よりずっと楽しめた。多分その間に実際の三十三間堂に行ったり、少しは古い日本映画も観るようになって、楽しみ方も増えたからかな。。開幕の、三十三間堂のお寺の説明からすっと物語に入る構成、そして…

古い日本のたたずまいがまずいい。たとえば、冒頭の高峰秀子の飴細工をしている姿。学生さんたちが行李にひもを通すしぐさ。反物を買って仕立ててもらうところ。へび退治。 久々の古い日本映画やはりいい。浦辺粂子、飯田蝶子など脇も本当にしっかりしている…

次郎長遊侠伝 秋葉の火祭り

なんといってもよかったのは北原三枝の女の馬子。すごくかわいらしくて、中性的な妖精のような魅力があり、人気のほどがよくわかる。 森繁久弥の石松、森繁のアクションシーンというのをあまりみたことがないのだけど、なかなかよかった。 敵役の黒駒勝蔵っ…