だから、何

 

だから、何。

だから、何。

 

 20年くらい中野翠さんの年末に出るコラムを楽しみに読んでいる。おととしの「ズレてる、私!?」*1の時は、国際情勢的なところで「?」と思うこともあったのだけど、今回は基本的には異論なく楽しめた。

自分がみたドラマ「詐欺の子」での桃井かおり氏やイッセー尾形氏の演技への評価、大林宣彦監督の安藤桃子監督との対談番組「シネアスト 大林宣彦」も自分と同じく楽しんでみておられた、などなんか、もしtwitterされてこれらを書いておられたらイイネつけまくりみたいな感じだった。(twitterにコラムに載せるもの流したらもったいないけれど)

とりあげられていたナイツ塙の著書「言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか」

 

言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか (集英社新書)

言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか (集英社新書)

 

は、ちょうど植竹公和さんのアカシック・ラジオというところで二回にわたって話をきいていて 楽しんでいたので、中野さんも食いつくようにして読まれたそうで嬉しかった。

 あととっても気になった本は南伸坊さんの「私のイラストレーション史」。南さんは和田誠さんの煙草の広告をみて「こういうおもしろい仕事をする!」と心に決められ、また東京五輪の亀倉雄作のポスターに刺激を受けたことが書いてあるそうだが、ドラマ「いだてん」にも亀倉氏出てきておられたし、また和田さんのピースの広告については「銀座界隈トキメキの日々」にも書かれていたなあと、イメージが増幅して楽しめた。和田さん関連でもうひとつ書いておきたいことは、追悼番組の「徹子の部屋」で、清水崑のイラストに影響されて高校時代に教師の似顔絵をかいて人気をとったこと。実は清水崑氏、長崎出身の祖父の友人で、黄桜のカッパのCMにかかわっておられたため、そのあとの小島功氏のエロティックなカッパと混同されがちで、「ちょっと違うんだよ」と心の中で思っていたため、和田さんの発言の中に出てきてどこかに書き記しときたかったのだ。しかし、三谷幸喜氏も和田誠氏の絵にあこがれ、よくマネをされていたときくし、清水崑氏は、和田誠氏、南伸坊氏、三谷幸喜氏につながる系譜とこの機に明言しておきたい。

 

私のイラストレーション史

私のイラストレーション史

  • 作者:南 伸坊
  • 出版社/メーカー: 亜紀書房
  • 発売日: 2019/05/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

銀座界隈ドキドキの日々 (文春文庫)

銀座界隈ドキドキの日々 (文春文庫)

 

 もう一冊中野さんの本で興味を持ったのが「二笑亭綺譚」。二笑亭というのがなんとも奇天烈な建物だというのは、以前中野さんの本で知ったと思う。この本では、富岡八幡宮の骨董市に行かれたあと、門前仲町へと向かう商店街の中の二笑亭の跡地を通られ、いつもどおり不穏な気持ちになられたことが書かれている。この本の著者式場隆三郎さんというのは、山下清の発見者の精神科医だそうだ。山下清の本*2に出てくる先生に当たるのかな。 

定本 二笑亭綺譚 (ちくま文庫)
 

 あっ、そうだ、もうひとつ中野さんがらみで。坪内祐三さんが先日亡くなられた。中野さんの本や、周りの評判で読んでおきたいなと思っていたところだった。(たまたま買ったサンデー毎日の2/2号のコラムでも中野さんが追悼を書いておられる。)

それで、遅ればせながら「テレビもあるでよ」という雑誌コラムをまとめたものを読んでいる。(2018年秋刊行)興味のあるタイトルのものを拾い読みしている状態なんだけど、「日本のいちばん長い夏」*3のリメイクと「シン・ゴジラ*4の比較(家族の物語のあるなしによる作品としての出来の差)が書かれているところ、ギリヤーク尼ヶ崎Eテレをみて、ギリヤーク氏を支える弟について丁寧に書かれているところなど、亡くなってから出会ってしまったけれど、時が戻せたらオンタイムで読んでいたかったという気持ちにとてもとてもなっている。

 

テレビもあるでよ

テレビもあるでよ

 

 最後に・・もう一冊読んでみたくなったのが、

 

新宿二丁目 (新潮新書)

新宿二丁目 (新潮新書)

  • 作者:伏見 憲明
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: 新書
 

映画 「赤線最後の日」*5や「サチコの幸」*6の舞台である新宿二丁目。その変遷はとっても気になっている。