2008-01-01から1年間の記事一覧

西鶴一代女

すごい封建的な世の中のはなしなんだけど、田中絹代が演じた主人公はどっかアナーキーなところもあるような・・あのストーリー展開のジェットコースターぶりはたとえばペドロ・アルモドヴァル監督なんかが同じ題材でつくったら現代的でおもしろいものになり…

夜の女たち

焼け跡の外娼の様子を描いているのだけど、中途半端にあおりたてて、中途半端に社会を糾弾しているようにみえて、時代のひらきを感じ、もうひとつお話に感情移入できなかった。田中絹代が悪ぶっている映画というのはどうもなじまないのだけど、妹役の高杉早…

自分が最近みてきたフェリーニのもの*1よりはかなりシンプルなつくりですっと理解できた。「道」はだいぶ前にみたのだけどちょっとタッチが似ているような気がする・・人生の皮肉への視点というか・・勝手きままにやってきたはずの男の悲哀ぶりなど根がひと…

大阪物語

市川準監督はごく日常的な空気を独特の雰囲気を持つものにまとめられる人だ。途中で「夫婦善哉」のたとえが出てくるのだけど、ほんとに沢田研二の演じたどっか憎めない、ふがいない漫才師は夫婦善哉の柳吉のイメージをもっていると思う。大阪物語 [VHS]出版社/…

女の都

フェリーニのイマジネーションをそのまま生かした感じの画面作り・・やみつきになる。グロテスクや滑稽さと背中合わせの美しさそして寂寞。秘宝館みたいな場所が出てきたり、お色気満載の話でもマストロヤンニが演じると観客を決してひかせたりしない。女の…

フェリーニのローマ

フェリーニの、くどくどしい説明なしに次から次へといろいろな画面が出てきて、ひとつの画面の中でもいろんな人がくちぐちに語ったりするあの感じ、天才の仕事って感じで、もっともっとみたくなる。最後の方で語られるローマは滅びと復活を何度も体験した場…

誘拐報道

ショーケンの仕事ぶりを追いたかったらこの映画ははずせない!とすすめられ、みた。ショーケンだけでなく、それぞれのキャストがきっちりといい仕事をしており、素晴らしかった。子供が軸になる映画なんだけど、子供の視点のいれかたもうまい!犯人や被害者…

肉体の悪魔

ロック・スターのようないでたちの悪魔祓い師、ルイ王朝の宮廷での踊りのいかがわしくも魅力的な感じ・・ケン・ラッセルの映画ってみていて美術的に楽しい!「マーラー」でも、ワーグナーの妻コジマの描き方に、カトリックに恨みでも?って感じだったのだけど…

京都のパン屋さん

遠くからでも行ってみたくなるような12軒のパン屋さんの紹介。著者が複数いらっしゃるので、書いている人によってタッチがだいぶ違う。どのページもいい風合いの写真と紹介文で、パン屋さんへの気持ちを綴る文集みたいになっている。詩のような感じでそのパ…

東京上空いらっしゃいませ

おおたうにさんの本の紹介*1で惹かれてみてみた。中高生向けのアイドル映画という感じだけど、詩情があり、大人が鑑賞できる感じ。東京上空いらっしゃいませ [DVD]出版社/メーカー: パイオニアLDC発売日: 2001/06/22メディア: DVD クリック: 59回この商品を…

京都文具探訪

おしゃれな装丁なのだけど、この本の根ざすところはとっても渋く、京都の町の古びた文具屋さんの棚の奥からみつけだしてこられた古い文房具を紹介しているもの。しかも、獲物にガツガツっていうのではなく、文房具屋さんとの出会いをとても大切にし、そこで…

フェリーニの道化師

フェリーニの映画はニーノ・ロータの音楽と一緒でないと!ときいていたのだけど、「8 1/2」と続けてこれをみてみてすごくそれがよくわかった。ある時は哀感を漂わせながら、けなげに咲く花のような、ある時は、妖しげな、光を放つ音楽。映像とぴったりあって…

人のセックスを笑うな

「犬猫」という映画をみたときの感じ*1に似ているな〜と思ったら、同じ監督さん(井口奈己さん)だった。どちらも派手なところのない日常を丁寧に描いてきれいな色合いになっている感じがある。冬のにおい、大学生活の感じがすごく出ている。男女が逆だったら…

ロバート・アルトマンのヘルス

DVDなどになっていないようなのだけど、権威じみた場所に暗躍している人々を皮肉に描いていくアルトマン節炸裂で、うまくまとまっており、楽しめる佳作。 ローレン・バコールの美しくも堂々とした(そして、それがおかしさを呼ぶ)演技がすごくいい!★この映…

「エロ事師たち」より 人類学入門

煽情的な部分は少なく、生業として性にまつわる仕事を自分なりの信念をもってやっているズブやんという男をべたつかないタッチで描いたもの。小沢昭一が演じているズブやんは、野坂昭如の雰囲気とも、そして野坂さん原作で勝新が演じていた「とむらい師たち」*…

シネマ坊主3

はじめ自分の好きな韓国映画「グエムル」*1をくさしてあるのをみてテンションが下がったんだけど、最初からみてない映画も含めて読んでいったら、なんかすごくおもしろい! 「グエムル」のときもだったのだけど、その映画のそこは、つっこまんでも、って部分も…

シッコ

プロモーションビデオとしてそこそこよくできているとは思うし、おもしろくみせてくれるけれど、どうしてもショーアップ的になる部分があると思う。ゆっくり交渉してなにかを勝ち取るより、突撃にした方が絵的に使えるから・・という判断がなんだか感じられ…

女系家族

市川崑の「ぼんち」*1が好きな人は監督は違えどもきっとこの映画も好きになると思う。山崎豊子の船場もの×宮川一夫のシャープで斬新なカメラさばき、そして、大映の女優さんたちが美しくもはげしく火花を散らし、どろどろしたストーリー展開のおもしろさを備…

エディット・ピアフ 愛の讃歌、エディット・ピアフ ドキュメンタリー

wowowで映画になった「エディット・ピアフ 愛の讃歌」と2006年フランスで作られたピアフのドキュメンタリーを放映していた。映画を先にみたのだけど、映画の方はピアフのエキセントリックな一面が強調され、スターの哀しみみたいなものを感じたりしたのだけど…

豚キムチにジンクスはあるのか

絲山さんそれなりにちゃんと料理されている。小説だけ書いておけばいいのさ、という感じでなく地に足付いた生活者なんだな。でもそれが重苦しくなるほどではなくちょうどいい加減だ。ひとつのテーマについて書くために何度も同じ食材で料理され飽きるほどい…

ゴールデンスランバー

windshipさんにすすめられ、初伊坂幸太郎。でてくる事件自体の大きな枠組みもおもしろいし、タイトルの「ゴールデンスランバー」というビートルズの楽曲にからませたエピソードもべたべたしていないのに、目頭が熱くなる。最後ひいてあった伏線がどんどんお…

マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶

オンタイムで自分がマストロヤンニを知った80年代以降の話は少なかった。興味をもったのはフェレーリ監督の「白人女に手を出すな!」。(こちら参照。)バッファロー・ビルっていう素材も、アルトマンの「ビッグ・アメリカン」ですごく興味の対象になった…

さよならみどりちゃん

ダメダメな男女のくされ縁もの、みたいにきいていたのだけど、冷めた目で「だめだなぁ。。」なんて決して思えなかった。基本断れない人、みたいな感じでいく主人公の気持ちがよくわかる。表面上はいろいろあるけれど、主人公の心の中は明瞭で映画全体は淡々…

ファイブ・イージー・ピーセス

主人公のボビーは「何に対しても積極性がなく、いい加減な毎日を送っている。」なんて解説に書いてあるのだけど、私が男だったらこんな感じの亜流になりかねない。いつまでもここではないところを求めて、今自分がある現状にはどっかえらそうで。。どこにもち…

昼顔

勝手にモノクロのシリアスな映画か?と思い込んでいたのだけど、メロドラマっぽいところは全然なく乾いていてにやり、みたいな触感。60年代のパリの風景、モードとかもきれい。楽しめた。sumiちゃんがボードで ブニュエルの「昼顔」、いいでしょう? この…

女と男の危機

コリーヌ・セロー監督の映画をいくつかみてきたが、根は悪くないが気のつかないエリート男性が出てきて、自分の至らなさに気付かされるというパターンが多い。最近つくられた「サン・ジャックへの道」や「女はみんな生きている」*1では、その表現がすごく上…

修羅

解説によると、ウラ忠臣蔵ともいうべき鶴屋南北の狂言とそれを改作した青年座の台本をもとに松本俊夫が脚本を書いたらしいが、ちょんまげは結っているが気持の上では現代劇的な近しさがあり、すごく入り込める。時代劇ゆえにスタイリッシュでモダンな感じが…

8 1/2

周りの人がすごくすすめてくれるこの映画、以前友人sumiちゃんが「主人公の頭の中がぐるぐる回っている、それを描いたもの」と教えてくれていたので、それなりについていけた。すごくかっこいい構図がいっぱいあったし、決して古びていない。今そのまま引用…

キャリアこぎつねきんのもり

キャリアウーマンが、子育てを余儀なくされる話なのだけど、作者の石井まゆみさんは、親戚のこどもさんをみながらこどもの姿を描かれたようなことが書かれていたので、子供がいるわけではない感じがするのに、子供のことをよく観察しておられなかなかリアル…

アメリカの夜

映画ってこういう風にできあがっていくのか!という感じ。とにかく現場は予定外の出来事続きでそれを臨機応変にさばいていくスタッフやキャストの頼もしいこと。映画を先にすすませるためにいろんなことをやってのける。知らない者同士が集まってひとつのも…