獅子の座

昭和28年伊藤大輔監督作品。

ビデオパッケージより

宝生流十五代宗家宝生弥五郎に江戸開府以来第六回目という勧進能が聴許され、その日は将軍家慶も上覧することとなった。演目の“石橋”では太夫の弥五郎が長男石之助と一緒に親子連獅子を舞わねばならず、そのため幼い石之助に対する稽古は厳格を極めた。〜以下略

伊藤大輔監督はビデオに同梱された山根貞夫氏の解説によると、幼いころから能が好きだったそうで、ただ、ご本人の弁として「能のことを知りすぎていたので、題材に溺れてしまった」とのちに語っているそうだ。
yahoo movieのbakenekkoさんという方のコメント欄を拝見していると、“石橋”以外にも能の“羽衣”、“高砂”などが出てきていたらしい。(”熊野”というのも確認できた。)

田中絹代演じるところの石之助の母親 久の教育がキツくてしんどいものがあるのだけど、しごきに耐える息子役の津川雅彦*1は、けなげでなかなかよかった。今だったらカウンセリングが必要と感じられるほど追いつめられている姿がリアルだった。また、帝王教育とは無縁で、放任っぽく対照的に描かれる弟 重次郎も、いざとなったらなかなかの舞台度胸(“忠信”という演目)。長男と次男の違いは、中村屋の小さい兄弟のドキュメンタリーなどでも感じることある。重次郎を演じたのは木村国臣という役者さんのよう・・

こちらのブログを拝見していると、この映画でも出てきた津川さんの演じた宝生九郎の雷嫌いは有名な話だったらしい・・

*1:この映画では加藤雅彦の名前で出演 上述のbakenekkoさんのコメント欄によると12歳とのこと