お国と五平

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昭和27年成瀬巳喜男監督作品。成瀬巳喜男監督の全作品が載っている「映畫読本 成瀬巳喜男」での扱いはあまりよくないが、わたしにはみるなり、さすが成瀬監督、端々まで神経の通ったなんと素晴らしい作品、という気持ちになった。
森雅之が、尺八はうまいが、武芸が達者でなく、武士道というものとは無縁の武士という役どころも新鮮。しかも敵役。

夫の仇を追う(といっても原因を作ってもいる)木暮美千代演じるお国と大谷友右衛門演じるおつきの五平。二人の心の揺れの表現がデリケートで見応えあり。仇を追い続ける旅の記録が単調にならないようにか途中で遭遇する旅芸人の結婚式や文楽(二代目紋十郎さん、二代目勘十郎さんなど昭和の名人が出演)のアクセントも良い。成瀬監督の映画、現代ものでもチンドン屋などのアクセントがよくきいているように思う。


成瀬巳喜男―透きとおるメロドラマの波光よ (映画読本)

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