関西

濡れた欲情 ひらけ!チューリップ

間寛平のヒット曲「ひらけ!チューリップ」が流行ったころ、この神代作品とのつながりからか、子どもが歌っていいんかな?と思うようなどこか後ろめたい感じがしたような・・この映画は、パチプロ師と釘師の対峙する青春ものをロマンポルノの中で描いた感じ…

嗚呼!花の応援団

やんちゃでついていけない世界の話と思い込んでいたが、「けんかえれじい」風味との評を読んでみてみたら、ほんとその通り。なんかかわいらしくてよい感じ。昭和後期のバンカラ。主人公の三年生青田のあこがれの女、青田の父の愛人、宮下順子も私が今までみ…

春日太一さん〜十兵衛暗殺剣

先日wowowの町山智浩さんの映画塾の「沖縄決戦」の回をみていて、招かれた映画史研究家の春日太一さんという方の解説がとても詳しくてわかりやすくて勉強になった。(藤本プロデューサーがジャーナリスティックに撮りたかったから、ドキュメンタリータッチに…

残菊物語(1963)

「残菊物語」というと溝口健二版の評価が高いけれど、実は溝口版をみた時、まだ歌舞伎とか自分がみていない時分で味わい方も中途半端だったように思う。今回多少は歌舞伎をみるようになった目でみるととてもおもしろかった。 猿之助(現猿翁)が、尾上菊之助…

百貨店ワルツ

ウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計の大丸心斎橋店本館に思い出を持っておられるマツオヒロミさんが、心斎橋店の建て替えのニュースをきき、失われていく美しい空間への哀惜と感謝の気持ちをこめて描かれたもの。受付から宝飾品、化粧品、呉服、婦人服、食…

大阪アースダイバー

あとがきにあった、東京のセンスで大阪をみると見誤る・・西日本の稲作文化と東日本の狩猟文化との差異、タブーの違いという話は大変参考になる。そして、現在の大阪の疲弊と維新の会についての文章、なんと今日的であることか。自分へのメモ(自分なりの理…

国立文楽劇場 第139回文楽公演

第一部 親子劇場 ふしぎな豆の木 解説 ぶんらくってななに 東海道中膝栗毛第二部 生写朝顔話 宇治川蛍狩の段 真葛が原茶店の段 岡崎隠れ家の段 明石浦船別れの段 薬売りの段 浜松小屋の段第三部 きぬたと大文字 生写朝顔話 嶋田宿笑い薬の段 宿屋の段 大井川…

特選!!米朝落語全集 第一集

一 帯久 平成元年4月17日 大阪コスモ証券ホールにて収録 二 天狗さし 平成元年9月12日 大阪コスモ証券ホールにて収録米朝さんの追悼番組できくのは、米朝さんは枕の部分で理解が難しいような噺の背景をちゃんと説明されて多くの人がきちんと噺を楽しまれるよ…

特選!!米朝落語全集 第十六集

一 三枚起請 平成二年十月二十三日 大阪コスモ証券ホールにて収録 二 つる 平成三年二月十九日 大阪コスモ証券ホールにて収録小さい時米朝さんはテレビにもよく出ておられ、一般人と落語の距離ももっと短かったように思う。洋画劇場がしょっちゅうテレビでや…

西加奈子と地元の本屋

とてもおもしろい小冊子だった。大阪の本屋をもりあげようという気迫に満ちていて、当該書店に限ってなぜか売れる本の調査をしたり、地元の作家の本のとりあげかたもとてもよい。この冊子をまとめた一員でもある大阪のスタンダードブックストアというお店に…

逢沢りく 下

そうきたかー。。ちょうどいい頃合い。猫村さんに出てくるシリアスな部分を抽出したようなはなし。猫村さん的な存在もちゃんと用意してある。逢沢りく 下作者: ほしよりこ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/10/23メディア: 単行本この商品を含むブログ …

逢沢りく 上

「猫村さん」のほしよりこさんのダークな作品。猫村さんもかわいいだけじゃない辛辣なところがあるのが魅力なんだけど、猫村さんベースに読むとびっくりするほどの主人公の冷え切った心。関西出身のほしよりこさんだからこそ描ける関西。主人公が関西に来て…

国立文楽劇場 初春文楽公演

第一部 花競四季寿 彦山権現誓助剣 義経千本桜 第二部 日吉丸稚桜 冥途の飛脚今まで、舞踊中心の景事ってどう鑑賞したらいいのか・・とかいう思いもあったのだけど、今回「花競四季寿」と「義経千本桜」の二つの景事作品をみて、とてもいいなと思った。特に…

大阪建築 みる・あるく・かたる

エルマガジン社のまとめ方、同じ素材を扱ってもとてもシャープでおしゃれでいいなと思っているのだけど、この本も読みやすくおもしろかった。 話と写真のあわせ方がわかりやすいしかっこいい。北浜あたりのレトロ建築は歩いたことがあるけれど、この本を読ん…

大阪物語

「弁天小僧」と一緒にこのビデオを借りたのだけど、借りるとき、「雷蔵は『大阪物語』みたいにさりげなく脇をつとめている方がいいですよ」ときいて、みてみてると、「その通りかも・・」という気に・・ 中村雁治郎さん演じる金の亡者、近江屋の物語だが、テ…

浪花の恋の物語

橋本治の「浄瑠璃を読もう」の中に出てきたのでみてみた。橋本さんはこの映画好きだけど、近松のとらえ方がちょっと違うだろうなというようなことを書いておられた。 文楽の舞台をはじめと終わりに出す構成などは楽しい。橋本さんのを読んでいることもあり、…

大阪の宿

東京からみた大阪、というのをすごく感じる映画。原作者の水上滝太郎氏の経歴をみていると、この物語の佐野周二演じる主人公にいろいろダブる。 左幸子の真に迫ったちゃっかりぶりがすごかった。普段、割合おとなしい、堅実な役を目にすることがが多い気がす…

王将一代

以前48年に作られた同じ伊藤大輔監督の「王将」をみた*1が、これはその後の物語も含んでいて、パンチがきいている。阪田三吉というのは(って映画は創作はいっているのだけど)知れば知るほど魅力があるなあ。美内すずえが「ガラスの仮面」の北島マヤの着想…

どついたるねん

「この男、凶暴につき」と同じ年に作られ、ほとんどの賞をこの映画が持って行ったと書かれていたので大いに期待してみたけれど、赤井秀和はこのデビュー作より最近の作品の方が演技がうまくなっているなぁ。あと美川憲一はどうなんだろう。もっとマイナーな…

王将

阪田三吉という人の名は知っていたけれどこの映画をみて興味を持ち、wikipediaをみて、さらに魅力を感じた。「ガラスの仮面」の北島マヤのモデルとは・・ 映画の中盤の山場に流れる「天然の美」、この前にみた鼠小僧ものでもチャンバラの時に伝統的な音楽が…

細雪

今まで「細雪」を83年の市川崑版、59年の島耕二監督版とみてきて、最後に一番古い阿部豊監督版をみた。このバージョンは旧家のはねっかえりっぽい四女の妙子を高峰秀子が演じていて、一番妙子に沿って描かれていたような気がする。妙子が好きなのでこれが一…

一条さゆり 濡れた欲情

おもしろかった!阪神野田駅の近くの吉野ミュージックで行われた関西ストリッパーの女王一条さゆりの引退興行。一条さゆりにライバル心を燃やす伊佐山ひろ子。伊佐山ひろ子の同僚白川和子。このあいだみた「百合祭」でも白川和子のほわーんとした魅力がとて…

乙女の大阪

抒情的な写真入りで、寝る前にみていてほっと安らぐ一冊という感じなんだけど、もう少し詳しく知りたい!という気持ちにもなった。たとえば大阪芸大の映画評論家の教授案内の天王寺界隈が舞台の映画のロケ地巡りのことなど・・そのページで紹介されていた映…

ポトスライムの舟

書評家の藤田香織さんのおすすめだったのと、二編はいっている物語のうち「ポトスライムの舟」の主人公の三つ掛け持ちしている職業のうち一つは自分と同じらしいということを知り、読んでみる。 「ポトスライム〜」の主人公は正規雇用の仕事がやっていけなく…

大阪ハムレット 4

中学や高校時代の人間関係ってお互いの不安定さを反映した難しさがあり、その時味わった厄介な気分だけは大人になってからでもひきずっていたりする。 だけど、卒業して別れた時点で自分の心の中の相手は時間が止まっているけれど、実際次に会った時は相手に…

かぶりつき人生

神代辰巳監督のデビュー作ということで荒削りなんだけど、なんかその乾いた生命力みたいなものが魅力のある作品。田中小実昌原作らしい題材、そして空気が流れている。モダンなところはモダン、どろくさいところはどろくさい、でもトータルにみるとかなり惹…

大阪ハムレット

はじめ松坂慶子の大阪弁に大いなる違和感を感じてしまってみるのどうしようかと思ったのだけど、周りの人の評判もいいし見続けてみたらなかなかよかった。原作がとても好きなので心配だったけれど、映画らしくいい感じにまとめてあったと思う。トータルにみ…

通天閣

NHKで太宰治のことを取り上げた時、この本の著者の西加奈子さんがしゃべりっぷりがおもしろくておもしろくて・・著書を読んでみた。この人の文も太宰のようになにかこう読む人の心をわしづかみにするものがある。ええ話の周辺でダダ滑りにならずちゃんとふん…

大阪物語

市川準監督はごく日常的な空気を独特の雰囲気を持つものにまとめられる人だ。途中で「夫婦善哉」のたとえが出てくるのだけど、ほんとに沢田研二の演じたどっか憎めない、ふがいない漫才師は夫婦善哉の柳吉のイメージをもっていると思う。大阪物語 [VHS]出版社/…

暖簾

すごく楽しめた。山崎豊子の、主人公に入り込みやすいストーリーって大好き。二人役の森繁久彌の演じわけもすばらしいが、山田五十鈴が演じた女性が成長していくさまに何より感動する。先代中村雁治郎さんは歩いているだけでさまになるなぁ。(小津監督の「…