2005-01-01から1ヶ月間の記事一覧

恋する老人たち

写真がこんなに心に訴える力を持つとは!荒木さんが選んだ世界中のご老人のいい顔のショット(撮影者はさまざま)に写真からのイメージで勝手につけておられるコメントがとってもすてきで、わたしはなぜか読んでいて涙が流れてしまった。恋する老人たち (Por…

ノーマンズ・ランド

戦争を扱っていながら 入り口はすごいカジュアルだし、大作風でもない。みる楽しみも意識していながらしっかりした骨がある!(重苦しさはないけれどちゃんとメッセージは伝わる。)すごく良質の映画。 この映画をみてアカデミー賞の外国語映画賞というのは…

驚典

群ようこさんってきちっと生きてきた人だとわたしは感じるのだけど、この本の中でも、その人柄がしのばれるような居心地のいい雰囲気が対談中に漂っている感じで読んでいてほっとした。だからといって説教くさいとかシャープさに欠けるとかそういうのではな…

お父さんは時代小説(チャンバラ)が大好き

吉野さんが「本の雑誌」に載せておられた本に関する本(この本の場合はマンガ部分と対談で構成されています。)の三部作の第一作目なのですが、ざーっと三作読んだ中でこれが一番しっかりした内容のような気がした。(三作とも読んでいてたのしいのだけど。…

わたくし的読書

大田垣さんは本当にさりげないシンプルな絵でご自分を表現されていて、とっつきやすいけれど内容はどうなのか?と書店で迷われるかもしれません。かくいう私もそんな一人でした。しかしこれは買ってよかった。哲学、性愛、散歩。。いろいろなことを何冊かの…

文壇アイドル論

斉藤美奈子さんって「まとめ方」がおもしろいんだよなといつも思う。「妊娠小説」もわたしも、結構 日本文学において妊娠がらみの話って多いな。。それが一大事って感じだなとは思っていたもののすっぱりとまとめてくださってなんかすっとした気分だったし、…

文学的商品学

斎藤美奈子という人は手をかえ品をかえいろんな新製品を考案して発売するお菓子屋さんのよう。砂糖とか小麦粉とかみなもおなじみの材料をつかって思わぬ形にして商品化していかれる。この本は「商品学」という切り口で文学をとらえたもの。物語の中の部屋や…

見仏記 親孝行篇

みうらさんといとうさんの見仏記も4巻目。前回から4年たったということで、なんか落ち着きが感じられる。このお二人で開催されるスライドーショーみたいに笑いっぱなし。。って感じではないのだけれど、ショーの中ではみられない二人のしっとりとした部分…

東京観音

このお二人でみてあるいたからこそ!というような東京のあちこちの仏さまをみてのおもしろい感想、おもしろいショットの写真が載っている。相手が仏様でも全然遠慮のない感想。でもだからこそまっすぐで心地いい。 東京観音作者: 荒木経惟,杉浦日向子出版社/…

流れる

柳橋の芸者屋さんの女たちを描いたこの作品、出てくるのが山田五十鈴、田中絹代、杉村春子、高峰秀子、岡田茉莉子など本当に芸達者な人たちであることに加えて、家の中をひょいと歩きつかまれる猫、路地裏や川辺の風景が本当にさまになっていて、映画の魅力…

ほとばしる副作用

巻頭の「アイドル頌歌」の部分はアイドルについてのコラム。 極端でおちょくっているようにみせかけながらの、鋭い観察眼。 荒唐無稽を装っているのでものすごくいたくアイドルのことをついていてもご愛敬として受け取れるようになっている。ほか「週刊実話…

京味深々 京都人だけが食べている2

この本のおもしろいところは、京都のチェーン店お菓子のタカラブネや餃子の王将のことまで語ってしまうところ。ちくちくっと高慢ちきな理由で掲載拒否された店へのイヤミなんかもまじえたりして、そのお店がまたとても有名なところだったりするものだから京…

L文学完全読本

斎藤美奈子さんの本って何かをくくってみるというところが特徴で、そこが新しい着眼点を与えてもらっておもしろいのだけれど、この本のあとがきにも書いてあったけれど、カテゴライズされた途端にその枠内に押し込められ過小評価されたような感じがしてしま…

やっぱりだらしな日記+だらしなマンション購入記

食べること好き読書好き、体脂肪多めの著者の日々を綴っただらしな日記の最新刊。(著者はいろいろな雑誌で書評を手がけておられる方です。)今回はマンションの購入のごたごたについても綴られている。だらしな日記ではまた読みたい本がでてき、読んでみた…

だらしな日記

食事と体脂肪と読書の因果関係なんてサブタイトルがついてますがまぁ食べること好き読書好き、体脂肪多めの著者の毎日を表現しているだけでダイエット本として答えがでているわけではない。でもだからこそ読み物として楽しい!日記を読むのは大好きなわたし…

日本ゴロン

枡野さんの短歌との出会いは「短歌とはわかりにくいもの、自分とは関係ないもの」という認識をころっとかえてくれるものだった。。。とはいうものの、やっぱり私は文章の形態として、散文の方がすき!だからこの本がうれしい!枡野さんのコラムは、さすが言…

越前竹人形

水上勉原作。 広がりすぎてうすい最近時々みうける映画との差に驚く。ねっとりと情感をこめて。。結構どろどろしたきわどい話題でもどこか牧歌的な、民話的な空気が流れているおはなし。若尾文子が哀しみをたたえた艶っぽさで好演。 福井の武生や芦原温泉、…

智恵子紙絵

高村智恵子の折り紙や包装紙でつくった作品がテレビの光太郎展の説明の時少し紹介されていてその美しい色合い、すてきな意匠にとても惹かれるものを感じいつか見に行きたかったのだけど、文庫になっていたとは知らなかった。智恵子の作品をゆっくり味わえる…

京都フィールドワークのススメ あるく・みる・きく・よむ

京都文教大学人間学研究所の共同研究をまとめたもの。心理学方面のアプローチもあれば社会学方面のアプローチもあり歴史をふまえたものもあれば、現在の社会的問題をみつめたものもある。扱われたトピックスは舞妓はん、京都タワー、祇園の仲居さん、喫茶、…

くっすん大黒

町田さんの語り口ってお若いのに時代がかったりしていてでもそれがしつこくなくて、ものすごく心地よい!ふっとこの「くっすん大黒」を読みながら、落語っぽい世界だからかな?と思ったりした。 登場人物の、ふらふらしているけれどどっかまじめで好感がもて…

椰子・椰子

川上弘美さんの夢日記のような不思議な風合いのおはなしに山口マオさんの飄々としていいムードのある絵のついた作品。本当に夢のはなしのようによくわからない話も多い中でよく出てくるジャンとルイという鳥には親しみを持った。わからないなりに読んでいる…

京都カフェ案内

カタログ的ではなく、そのカフェで生きている人たちの物語を深く掘り下げて書いてあり、読んでいてしっとりした時間を過ごせる本。出てくるのは、どこも本当に居心地のいい空間ばかり。(まだいってないところもあるけれど。。)カフェガイドとして読んでも…

和のノート 女の子向け日本文化案内

最近昔の映画のかわいらしい着物のきこなしやセンス、和菓子の美しさにうっとりしている私。堅苦しくない和のものがとっても気になる。そんな私にちょうどいい感じでてぬぐいなどにおける和の柄のこと、白洲正子さんのこと、ぽち袋のこと、日本特有のラッピ…

京都スーベニイル手帖 ぼくの伯父さんの旅のお土産ブック 冬・春編

おみやげのガイドブックと考えると2625円という値段に驚かれるかも。。でもこの凝ったつくり、展覧会のような、読者にみせる玉手箱のような豪華さはやっぱりそれだけの値段を出して買うに値する。京都に住んでいるものにとっての身近なものを、こういう…

そうだ京都、行こう

JR東海の「そうだ京都、行こう」キャンペーンの写真や文章、京都に住んでいても週刊誌などでふれたり、その観光地にはってあるポスターをみたりしてうっとりするし、身近なのに気づかなかった美を教えてもらったりする。本当にすばらしいクオリティだと思…

太陽と毒ぐも

11のカップルの、「相手のこういうところがイヤ」っていう話が次々出て来る短編集。どのカップルにもそれぞれ思い当たるところがあって、ちょっと自分の日常も糺す気分になったりして。。でも、読んでいる時間を楽しませる才能が角田さんには絶対ある。楽…

スライドショーほぼ完全版

DVDに冊子のついたもの。みうらじゅん いとうせいこう両氏のスライドショー、関西でやっているときはみにいって楽しんでいるのだけど、このDVDやwowowで東京でやっている分をチェックすると東京でやっている方がやはり力はいってるな、と思う。つけて…

超弩級

ナンシーさんが亡くなられてから次々未出版のものが出版されていく。私は伝説のバンドの秘蔵テープを待っているファンのように、そのことをせめてもの楽しみにしている。亡くなられてから1年半後の出版ということで、リアルタイムさはあまりないかもしれな…

無差別級

ナンシー関の細かい対談を集めたもの。ナンシーさんのコラムには表現を、失礼になるぎりぎりでちゃんととめる職人技のおもしろさを感じるのだけど、この本は対談なので、相手とのペースの中でふみこんだいい方になっているところもあり、そこが素顔をちょっ…

若尾文子と田宮二郎がしたたかな生き様をみせつける映画。増村保造監督。いかにも1960年代の作品らしく、高度成長時代にはいり、経済的な豊かさにがつがつしはじめている日本を感じます。男女のたぬき合戦、という感じの映画なんだけど、増村監督の構図…