東京からみた大阪、というのをすごく感じる映画。原作者の水上滝太郎氏の経歴をみていると、この物語の佐野周二演じる主人公にいろいろダブる。
左幸子の真に迫ったちゃっかりぶりがすごかった。普段、割合おとなしい、堅実な役を目にすることがが多い気がする乙羽信子の芸者姿が仇っぽく哀愁もあり魅力的。藤原釜足が憎めんおっさんを、多々良純が俗物を好演。
ビデオについている解説に、
五所作品ではいつもカメラが印象的であるが、ここでも小原譲治の柔かく大阪をとらえている画調が注目に値する
と書かれている通り、陰影のつけ方、玄関でのやりとりの向こうに見える小窓からの別の人のさま、などカメラがなかなかいいと思う。
みたのはVHS版